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解放・前話

マグガディア王国王都ヴィネィアの外れにある廃屋。コロッセオから脱出した隼人は林に逃げたと見せかけて、真逆の方向にある街の中へと逃げ込んでいた。


「単純な手だけどこれで少しは時間が稼げるな」


逃げる途中胸元に抱き変えた魔王の娘をマットもなにも敷かれていないベッドの上に降ろし、隼人は乱れた息を整えるために大きく深呼吸を繰り返す。

絶対的な再生能力をもつ《異常再生能力》も怪我をしたわけでもないからか、戦闘などで消費したスタミナまでは回復してくれない。身体が消し飛べばその限りではないのだが、疲れるたびに身体を消し飛ばしていたら肉体的にはともかく、精神的にやられてしまうのは想像に難くない。

どうせならスタミナも回復してくれればいいのにと、何度そう思ったかも分からないようなことを思いつつ、ようやく息が整ったためそばにあった埃だらけの椅子に腰掛ける。


「……なぜ、私を助けた?」


ベッドに降ろされ女が不思議なモノでも見たかのような表情で問いかけてくる。


「そなたは勇者だったのだろう?

私も人間の社会がどのようなものかある程度は知っているつもりだ。勇者の地位がどのような物なのかもな。

勇者、それも我々魔族の王を討ち滅ぼせるほどの力を持つ者ならば、およそ人間達の中であれば望んで手に入らぬ物は無いはず。そんな地位を捨て、あまつさえ小国とはいえ一国を敵に回してまで、なぜ私を助けたのだ?」


心底分からないと言った風の彼女に対し、隼人は静かに首を振った。


「欲しいものか…………。確かに手には入ったさ。

俺は元の世界に帰りたかった…………、だが………」


「そなた、来訪者エトランジェか?」


「あぁ、お前の親父を殺せば元の世界へと帰る方法を教えるって言われたのさ………」


自らを嘲るような口調で言う隼人を、彼女は苦いものでも口にしたかのような表情で首をふる。


「だがあれは百年周期で訪れる皆既日食が絶対の条件のはずだ」


「あぁ、その通りだった。あのクソ野郎はそれを知った上でそんな条件を出しやがった………」


「あの術で元の世界へと帰還したとされる来訪者は唯一人。不老不死の異能力を得た来訪者だ」


「……………」


彼女から告げられた事実に隼人の表情が凍りつく。


「それも知らなかったようだな。その帰還魔法もその来訪者自身が元の世界に戻るために構築した聞く。もしもそなたが百年後の皆既日食まで生き延びられたとして、本当に帰還できるかは半ば賭にも近いのではないか?」


構築者自身が自身を元の世界に戻すために構築したのなら、その来訪者以外に扱うことが出来ない可能性もある。そしてレード王はあの魔導書はすでに解読したと言っていた。ならばその可能性、いやそのことも分かっていたはずだ。

隼人の口元から歯ぎしりが鳴る。


「マグガディア国王の噂は私も聞いている。あの王ならばやりそうな話だな」



静寂が辺りを包み、痛ましげに隼人を見ていた魔王の娘がふと思い出したように再び口を開いた。


「………なぜ私を助けた?」


「………………あんたが捕まったのは俺のせいだろう?俺が魔王を倒した時一緒に白龍連峰に行った兵士に捕まった。違うか?」


彼女が静かに頷いたのを見て、隼人は再び視線を逸らして口を開いた。


「元の世界に戻れないと分かってから、俺は文字通り脱け殻だった。何もする気も起きず、ただ生きてるだけの死体も同然だった。

それが今日コロッセオに呼び出されて………、あんたを見て分かったんだ。俺がしたことがどういうことなのか。元の世界に戻りたいって言うのは、俺のわがままだ。その俺のわがままの結果あんたは父親を失い奴らに捕まることになった。そのことに気付いた後は………正直なにも考えられなくなってた。あの魔獣が動き出した直後も同じだ。同じだけど、気付いたときにはもう動いていた。今思えば、義務か贖罪か………。どっちにしたって俺の傲慢な、独りよがりな理由だよ………」


「………故郷を思うのは当然のことだろう。私がそなたと同じ立場に立ったとしても同じことをしたと思う。

それに全ての元凶はそなたを召喚したレード王だろう。あの王が来訪者エトランジェの召喚を行ったりしなければそなたは御家族と離別する事もなかったし、父が死ぬことは………、少なくともそなたの手にかかることは無かっただろう」


「だが現実として俺はここにいて、多くの命を奪った!俺が元の世界に戻ることを望まなければ、城を出たまま人々の中に紛れて生きていくことを決心していれば、そんなことにはならなかったのに!!

