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転校生  作者: 藤堂あき
13/17

12話目

保健室へ入ると幸いなことに先生が居なかった。

私もこんな泣き顔を見られたくなかったし、

アキちゃんのケガを見て騒がれるのも嫌だったからほっとした。



私はアキちゃんを座らせて、消毒液などを探していると


「救急箱は棚の上だよ。」と教えてくれた。


『あっありがとう。』


私はぎこちない手つきで手当てをする。


『よく知ってるんだね。』


「ここにはよく来るから。」


そういわれてドキッとしてしまった。


それは自分が?それともいじめにあった女の子が?

聞きたいけど怖くて聞けなかった・・・。

包帯を巻いている手に力がこもる。


「いたっ!」


『あああごめん!!慣れて無くて。』


「ううん。大丈夫。」


じっとアキちゃんが私を見つめてきた。


『えっ何?』


「いや、きれいな顔に傷つかなくてよかったって思って。」


ふっと頬を触られて私は再びドキッっとしてしまった。

にこにこ笑うアキちゃんを見てなんだか変な感じになっていく。


『ちょっと!!触りすぎ!!』


私は恥ずかしくて真っ赤になってしまった。


「凛ちゃんだってアタシの腕さわってるじゃん?」


『もーーせっかく手当てしてあげてるのに!もう知らない!』

ぺちんと傷口を軽く叩いたらアキちゃんは声を殺して

痛さでうずくまってしまった。


『ごっごめん。大丈夫?』


「うそだよ~~ん☆」


本気で心配したのにからかわれてしまって私は真剣に怒った。

でもこのやりとりがなんだか楽しかった。


しばらく経って私はアキちゃんに聞いてみた。


『上田くんは最初から女の子をいじめてたの?』


「いや違う。」



私は耳を疑った。



「悪いのは女子なんだ。」




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