表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/28

説明してもらわないとわからない

部屋でポテトチップスをばりばり食い散らかしていた相手は、自分を魔王候補だと名乗った。

魔王(候補)を名乗る木崎さんによると。

彼らのいる魔界とかいうところを、束ねる頂点が、魔王と呼ばれる存在で。

その候補となるのは、魔界でもかなり高位の魔力を持ち、自ら治める所領を持つような、大きな家の出の者に限られるらしい。

「へえ……木崎さんエリート階級」

そういうと、酷く嫌そうな顔をした。

坊っちゃんの気に障ることだったらしい。

「……私が選ばれたのは、私のこれまでの努力の賜物、家等関係ない」

嗚呼、成る程。

只の甘やかされたボンボンって訳じゃない、と。もしかして、自分のおうちとうまく行ってないのかな? という考えが頭を掠めたけど、ぐっと飲み込んだ。

初対面でずかずか踏み込むことでもないし。


でもって、候補に選ばれた彼は、自分の資質を魔界に示し、自分が魔王の器たることを証明しなくてはならない。

「具体的に何やるの?」

興味をひかれ、聞いた。

「魔界から他へ行くときには、道が開く」

彼は言った。

「何処に開くかは、通ってみねばわからぬ」

「不便だな」

「行く先を分かった上で道を開けるのは魔王のみ」

一応それにも理由はあるらしい。やたらに他の世界に干渉せず、また、魔界にもむやみによそ者を入れない為。

魔物にも、守るルールがあるというのが、可笑しいような、ほっとするような。

「それで、開いた先が此処であった」

「私の部屋かい……、で?」

「む?」

「だから、具体的に何をするわけ?」

ああその事か、と彼は頷いた。


「一番に出会った相手を、如何に早く虜にするか、が試験ぞ」


言葉の意味が、よくわからなくて反芻する。

「とりこ……?」

「魔界を統べる存在たるもの、魔の魅力を最大限に発揮できねばならぬ、無作為に選ばれた相手を魔物の虜として、初めて、私もその地位を認められる」

非常に、嫌な予感がした。

「一応、確認したいんだけど」

「何ぞ」

「一番に会った相手って……まさか、私じゃないよね?」

「何を寝惚けたことを」

彼は呆れたように首を振った。

「決まっているだろう、なればこそ、私の素性も話したのであろうが……そなたの資質如何では、特例ではあるが、妃の一人として迎えてやってもよいぞ」


彼の最後の言葉と。

「ざけんなっ」

私のぐーパンチが炸裂したのは、ほぼ同時、だった。

(2011/2/22)

見目形がよくても、中味はどうなんだろうね?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