………………俺は、俺はあんたの父親を殺したんだぞ、憎くないのか?恨みはないのか!?なんで俺に怒りをぶつけない!?なんで罵倒しない!?

………………なんで、なんでそんな普通に接することが、できる…………………?」


気付いたときには女に向けて感情を爆発させていた。

この二年の間敵のである魔族の命を奪う度に、こみ上げてくる罪悪感を心の内に閉じ込め、周囲の人々から感謝される度に元の世界に戻る為と言う理由を重石にして心に蓋をし続けてきた。

しかしあの日謁見の間で知った事実によって心の蓋に乗せられていた重石は外れ、ため込まれた罪悪感、いや命を奪うと言う禁忌を犯したという罪の意識は容易く隼人の心を呑み込んだ。

隼人の価値観において人の命を奪うことは禁忌に属すること。それは今まで生きてゆく中でそう教え込まれてきたから。しかしこの世界の人間達にとって命の価値はそこまで重い物ではなく、それが魔族の命となれば尚更だった。

彼の心に生まれた罪の意識。しかしそれを理解する者はおらず、その価値観の違いがさらに彼の心を蝕むという連鎖。価値観の違いという明確な壁。その壁が彼の孤独を増長し、その孤独がさらに心を蝕む悪循環。


だれでもいい、自分の罪を認めてほしい。


だれでもいい、自分の罪を責めてくれ。


無意識のこの思いに応える者はおらず、無気力状態になっていたのもそれゆえに心の浸食を防がんとする自己防衛の結果だったのだろう。だが今、彼の前にその罪を突きつけられる者が、裁ける者が現れた。


自らの内にため込まれた『罪』。それを『罪』だと認識を共有する存在。それは価値観の共有。孤独からの離脱。彼が求めて止まぬ者。


コロッセオからここにたどり着くまでの間、隼人は彼女に裁かれることを無意識のうちに望んでいた。

裁かれるべきことを裁かれず、罰せられるべきを罰せられぬ。それは意図されたものでは無かったが、それは今まで築かれてきた価値観の否定にも繋がること。

しかしここで彼女に裁かれれば、それは彼の価値観の肯定であり、自分の感じていることが間違いではないという証明であり、祭隼人という存在の再確認であるから。


けれど、彼女は彼の『罪』に触れることはなかった。

それは彼の立場に対する同情か、または別の理由による物かは分からない。しかしそれは隼人の望んでいた物ではなかった。無気力状態という自己防衛の名の抑圧から解放された隼人に、これ以上溢れ出る物を押さえ込むことはできず、それは容易く暴走する。


埃の積もった床の上に崩れ落ち、隼人は泣いた。ただただ、泣いた。それは一体何の涙なのか…………。

全身にのしかかる『罪』の重みに耐え切れぬ故か、それとも自身が『独り』だという孤独感故か。またはもう会えぬだろう人達、友人や家族たちを思ってのことかもしれない。


もしかすれば理由など存在せず、そのどれもが理由なのかもしれない。


声を殺し、しかし抑圧され続けてきた、押さえ切れぬ感情のうねりに嗚咽が混じり、歳も外聞も関係なくただただ泣き続ける。


「………………辛かったのだな」


ベッドに座っていたはずの女がいつの間にかそばに近づき、その黒翼で彼を包み込む。そして隼人の頭を胸元に抱き寄せ、幼子をあやすように頭を撫でる。


「………………私達魔族の王は力でもって民を統べる。故にさらに大きな力が現れたとき、その地位を追われることとなる。

我が父とてそうだ。先代の王を己が手で殺し、そうして王となったのだ。

力ある者が王となる。ならばより強き者が現れれば父が王位を追われるは当然のこと。その時は王位だけでなく命もまた同様であろうことは漠然とではあるが、常に覚悟していた。

此度の父の死は、ついにそ順番が回ってきただけでしかない」


だからそなたが気に病むことではない。そう続けようとして、彼女はその言葉を飲み込んだ。彼が欲する言葉は全く別の物だと気付いたからだ。


「…………しかし、そうだな。父の死に悲しみを覚えていないと言えば嘘になる。少々物騒なところはあれど私にとってはやさしい父親だったからな。だからその父を奪ったそなたを憎む心は確かに私の中にもある」


胸に抱かれた隼人の身体がびくりとと震える。だが彼女はそんな彼ぼ頭をより強く、優しく抱きしめて言葉を続けた。


「だがそなたの理由を知って、なぜそなたを責められよう?そなたとて犠牲者ではないか。見知らぬ地へと呼び出され、頼る者もなく、誰にも気づかれるこもとなくただ一人傷つき続けてきた………。真に責められるべきはそなたをこの世界へと召喚し利用したレード王ではないか。

