12話目
保健室へ入ると幸いなことに先生が居なかった。
私もこんな泣き顔を見られたくなかったし、
アキちゃんのケガを見て騒がれるのも嫌だったからほっとした。
私はアキちゃんを座らせて、消毒液などを探していると
「救急箱は棚の上だよ。」と教えてくれた。
『あっありがとう。』
私はぎこちない手つきで手当てをする。
『よく知ってるんだね。』
「ここにはよく来るから。」
そういわれてドキッとしてしまった。
それは自分が?それともいじめにあった女の子が?
聞きたいけど怖くて聞けなかった・・・。
包帯を巻いている手に力がこもる。
「いたっ!」
『あああごめん!!慣れて無くて。』
「ううん。大丈夫。」
じっとアキちゃんが私を見つめてきた。
『えっ何?』
「いや、きれいな顔に傷つかなくてよかったって思って。」
ふっと頬を触られて私は再びドキッっとしてしまった。
にこにこ笑うアキちゃんを見てなんだか変な感じになっていく。
『ちょっと!!触りすぎ!!』
私は恥ずかしくて真っ赤になってしまった。
「凛ちゃんだってアタシの腕さわってるじゃん?」
『もーーせっかく手当てしてあげてるのに!もう知らない!』
ぺちんと傷口を軽く叩いたらアキちゃんは声を殺して
痛さでうずくまってしまった。
『ごっごめん。大丈夫?』
「うそだよ~~ん☆」
本気で心配したのにからかわれてしまって私は真剣に怒った。
でもこのやりとりがなんだか楽しかった。
しばらく経って私はアキちゃんに聞いてみた。
『上田くんは最初から女の子をいじめてたの?』
「いや違う。」
私は耳を疑った。
「悪いのは女子なんだ。」