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2014年/短編まとめ

ヘッドフォン少女

作者: 文崎 美生

耳障りなのだ。


全て、全て…。


人のざわめきが声が機械音が嫌いなのだ。


学校とか人気のお店だとかが音で溢れて苦しい。


耳に響いて頭に言葉が文字が音が詰め込まれて気持ち悪い。


気持ち悪くて叫びそうになる。


全部の音をかき消すように、全部の音を飲み込むように。


そんな風に叫びたくなって世界を無音にしたくなるんだ。


だから人工的ではない。


本当に自然的な自然の音が好きなのだ。


小鳥の小さな鈴の音のようなさえずりが、森で吹く風の爽やかで包み込むような音が、川や滝の透明度の高く澄んだ音が好きだ。


混じり気のない純粋な音を愛している。


でも普段の生活で常に聴けるわけじゃない。


だからこそ私はヘッドフォンをつけているのだ。


流れ出す音楽は主にサントラに偏る。


それでもたまに本当に好きになれる歌手の人とかはいる。


低くて耳に落ちるような男性ボーカルは好きだし、音の波紋を作るような女性ボーカルも好き。


ゆとりある音が声が好きだ。


でもやっぱり人の声の入らないクラシックやサントラは外せない。


クラシックはよく聴きにも行くから親しみがある。


要するに沢山の音が溢れる世界に私達は存在するのだ。


それでも人は音を実感することがあまりない。


私は敏感になり過ぎているだけなのかも知れない。


それでも、何でもいい。


理由なんていいんだ。


無音が愛しい音…静かが愛しい音。


それだけを耳に入れて生きたいんだ。


ヘッドフォンはもう体の一部のようだ。

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