6話目
『ここは共学じゃないんですか!?』
私の声が廊下に響いた。
クラスの男子たちは窓に集まってこっちを見てくる。
「宮下落ち着け。悪いが説明は後だ。とりあえず教室へ入れ。」
と言って肩をぐっと掴む。
私は納得していなかったが、とりあえず深呼吸をした。
教室に戻ると再び男子たちがざわざわと騒ぎ出す。
「えー今日からこの学校に転校してきた宮下凛だ。
みんな仲良くしてやれよー。」
笠原先生は手を離すと、「あそこに座れ。」と言って窓側の席を指差した。
隣の席の子が私に手を振る。ハーフっぽい顔立ちでとても格好いい。
髪の色も少し明るめでロン毛は嫌いだけど、この髪型はすごく似合っていた。
「アタシ水城晃よろしくね。」
『よっよろしく。』
「そんな緊張しないで!仲良くしましょ♪ねぇ凛ちゃんって呼んで良い?」
『うん。私もアキちゃんって呼ぶね。』
私は思わず固まってしまった。
その口調がいわゆるオカマだったので・・・。
ギャップはすごかったけど本当に女の子っぽくて少し安心した。
授業が始まると、アキちゃんは教科書を見せてくれた。
他の男子からものすごいブーイングを受けていたけど
しばらくしたらみんな寝たり、漫画を読んだりと好き勝手していた。
私も最初は真面目授業を受けていたのだが、ハイレベルな問題に
ついていけず、泣きそうになっていたら先生に指されてしまった。
アキちゃんが小声で答えを教えてくれる。
(ありがと~!助かったよ~!)と私は小声でお礼を言った。
アキちゃんはにこっと笑って返してくれた。が
急にノートをちぎってなにやら書き始めた。
渡された紙を開けて読むとゾッとしてしまった。
(絶対に一人にならないように!)