表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転校生  作者: 藤堂あき
6/17

5話目

コンコン――。

「はい。」

「失礼します。」


中へ入るとひょろりとした細い男性が胸を押さえて立っている。

黒縁眼鏡をかけ、少ない髪の毛を無理やり分けてビシッとスーツを着ている。

息を止めていても整髪料の臭いがきつくて、少しむせてしまった。

私はさっきの言葉にやっと納得した。


「教頭、連れてきました。」


「宮下くん!遅かったじゃないか!笠原先生あなたはまた私の血圧を上げる気かね!?」


大声を出されて、反射的にビクッとしてしまった。

『はっはい!すみませんでした。』と慌てて謝る。


笠原先生は慣れているのか、「はぃはぃ。」と話を流していた。


「私は7時半からここへ来ているんだ!次から気をつけるように!

それにその髪は校則違反だ!髪留めは無いのか?全く最近の子はだらしがない!」


『・・・はい。気をつけます。』


別に遅刻したわけじゃないのに・・・。

なんだか急にテンションが下がってしまった。

身だしなみだってちゃんとしたつもりだったし、

せっかく楽しみだったのに気分が台無し。


「校長は急に会議が入ってね、昨日から大阪へ言っているんだ。

今日は私から入学のことに関してお話しするよ。

我が学園はとても優秀でね。素晴らしい大学に入学した生徒も沢山いるんだよ。

それに~~~~で~~~~~~だから~~~~と~~~~~~~でね。」


だらだらと長い話は予鈴のチャイムがなるまで続いた。


「あ~~まぁまた詳しい話は担任の笠原先生から聞くように。」


「よろしく。」と笠原先生がそっけなく言う。


『よろしくお願いします。』


私はお辞儀をしたが先生はこっちを見ていなかった。


ようやく教頭から解放されたが、私は不安ともやもやでいっぱいになった。


笠原先生と一緒に職員室を出るとふーーーーっと大きなため息が聞こえた。

教室までの廊下をゆっくりと歩く。



「校長がいないからって調子に乗りやがってぁのバーコード。 」


と文句を言ってくれたので私の気持ちも少しすっきりした。


『あの私ヘアゴム持ってきて無いんですけど・・・。』


「あ~ほっとけほっとけ。どうせ誰も言うこと聞きゃしねーから。」


『でも・・。』


「お前教室入っても逃げるんじゃねーぞ。」


『え?』


笠原先生はまた意味深長な事を言って2ーFと書かれた教室へ入っていく。


私が教室へ入った瞬間、どっと騒がしくなった。

私はクラスを見回して混乱してしまった。


(女だ女がきた!!)


(うっわーーーかわいーー!!)


(あの子だよ!廊下ですれ違った子!!)


(ヒューヒュー♪)


「うるせー黙れ!席に着け!!えー今日は転校生を紹介する。名前は・・・」


『笠原先生!ちょっと!!』


私は慌てて先生を廊下へ引っ張り出した。


『これは・・・・どうゆうことですか?』


「何が?」


『何がって・・・女子が全くいないじゃないですか!!!?』



笠原先生は面倒くさそうに頭をかいた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