………………だから、私はそなたを赦そう。そなたを憎む気持ちを持つ私が赦すのだ………、だからそなたも御自分を赦すのだ」


声を押し殺しながらしかし混じる嗚咽が多くなり、彼女は隼人を抱きしめる。


「今はとにかく泣かれよ…………。泣いて泣いて、今までため込まれた感情を全て吐き出しなされ。

そしてその涙が止まったとき、まだ御自分を赦すことができぬと言うならば、償って下され。これ以上そなたの知った悲しみが生まれぬように、その悲しみを知るそなたが考えそれを導きだされよ」


ついには声を出して泣き始め、彼女はそれを受け止める。泣きじゃくる子供をあやすように………………。











「落ち着いたか?」


「…………あぁ、みっともないとこ見せたな」


盛大に泣いたことで目を真っ赤にした隼人は、恥ずかしそうに視線を逸らしながら答えた。彼女はその様子を 微笑ましそうに眺めながら首を振ると。


「そんなことはあるまい。老若男女関係なく、感情をため込むというのはあまりいいことではあるまい。たまには今のように吐き出してしまわねば心が病むことになろう」


日が落ちて久しいこの時間。星明かりもない暗闇の中、魔族である彼女は顔を逸らしている隼人が頬を赤くするのを見て静かに笑みを浮かべる。

しかし彼女はその笑みをすぐさま引っ込めると、真剣な表情へと変えて問う。


「それで、これからそなたはどうするのだ?」


この言葉に顔を逸らしていた隼人も表情を改めて向き直り、深呼吸をするかのように大きく息をすってから言葉を紡ぐ。


「………誰がなんと言おうと、理由がどうであれ俺がしてきたことは赦されざることだ。だから、償いをしたい」


(あぁ、やはり彼は自分を赦し切れなんだか………)


悲しそうに見つめる彼女に気付かずに、隼人は自分の両手に視線を落とす。暗闇の中でも分かるような真っ赤な血の色。それが両手を染め上げているような錯覚に隼人は唇をかむ。

フォースティアに切り裂かれた右腕はすでに再生し、試しにぐっぱ、ぐっぱと開いて閉じてと繰り返すがいつも通りなんの違和感も感じられない。


『化け物』


あの時の兵士の言葉が脳裏に甦る。


(どんな傷も、それこそ腕を切り落とされようが首から下が無くなろうがトカゲのしっぽのように再生するんだ。全くもって化け物だよな………)


「そうか。ではどうする?何をするにしてもまずはマグガディアから出る必要があろう。どこか行く宛はあるのか?」


「無い。だけどこの後する事はもう決まってるよ」


「ほぉ、聞かせてもらっても?」


彼女はその言葉に意外そうに声を上げ、隼人は小さく頷いてコロッセオのある方をへと視線を向ける。


「コロッセオに戻る」


「な、そなたは何を考えている。コロッセオにはまだ多くの兵士が残っているはずではないのか?何のために戻るというのだ?」


「コロッセオの地下には奴らが娯楽として闘わせるための魔族が大勢捕まっている。まずはそれを解放する」


驚く彼女にそう言いながら、かつてコロッセオの内部を案内された時のことを思い出す。あの時は魔族や魔獣がどういう者かを教えると言われてコロッセオへと連れて行かれた。

コロッセオの地下に並ぶ檻。そこに入れられた魔族達は一体どれほどいたのだろうか?

年老いた者もいればまだ幼い者もいた。満足な手当をされることなく放り込まれている者さえいたのだ。この二年間でその数はどれだけ増えただろうか?中には隼人が原因で檻へ入れられた者もいるはずなのだ。そんな人達を放って何処かへ逃げるなど今の彼には出来なかった。


「彼らを助け出してまずは白龍連峰に向かう。多分マグガディア軍もそっちを固めるだろうけど、直接北に向かわず西のクァカナラカン湖に向かってそこの漁船を奪う。奪った漁船でルティスィア河を下れば直接北に向かうよりも早く白龍山の麓にたどり着けるはずだ。途中軍と戦闘になっても、コロッセオには奴隷闘士として捕まってる獣人や鬼族がいたはずだから逃げることに専念すれば何とかなると思う」


隼人から具体的な説明を受けた彼女は拳を顎に当てながら考える。脳裏に浮かぶのは以前みたいこの国周辺の地図だ。自分たちのいる場所をその地図に当てはめその案を検討し、小さく頷いて顔を上げる。


「………確かに、船を使えばかなりの距離を稼げる。それにクァカナラカン湖はここからそう遠くない。今からでも夜明け前にはたどり着けるか」


「あぁ、だからすぐにここを出たいんだけど………。そういえばあんた魔法は?」


思い出されるのはあの日の魔王との闘い。剣を振るうと同時に放たれる魔法の数々におおいに苦しめられたのはまだ記憶に新しい。彼の血を引くならばあの魔法の才能も受け継がれているのではないか?

