この地方に伝わる昔話 ~神様side~
やらなければならないことがあるのに、どうしても書きたくて書いてしまいました。
むかしむかし、神様はこの世界に人間を創りました。
何を思ってそうしたのかは分かりません。ただ神様は、男と女の人間をを一人ずつ、この世界に生み出しました。
時がたつにつれ、人間はどんどん増えていき、どんどん賢くなりました。
その過程で、人間たちは神様が考えたこともないようなことをたくさんしました。
神様は、そんな時に賢く時に愚かで、時に優しく時に残酷な人間たちを眺めているのが、とてもとても好きでした。
しかし、それも長くは続きませんでした。
神様の住んでいる世界には、他の神様たちも住んでいます。その他の神様たちが、争いを始めたのです。
神様も争いに参加しなければならなかったので、人間たちを眺める時間はどんどん減っていきました。
そしてついに、神様は今いる世界を去らなければならなくなってしまいました。そして、これから移る世界からでは、人間たちを眺めることはできません。
神様はとても残念に思いました。せめて、この人間たちがどのようにして滅ぶのかだけは知りたいと思い、あることを考え付きました。
まず、神様は人間を一人選びました。誰でもよかったので、今から降らす雨の最初の一滴に当たった人間を選ぶことにしました。
その人間に、神様は『最後の人間が死ぬ瞬間まで生き続ける』力と、『人間はどのようにして滅んだかを神様に伝える』という使命を与えました。
これで人間たちの最後を知ることができる、と安心した神様は、その時を楽しみにしながら別の世界へと去っていきました。
それから、神様が人間の世界を覗くことは、もう二度とありませんでした。
かなり衝動的に書いたものですが、いかがでしたでしょうか。感想などをいただけたら幸いです。