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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

「お前を愛する事はない。いつでも追い出すから手に職でもつけておけ」と言われた妻が手に職をつけた結果・・・

作者: 山田 勝
掲載日:2024/12/23

「愛する事はない!出て行け!」

「申し訳ございません。どういった事ですか?」

「お前だ!お前を愛する事はない!」



 新婚初夜に夫にそう宣言された。


 私は、アメリア、貧乏伯爵家の令嬢である。

 貴族学園にも通えないくらい貧窮していたので、結婚を条件にオクラ公爵から学費の援助を受け。卒業の日から数日後に結婚をした。


 出席者は、公爵家の使用人数人と司祭様、私の友人は出席を拒否された。

 結婚の証人は執事の寂しい結婚式だった。


 私は18歳、夫は35歳。


「畏まりました」


 と一言。退室した。




 ☆社交界


「これは、これは、オクラ公爵、噂の新妻ですな」

「お初にお目にかかりますケラー侯爵ご夫妻にご挨拶申し上げます。私、アメリアと申します。宜しくお願い申し上げます」


「ケラー侯爵、全く使えない女で困っています」

「アハハハ、イヤ、お若いから・・・公爵夫人の重責、何かあったら家内に相談するがいい」

「ええ、何でも相談して下さいな」

「有難うございます」



 公式の場には夫人として共に出席するが、いつもこんな感じだ。



 屋敷ではいつも罵倒される。



「馬面に茶髪、平凡だな!粗相をしたら、無一文で追い出すから覚悟しておけ!」

「はい。肝に銘じます」



 夫の仕事は領地経営だ。

 といっても代官に任せている。


 王宮での役職はない。だから、いつも屋敷にいて、主に、夫人の仕事である使用人のマネジメントをやっている。

 私の出番はない。


 お飾りの妻のようだ。いや。お飾りだ。

 夫は細かい。


 今日もメイドをいじめる。


「キモいなー!何とかしろよ!」

「え、何をでございますか?」


「お前の茶の入れ方だよ!察しろよ!くびり殺すぞ!」

「も、申し訳ございません!!」


 夫は、主語を省くクセがあるから、分かりにくいし。理不尽な言いがかりである。


「リリー、貴女のお茶の入れ方は完璧よ。自信を持って」

「はい・・・」



 私は使用人たちを慰めることしかやる事がない。

 苦痛だ。



「ハハハ、アメリアは怠け者だな。無一文で放り出す。実家の伯爵家では兄夫婦に子供が出来たから、もう、居場所はないぞ」


「申し訳ございません」


「今のうちに何か手に職でもつけておけ。そうだな。お針子か?ア~~~ハハハハハハッ」



 ☆数ヶ月後。



「おい、執事、アメリアは何をしている?」

「はい、奥様は筆をとられています」


「何?・・・浮気でもしているのか?」

「いえ、手紙ではないようです」


「フ~ン、お前、何故、俺にすがってこない?と思う」

「はあ?私が・・・旦那様にですか?」

「馬鹿!アメリアだ!くびり殺すぞ!」

「ヒィ、申し訳ございません」



 おかしい。普通の女ならおかしくなるはずなのに。


「旦那様、もう、お止めになっては如何ですか?その、前の奥様も、心の病になりました」

「馬鹿!それが良いのだ。私は病んだ女が好きなのだ。俺しか頼りのない状態にするのだ。低位貴族の訳あり女だから文句は出ないだろうよ。罰だ。殴ってやるから頬を出せ!」


 バチン!