ただし彼女にそれだけの才があったのならばそう易々と捕まったりなどしなかったのでは無いだろうか?

そのことに全く気付かずに問いかけ、彼女は静かに首を振る。


「『奴隷の首輪』装着者の魔力を封じ、他者へ危害を加えることを禁ずる魔法具だ」


長い髪をかきあげ、その細く白い首にはめられた無骨な首輪を隼人に見せると、それの説明をし始める。


「これはマグガディアで造られた魔法具なのだが、その性質上罪人の拘束器具としても有能な上に安価で量産がきくので私達の国でも使われていた代物だ。

これを外すには特別な器具と長時間の儀式魔法を用いてようやく外すことができる。

ゆえに今の私はなんの役にもたたぬよ。まぁ鬼族のように魔力に乏しくも耐魔力が高い種族には、危害を加えることを封じる能力は効かぬのだが、私は竜魔族ドラグクリフ翼人族シュラミュケーアのハーフなのでな」


「そう、か。わかった。でも魔族達の解放には人手が必要だ。一緒に来てくれるか?」


「うむ、だが足手まといになるようであれば即座に切り捨てよ。それは私だけでなく、コロッセオに囚われている魔族達とて同様だ。僅かな足手纏いのために大勢を危険に晒すわけにはいかぬゆえな」


静かに言われた彼女のその言葉に隼人は逡巡するも、唇を咬みつつも頷いた。本当ならば一人たりとも見捨てたくはないのだが彼女の言うことも尤もである。それで助かるはずの命が助からなければ本末転倒なのだから。


「よし、その言葉忘れるでないぞ」


そして二人が廃屋から出ようとしたとき、隼人はあることを聞いていないことに気が付いた。


「そういば名前………」


「む、そういえば互いの名前を交換していなかったな。私としたことがすっかりと忘れていた」


隼人の言葉にキョトンと首を傾げると、そう言えばと納得して頷く。


「恥ずかしいところ見られておいて今更な気もするけど、祭隼人だ」


「マツリハヤト。聞き慣れぬ響きだが、いい名だな。

ではハヤト。私の名も受け取ってくれ。

魔王ネスフィアムが娘リリィアネイラだ。リリィと呼んでくれ」











「蛇王の立てる毒の牙………」


「ぐぁがっ!?」


コロッセオの地下にある牢獄。不用心にもたった一人で見張りをしていた兵士の鳩尾に膝蹴りが叩き込まれ、その意識は瞬時に刈り取られた。


「鍵は?」


「これだ」


倒れた兵士の腰に掛けられた鍵の束を奪い取り、通路の向こうから駆け寄ってくるリリィに投げ渡す。


「巡回の兵士がこないか見張っている。急いでくれ」


リリィが隠れていた角へと隼人が走るのを見送ると、彼女はすぐそばの牢屋の鍵を開く。


「あぁ、もう時間か?ちっ、今日はやけに早ぇじゃねぇかよ」


開かれた扉から入る光に、牢屋に囚われていた男は目を細めながら地が唸るような声で呟くと、殺気立った目でリリィを睨みつけた。

光に照らされた彼の額にある一本のつのから彼が鬼族であることに気づくが、リリィは彼の言葉に苦笑しつつどこか皮肉気に顎をしゃくる。


「そうか、それは悪いことをしたな。だが今を逃すと脱出が困難になる。今はとにかく一緒に来てはくれぬか?」


「なに……?ぬぁ!?あんた、まさか!?」


鬼の男の言葉を最後まで聞くことなくリリィは次の牢屋の鍵を開けに走り、二つ目の牢の鍵を開けたところで鬼族の男が牢から身を屈めて出てくる。薄暗い牢屋の中で壁際に座っていたから分からなかったが、屈めていた身体を伸ばせば天井まで2m半はありそうな廊下だというのにそれでも上へと向いた巻き角が天井に付きそうになる巨体。奴隷共通のボロボロの服-彼の場合は服というよりも布だが-から突き出た腕はリリィや隼人の胴よりもなお太く筋肉が盛り上がっている。


