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やばいおじさんが転生して自分の人生をやり直す!叫ぶスキルで死ぬほど戦う。そんな勇者はありですか?  作者: 滝島りん


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第一話 ここはどこだばかやろー!

皆さんも一度は目撃したことがあるだろう。街中で「何見てんだバカヤロー」「俺は悪くないぞこの野郎」と叫ぶおじさん。通称”やばいおじさん”を。

この物語は”やばいおじさん”が転生し勇者になり”叫び”と言うスキルを使って世界を救う物語である。

昼間の新宿、夜の電車内、今日もおじさんは叫ぶ。

「何見てんだ馬鹿野郎!」

都会の人々はこの叫びを当たり前のように無視し、何もないように生活している。

俺は、鈴木和一すずきかずいち61歳。23で営業職に就き、妻も子供もいる。だが、俺が40の時妻が出ていき、子どもも妻の方に行ってしまった。家族がバラバラになった理由は俺が会社のお金を横領したからだ。だが、これは冤罪。俺はそんなことをやっていないといったが、誰も信頼してくれず、会社を辞めることとなった。俺は会社を辞めてから再就活をしたりいろんなバイトをしたりとできることを色々してみたが、特にうまくいくことはなかった。(自分を見てほしい)(自分にかまってほしい)という承認欲求がついに表に出てしまい、今もこういう風に大きい声で叫んでいる。俺は少しでもこっちをみてくれると嬉しいんだ。週に4回この叫びを夜中までやっている。

「よし、そろそろ帰るか」

今日も叫び終わり、夜中1時に帰宅する。

「今日も一人か」

そう呟きながらアパートの階段を上がる。今の収入源は、月に5回の単発バイト。若い頃稼いだお金はもう7割以上使ってしまった。

「おやすみ」

1人しかいないこの部屋でぼそっと呟く。それは、まだ家族がいると思いたいから家族がバラバラになってもずっと続けている。

「おはよう」

朝7時に起きる。また誰もいない部屋で呟く。今日はバイトだ。単発の仕事をしに行く。

「嘘だろ」

今日の現場は俺がいつも叫んでいる駅の近くにあるライブ会場でのバイトだった。

「おはようございまーす」

若い男が元気よく職場に来る。

「お、おはようございます」

俺が挨拶を返すと

「あ!あのおじさんですよねー!知ってますよ!」

やはりばれてしまうのか。そう思ったとたん若い男が小声で

「うるさいだけなんだよ。一人で家で叫んでろあほ」

と耳元にささやいた。

「うるせぇな!馬鹿野郎!」

反射的に俺も大きい声で返してしまった。俺は中高野球部で一番声がでかく、体育祭も声のでかさで応援団長に選ばれた。この声はライブ会場内に響き渡り、間近で聞いてた若い男も口を開け、唖然としている。このバイトは何回もしているため、僕を知ってる人もいる。普段職場では小さい声で話しているため、僕のことを知ってる人も唖然としていた。まるであの漫画の覇気で倒れる海軍のようにみえた。

「あ、すいません」

即座に謝ると若い男は

「あ、あ、いや」

と焦っていた。

7時間の仕事が終わりまた家に帰る。

「あ、薬今日も飲み忘れた」

俺は貧血になりやすく、めまいもよくする。これは年を重ねるたびに悪化している気がする。

「あ、まずい」

突然回りがぐわんぐわんと揺れているように見えた。そのため、階段を踏み外しころころと転がってしまった。

「ぐはっ」

強く頭を打ち、俺は今までの人生をみてしまった。これがいわゆる走馬灯なのだろう。あぁもう死ぬんだなと思った。

「目を覚ましなさい」

野太い声でこちらを起こそうとするのが聞こえた。寝起きのように視界がぼやぼやしており、目を擦るとやっとピントが合った。目の前には同じ人間とは思えないぐらい大きい人が玉座に座っていた。

「あ、あなたはだれですか」

「俺は死んだ人を案内するまぁ閻魔のようなものだ」

思ったよりふわっとしているが、彼がこれから僕をどうするのか決めるのだろう。

「ここはどこですか?」

「ここはまぁなんというか、違う世界だ」

鈴木の時代に異世界転生系の作品なんてなかったため、理解しづらく困惑している。

「違う世界、、」

「まぁあの世みたいなもんだ」

「なるほど」

なんとなくではあるが、やっと理解した。

「お前は23で就職し、40で横領の冤罪をつけられ家族とバラバラになった。」

俺の人生を読み上げる。

「61になると、、、や、、やばいおじさん!?」

閻魔も初のケースだったらしく焦っている。

「こ、これは業種なのか?」

「あ、これはそのー寂しくて街で叫んでただけです」

大雑把な説明をしてしまった。だが細かく説明すると閻魔は理解してくれた。

「さぁどうする。お前には二つ道がある。一つはこのまま生まれ変わる。それともう一つは勇者になってこの世界で徳を積み、お前の人生をやり直す。さぁどうする」

「このまま生まれ変わりますよ。どうせ僕の人生なんてやり直しても変わらないですよ」

「馬鹿言うな。これを見ろ。パチン!」

閻魔が指を鳴らすと、頭の中に映像が流れた。

「こ、これは」

「これは、お前の葬式に参加している。お前の親戚だ」

この頭の中で流れている映像は鈴木がいた元の世界と繋がっていた。

「和くん、、早いよ」

「お父さん、、会いに行きたかったんだけどさ、、」

「梨花、、竜真、、」

なんとその葬式には鈴木の元妻である梨花と息子の竜真が来ていた。

「どうだこれを見てもすぐ生まれ変わると言いたいのか?お前の人生をやり直した方がいいのではないか?」

「そうですね、、勇者になります!」

鈴木はすぐに決心した。

「ではお前のスキルを伝える」

「ス、、、スキル?」

「勇者になる者が生前得意だったことをスキルとし、そのスキルを自由に使って魔物を倒してもらう」

「なるほど、、俺に特技なんてあったかな」

鈴木は特技と言える特技が無く、全て人並みレベルだ。閻魔が指をパチンと鳴らすと閻魔の手元に巻物が現れた。

「お前のスキルはこの巻物に書かれている。では開くぞ。お前のスキルは、、、”叫び”だ」

「さ、、、叫び!?」

「このスキルで魔物を倒してもらう」

「あ、え、無理ですよ」

「じゃあすぐに生まれ変わるか?すぐに生まれ変わったら人にもなれないかもしれないぞ」

「それは嫌だけどさぁ」

叫んで戦う勇者なんて聞いたことない。鈴木はこんなので戦えるわけがないと思ってしまった。

「まぁでも魔物と戦う以外にも生き返る条件はあるぞ」

「どういう条件ですか」

「例えば、街を開拓して良い街づくりをすること、魔物との共存をすることなど他にも様々な条件がある」

「なるほど」

鈴木は戦わないようにしたいため、ここで街づくりに専念することを決めた。

「ちなみにこれで人生をやり直した人っているんですか」

「まぁまぁい、いるかもな」

終わった。これは絶対いないやつだ。

「じゃあ健闘を祈るぞー頑張れ」

そう閻魔が言うと俺は別世界に飛ばされた。

「イテテ、、ここはどこだ」

一面と広がる芝生に俺は仰向けになっていた。ふと自分の両手を見るとシワがなく、肌も艶がある。体も軽く、これは17歳ぐらいの肉体なのだろうか。

「こ、、、これはどういうことだ馬鹿野郎!」

鈴木は瞬時に叫んでしまった。

やばいおじさんが勇者に!?第二話お楽しみに

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