「やっぱり、あんた白龍連峰の姫さんかい。あんた見てぇなお人がなんで………」


「父が死に、私は捕まってここにいる。そんなことよりも他の牢を開けるのを手伝ってくれ」


手を止めることなく簡潔に答え、鍵束から半分程取り外して束の方を鬼族の男に投げ渡す。男は慌てて投げ渡された鍵束をキャッチして言われた通り牢の鍵を開け始める。


「ある男が助けてくれたのだが、その男がコロッセオに囚われている奴隷も助け出したいとな。

この国から脱出するにはそなた達の助けが必要だ。協力してくれるな?」


次々と牢から出てくる奴隷闘士達に鍵を渡しながら問いかけと、問われた男達はニヤリとばかりに口端を上げて拳を握ってみせる。


「当然でさぁ、こんなところからおさらばできるってんならぁ俺達は何だってしやすぜ?」


奴隷達を代表するように鬼族の男が答え、周りを見回せば全員が同じ様に拳を握りながら肯定の声を上げる。


「そうか、礼を言う。

よし他の囚われた者達も救出にゆくぞ」


「合点でさ。クガーザ、パルディア!武器庫から俺達の得物を奪ってこい!」


「わかったぜ」


名前を呼ばれた鬼族の男と豹頭の獣人はきびすを返して廊下を駆けてゆく。


「リリィ、終わったか?」


とそこで二人が駆けていったのとは別の通路から隼人が飛び込んでくる。奴隷達の声を聞いて戻ってきたのだ。


「うむ、今二人ほど武器を取りに行っているがここの奴隷達は全員来てくれるそうだ」


「姫さん、そいつは?」


いきなり現れた人間である隼人に鬼族の男は怪訝そうに眉を顰める。全てがそうというわけでは無いが、基本人間と魔族は相容れることがないため、彼の反応は至極当然のものだろう。


「彼が私を助けてくれたのだよ。コロッセオの奴隷達の解放も彼が望んだことだ」


「マジですかい?人間が俺達を?」


リリィの言葉に奴隷達は疑問の声を上げるが、二人はそれを気にすることなく廊下を走り始め奴隷達も仕方なくそれに続く。


次の牢屋へと向かう途中、何度か巡回中の兵士にでくわすが、隼人は即座にその意識を刈り取り先を急ぐ。


「持ってきたぞ!」


途中武器を取りに行った二人が他の牢の奴隷を連れて合流し、戦える者達に武器が行き渡ったことで二人は二手に分かれコロッセオの残る2つの牢へと手分けして向かうこととなった。











「虫の知らせ、というのも馬鹿にはならぬようだな………」


奴隷闘士を含めて56人もの数の奴隷達を助け出し、コロッセオを出た隼人達の前に立ちふさがったのはマグガディア軍の誇る四将軍の一人クルアカンだった。

マグガディアの軍は四大属性である水地火風に合わせて四人の将軍が存在し、彼はその内の地を司る将軍だった。ちなみに先に隼人の手により死亡したフォーティスは火を司る将軍であった。


「クルアカン………」


「俺はお前を買っていたんだぞ………。それを裏切りおって………」


巨大なハルバートを構え、それに応じるように彼の配下の兵達が隼人達を取り囲む。その数は30人ほどか。数の上では隼人達が約倍の人数と有利とはいえ、実際に戦えるのは隼人と奴隷闘士達の19人。魔族の基本スペックは高いとはいえ、相手も軍のトップともいえる将が率いる精鋭であり、何よりも37人と半数以上が戦えぬこの状況、どちらが有利かは火を見るよりも明らかである。


「陛下に勇者へと取り立てていただいた恩を忘れ、あのような………!」


誰の目から見ても怒り心頭といった様子のクルアカンに鬼族の男は首を傾げる。


「勇者って、それであれってあんた一体何したんだ?」


「別に勇者の証だって渡されたバッヂを踏み潰してやっただけだ」


「はぁっ!?」


その答えに素っ頓狂な声をあげてしまうのも当然だろう。勇者のバッヂが所属する国の国旗を模していることは、この世界では誰でも知っているようなことだ。そして国旗に対する扱いについてもだ。それだけにその場にいた誰もがおかしな者でも見るような目で隼人を見る。すなわちこいつは何を言っているのだろうかと。


「それが、どういう意味を持っているか、分かって言っているのだろうな?」


怒りに顔を赤くしたクルアカンは、ハルバートの柄を持つ手に力をこめる。もし視線だけで人を殺すことが出来るのならば、この場にいる全員を皆殺しにできそうな形相で隼人を睨みつけるが、対する隼人はそれがどうしたと言わんばかりの様子でクルアカンを鼻で笑う。


「どうだっていいな、そんなことは。

それとレードに伝えておいてくれ。この国は俺が潰すってな」


さすがにこの言葉には解放された奴隷達だけでなくクルアカンを含め全員がギョッとする。


「今、なんと言った!?」


「この国は俺が潰す」


轟音が当たりに響き、クルアカンの足下から隼人の足下まで小さな地割れが走る。クルアカンが振り下ろしたハルバートによるものだ。


「国賊めが………、陛下への恩義を忘れての数々の行い。もうゆるさん!」


「誰が恩なんか感じるか。俺があいつに向けるのは、あの日から今まで憎悪だけだ」


戦斧が空気を割る轟音と共に隼人を襲う。唐竹割りに振り下ろされる一撃を、しかし隼人は前にでることで回避する。長柄の武器の死角、相手の懐へと飛び込み肘を振るって胸を撃つ。よりの上からの一撃は大したダメージにはならないようだが、その威力に後方へと大きく吹き飛ばされる。


「あれは俺が片付ける。他の兵士を抑えてくれるか?」


「ライオックスでさぁ」


「え?」


「俺の名前さぁ」


振り返る隼人に鬼族の男は歯をむき出しにして笑みを浮かべると、手にした金棒を肩に担ぎあげて前へ出る。


「すいやせんね。正直、姫さんに味方だって言われても、大将のこと疑ってましたわ。だが今のを見てそれも晴れやした。

周りの雑魚を抑えろ?任して下さいや。抑えるどころかそれ以上大将の手は煩わせませんわ。後ろのことは気にせず、存分にやってくだせぇ」


「………祭隼人だ。

ライオックス、周りのは頼んだ」


「へい!野郎共行くぞ!」


まるで軍と対峙したかのような声がそれに応え、隼人達は地を蹴った。

隼人の身長と変わらぬ長さの鉄棍が地面を叩く。その一撃で多くの土や砂利が跳ね上がり、解放された奴隷達に襲いかからんとする兵士達を迎え撃つ。


「てめぇらの相手は俺達だ!」


ライオックスの一括に奴隷闘士達が呼応する。






奴隷に襲いかかろうとする兵士の槍をパルディアのカトラスが受け止める。


「魔族風情が………!」


「魔族風情、か。ならばこう返してやろう。人間風情が!」


槍を弾いて身体を屈め、背後から切りかかってきた剣撃を避けてそのまま地面を転がり距離を取る。戦えぬ奴隷を背に二本目のカトラスを抜き放ち両手で構える。


「来るがいい、貴様達をこれの錆びにしてやろう」


ニヤリとばかりに口元を歪めると豹のごとき身のこなしで宙へと飛び上がり、頭上から兵士へと襲いかかった。






「ふん、はっ!」


クガーザは手にしたバックラーで剣を弾き、横を抜けようとする兵士の行く手に手斧を振り下ろしてそれを防ぐ。


「後ろの連中をやりたかったら、まずは俺を殺してからにするんだな」


「ちっ」


煩わしいとばかりに振るわれる剣手の斧で迎え撃ち、側頭部目掛けてバックラーを振るう。兜と盾がぶつかり合い甲高い音を立てるが、兵士はふらつきながら後ずさり、そこにクガーザの蹴りがねじ込まれ、そのまま後方へと吹き飛ばされる。


「ま、貴様らごときにやられるつもりは毛頭無いけどな」


バックラーを正面に向けその後ろに身体を入れて斧を相手から隠し、クガーザは迎撃の構えをとる。鬼族にしては小柄な、しかし人間にとっては巨大な体から向けられる殺気に、兵士達は攻め倦ねるのだった。






「はっ!」


首相撲の体勢で放たれた膝蹴りは、間に差し込まれた腕に防がれる。それでもなお当たるまで蹴り続けるとばかりに脚を引いたところで目標を変更し、腹部を蹴ってクルアカンから跳び退る。今まで胴があった場所へと振るわれるのは彼の膝と敵の顔の間に差し込まれた腕にはめられた手甲から伸びる白刃だった。


「でかい武器を使う割に暗器がおおいな」


たった今隼人を襲った手甲の白刃の他に、膝に仕込まれた毒針に鎧の各所に隠された毒塗りナイフ。

他にもかかわらず寸鉄や礫など巨体に似合わぬ嫌らしい戦い方に舌打ちをする。


「国を守るためには手段など選んでおけん。貴様もマグガディア王国に牙を剥いたことを悔いて死んでゆけ」


「お断りだ、お前こそ護る価値もない国のために無駄死にするんだな」


「ぬかせぇ!!」


腰のベルトに仕込まれた投げナイフが宙を駆け、毒を塗られた刀身が緑色に怪しく光る。隼人に対して毒はほとんど意味を成すことはない。それが死に至るような物ならばなおさら。しかし………。


飛来するナイフの射線からから身体をどけてかわし、続けて放たれる二投目三投目も完全に回避する。

そして体勢を崩したところへ投げられたら四投目を地面に転がることでやり過ごす。


確かに隼人の異能力はたとえ毒であっても完全に回復させることができる。しかしそれは全く効かないかといえばそうではなく、致死性の毒で死ぬことはなくても身体が痺れて動くこともままならなくなり、さらに麻痺毒の場合より異能力の働きが悪くなってしまうのだ。

地に転がりナイフを避けると、さらに地を転がり距離をとる。案の定開いた距離を一瞬で積めたクルアカンの一撃が地面にめり込み、その衝撃が大地を震わせる。


「逃げるばかりか、元勇者が」


「武器に毒を塗ってる陰険野郎に言われたくないな」


距離をとって立ち上がり、両手を挙げ首をすくめるような独特の構えを取りながら応えて敵の獲物を見る。毒鉱竜ジャナラークの毒牙を用いて作られた巨大なハルバートの刃には、その腹の部分に空けられた穴から染み出した緑色の毒液がまぶされ、獲物を振るう度に毒液をまき散らしている。


「貴様を倒すにはこれぐらい必要だろう?いや、これでもまだ足らないくらいだ。貴様はゴキブリ以上にしぶといからな」


クルアカンの口が閉じるよりも速く、刹那にも満たない時間で距離を詰めての肘打ち。斜め下からかちあげるようにして放った一撃はとっさに首をのけぞらしたクルアカンの顎を掠める。


「もらった!」


僅かに前に出ていた膝に足をかけ、鎧の飾りを足場にクルアカンの長身を駆け上る。


「火尾を振るうハヌマン!」


クルアカンの側頭部を真横から狙った膝蹴りは、しかし身体が勝手に反応したのかギリギリのところで挙げられた腕に阻まれる。隼人は舌打ちしつつもそのまま膝を振り抜き、クルアカンも直撃は免れたものの吹き飛ばされ大地を転がる。


「クルアカン様!」


それを見た兵士の一人が着地したばかりの隼人の背後から切りかかる。

避けることも防ぐことも適わぬタイミングでの攻撃。受ける以外に道は無しと判断するや、受けた直後に反撃する為に四肢に力を込める。


「どぁほぉっ、貴様の相手は俺だろうが!!」


しかしその攻撃が隼人に届くよりも早く、巨大な物が風を切り裂く轟音が辺りを震わし、兵士は身体をくの字にへし折られて吹き飛んでゆく。


「大将には指一本触れさせるかよぉ!」


声の主、ライオックスが隼人の背を護るように立ち怒声を上げる。


ライオックスに声に出さずに礼を言い、脳を揺さぶられながらもなお立ち上がろうとするクルアカンに向かって地を蹴った。


隼人に蹴り飛ばされた時に手放してしまったため、今クルアカンの手にハルバートは無い。

クルアカンは迫る隼人に対して手甲から刃を引き出し、殴るように突きを放つ。心臓めがけてまっすぐに迫る刃に隼人はガードのために左手を差し出した。

刃が肉に差し込まれる鈍い音。クルアカンの刃は隼人の腕を貫き、後少しで胸に突き刺さるところで無理矢理軌道を変更させられる。隼人がフォーティスとの戦いでやったことと同じだ。敵の得物が突き刺さった左手を身体の外へと振り、次手を封じたクルアカンへと跳びかかる。


「首を啄む巨鳥の嘴!」


体制を崩したまま首の位置が低くなっている彼の喉仏に膝を、それと同時に首の裏へと肘を叩きつける荒技に、硬い何かがへし折れる音が響く。


「か、はっ……………」


胸を蹴ってクルアカンから離れると、クルアカンもまた蹴られた勢いのまま仰向けに大地に倒れる。明らかに首の骨が折れた彼に隼人は用心しながら近づき、その死を確認する。即死だったのだろう驚愕の表情を浮かべて息絶えたクルアカンの目を閉じてやるのは死者に対する最低限の礼儀だ。


立ち上がり振り返れば、今起きたことが信じられないのか呆然と立ちすくむ兵士達。その場に立ったまま確認すれば兵士の数は半数まで減っており、奴隷闘士達も六人が地に伏し、二人が他の奴隷達の中で血を流す腹を抑えて倒れ込んでいる。大勢の奴隷を庇いながらも良く戦ったといえるだろう。しかし傷つき散っていった奴隷闘士達の存在に隼人は唇を噛む。


「まだここのことを他の軍に知られる訳にはいかないんだ。悪いけど、あんた達を逃がしはしない」


静かにそう宣言して一歩を踏み出すと、兵士の一人が悲鳴を上げる。それは瞬く間にほかの兵士へと伝播し、兵士達は我先にと逃げだそうとする。しかし隼人は宣言通り、彼らを逃がすつもりはなかった………。










パルディアの振るう二刀のカトラスが、鋏のように交差して逃げる兵士の首を刈り取り、隼人達を囲んでいた兵士達は全滅する。


「終わった………」


切り落とされた首の目を閉じてやりながら、パルディアは静かにそう告げて隼人達の元へと戻ってくる。


「本当なら埋葬してやりたいけど、時間がない」


死体を敵味方の区別無く並べた隼人が、苦渋に顔を歪めながら呟くと、ライオックスが静かにうなずきそれに同意する。


「気に病まねぇでくんなせぇ。見せ物じゃなくて自分の意志で戦って死ねたんでさ。ここで死んでいった連中よかよっぽどマシだし、こいつらだってそう思ってまさぁ」


「………そう、だといいな。

………………行こう。先ずはクァカラナカン湖に向かう。そこで漁船を奪ってルティスィア河を下る」


「確かにそれならば、この大人数でも速やかにこの国を脱することができますな」


隼人の言葉に頷くのは豊かな髭を蓄えた魚人族シーラカーラの老人だった。人とほとんど変わらぬ容姿にただ一カ所違う箇所を上げるとすれば、耳元から生えるエラともヒレともとれるそれか。


「ならば湖から先の先導役は俺達の役目だな」


三つ叉の銛を手にした水魔族フィシャールの男が魚がそのまま人になったような顔を不適に笑わせると、同じ水魔族の奴隷達も同意するように声を上げる。


「あぁ、そう言って貰えると助かる。

では時間もない、急ぐとしよう」


いつの間にか隼人のそばに立っていたリリィがそう締めくくり、彼らは湖へ向けて移動を開始しようとする。


「あんた何を言っているんだ!!」


突如上がった怒声に再び足が止まる。


「どうした?」


声のした方へと向かうと、そこには例の傷を負った二人の奴隷闘士と、《奴隷の証》を付けた竜魔族の男がにらみ合っていた。


「あ、いや。こいつらが…………」


隼人の問に対して竜魔族の青年はしどろもどろになりながら奴隷闘士達を見る。


「どうもこうも、俺達を置いて行ってくれって言っただけですよ」


「この傷じゃ、俺らは足手まといになるだけだ」


竜魔族の青年の代わりに答えたのは傷を負った奴隷闘士の二人だった。


腹部の傷を抑える虎の頭部を持つ人虎族ティーグの青年と妖魔族の一種族である小柄なゴブリンの男は自嘲するように笑みを浮かべるとさらに言葉を続けた。


「ただ足手まといになるでけならまだマシだ。けど今の俺たちは戦えないだけでなくいざという時にとっさに動くことも出来ねぇ」


「そう言うこった。わかったら俺らのことは置いて行ってくれよ。俺たちのせいで失敗したなんてことになったら死んでも死に切れねぇしよ」


戦闘中に応急手当だけはしてあるらしい腹部を抑えながらティーグの男はさっさと行けと手を払う。


「言いたいことはそれだけか?」


隼人はティーグの男のそばに膝をつくと、その腕を取って肩を貸して無理矢理立たせる。


「まだ失敗するとは決まってないし、軍に捕捉されるとも限らない。だっていうのにお前達だけ置いていけるかよ」


「なっ……、そんなのは希望的観測でしか………」


「その程度で見捨てる位の気持ちなら最初からコロッセオには来てない」


希望的観測でしかない。そう言おうとした言葉を遮り、隼人は睨みつけるようにしながらティーグの男を見ると、その目に何も言えなくなった男を見て竜魔族の青年も笑みを浮かべてゴブリンの男に肩を貸す。


「それにあんた達の傷は俺達を護って負った傷だ。恩人のあんた達を置いてなんかいけるか」


周りの人達もまた青年の言葉に頷き、中には反対側の肩を支えるものも出てくる。


「…………あんたら、馬鹿だろ…………」


同じ魔族でもその容姿から敬遠去れることの多いゴブリンの男は、そんな皆の姿に憎まれ口を叩きながら涙を流す。


「よし、時間がない。今度こそ行くぞ」


隼人の号令に皆が頷き、今度こそクァカラナカン湖へむけて歩き始めた。

・リリィアネイラ

46才

白龍連峰の魔王ネスフィアムの娘であり、竜魔族ドラグクリフ翼人族シュラミュケーアのハーフ。

背まで伸ばした濡れガラスのような光沢を放つ黒髪、そこから冠のごとく頭部に巻きつく角、夜空を連想させる黒翼と《高貴なる紫》とも称される紫色の鱗に覆われた尾を持ち、それらと対照的な透き通るような白い肌の女性。人間よりも長く生きる魔族達の中でもまだまだ若輩者。特に長齢で知られる竜魔族の中では成人としても扱われることもない。

父親譲り魔法の才と相手が誰であれ平等に接するその性格から、多くの魔族から慕われている。


物理属性資質:アンフリュアンフィス(やややわらかくやや速い)

魔力量:S

魔法属性資質:光闇《二重属性者》


・保持スキル《テイム》

ランクB

自身と相性のいい魔物を手懐けることの出来るスキル。ランクBでは3種の魔物を手懐けることが可能。

リリィアネイラと相性のいい魔物は竜種、鳥種、馬主の3種。

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