「ヒィ、申し訳ございません・・」



 ・・・しかし、おかしい。そろそろ。おかしくなるはずなのに。



 ☆社交界



「こ・・・これは、これは、オクラ公爵・・」

「まあ、オクラ公爵・・・」

「ケラー侯爵!聞いて下さい。この女、全然使えないのです」


「・・・オクラ公爵、客人が来るから失礼するよ」

「ええ、ごゆっくりお過ごし下さい。アメリア様、頑張るのよ」


「はい」



「おかしい。皆、よそよそしいぞ。アメリア、何かしたか?」

「はい、旦那様の言うとおり手に職をつけました」

「何だと!」


 ヒソヒソヒソ~


 この時、周りの令嬢たちは、アメリアに憧れのまなざしを向けていることにオクラ公爵は気がついた。


 アメリアの名を呼ぶ声まで聞こえる。


「アメリア様~」

「アメリア女史よ」

「お話を聞きたいわ」


「アメリア、どういう事だ!」

「ご令嬢にお聞き下さいませ」




 その時、客人が遅れて登場した。


 客人は

 この国の序列、3番目と4番目の王太子殿下と王太子妃殿下である。

 共に25歳、政務を一部任されている。順次政務を引き継ぎをされ。

 30前には即位が予想される評判の王族だ。


【紳士淑女の皆様!王太子殿下と王太子妃殿下のご登場でございます】


「な、何だと!」

 ・・・ケラー侯爵の田舎社交界に来ただと。


 この社交界での序列は、オクラ公爵は3番目になった。

 彼にとっては屈辱である。


 オクラは公爵である。しかし、目を伏せ。頭を下げて出むかえた。

 アメリアは横でカーテシーをし。王太子夫妻を出むかえる。





 王太子と王太子妃は迷わずに、アメリアの所に来た。


 王太子はオクラを無視し。快活にアメリアに話しかけた。

 オクラは王族の間でも問題ありとされていた。いわゆる友人はいない。


「皆、顔をあげて、リラックスして。アメリア女史、いや、オクラ公爵夫人かな。小説大評判だよ・・・うん」

「ええ、私も読みましたが・・・衝撃でしたわ」


 チラチラ、オクラを見ながらアメリアに話しかけた。


 な、何だ。

 オクラは事態を飲み込めていなかった。


「ここでは何だから、別室で話そう。妻とメイドが一緒だから・・問題はないよね。オクラおじさん」


「・・はい」


 オクラは返事が精一杯だった。



「馬車を出せ!帰るぞ!」


 アメリアを一人残して、屋敷に戻った。



 何だ。俺の方が優秀なのだ。俺の方が・・・なのに、あんな若造が王で俺は・・・公爵・・・。



「おい、執事!アメリアの部屋に入るぞ!」


「はい・・」


 事態を飲み込めないオクラはアメリアの部屋を捜索すると・・


 本が出てきた。


 執事が説明する。


「これは、奥様が書いた本です。手に職をつけるために出版社に応募をして、採用されました。今、大人気で舞台化の話もございます、吟遊詩人もうたっています」


「ヒ、ヒドい。何て、題名だ・・・・『お前を愛する事はないと初夜で新妻に宣言をした公爵様、実はホモだった?!』だと!」

「はい、『公爵様はホモだった』シリーズ、大好評でございます」



 この国で公爵家はオクラ公爵の一家門だけである。

 更に、その妻が書いたとなれば・・・


「皆は、私の事と思うではないかーーーー」


 ガチャ!


 その時、ドアが開き。アメリアと使用人たちと大男が入って来た。


「勝手に入るな!アメリア!どうした馬車は?」


「あら、私の部屋でございます。ホストのケラー侯爵閣下が馬車を用意してくれましたわ」


「その男は誰だ!浮気か?」


「兄でございます」


「どうも、アメリアがお世話になっております。レーペル伯爵家、ロルフです。一度、顔を合わせましたよね・・」


「貧乏伯爵家なんて知らんわ!出て行け!・・・出て行け!どうした。金をやる。出て行け!・・・出て行け・・・出て行け・・・」


 次第に声が小さくなった。


 ロルフは無言で見つめる。迫力があった。数分後、狼狽するオクラに低い声で話しかけた。


「はい、貧乏伯爵家なので、農業から騎士、魔物、盗賊討伐と何でもしておりますので、優男くらいくびり殺せます」



「ヒィ・・・」


 ピラ!


 アメリアは書状を取り出し。読み上げた。


「陛下の裁断でございます。主人押込の許可を受けました」


「何だ。それは・・・」


 主人押込、150年前に一度発令されたから余り知られていないが、王公認の元、妻、使用人たちが暴君を閉じ込めるクーデターである。


「旦那様は部屋で軟禁されます・・・」


「はあ?狂女だ。取り押さえろ!」


 シーーーーン


 使用人たちは無言・・主人に答えない。

 主人が代わった事を理解したのだ。



「アメリアは離縁だ!」

「はい、承りました。でも、明日の0時からです。まだ、妻です。ロドリゲス執事長、ダニエル執事、お兄様と協力して取り押さえて」


「「「はい!」」」


「フラワメイド長とリリーは、オマルや当分、部屋から出てこれないような準備をお願い」


「「はい」」

「もう、準備完了です」


「まあ、早いわね。素晴らしいわ」


 アメリアは使用人の名を呼び命令した。既に使用人の心は掌握していた。


 オクラは幽閉部屋につれて行かれながらも叫び続けた。



「待て、話を聞け。俺の、父上と母上は両方愛人がいて、俺は寂しく暮らしたのだ!」


「左様ですか・・」


「母上が病気になったとき、その時だけは屋敷にいてくれた・・・だから、病気の女が好きなのだ!」


「左様でございますか」


「離縁を撤回する。やり直そう・・・愛する。そうだ。初夜をやってやる・・」


「離縁の撤回は妻の了解がなければできません・・・我国の法でございます。否です」



 オクラ公爵は爵位を剥奪され。領地は王太子夫妻の二番目の男子が相続すると決定された。




 ☆25年後



「新公爵閣下、ご就任おめでとうございます。使用人一同歓迎させて頂きます!」


「宜しく。ラインハルトだ。妻のフレデリカだ。オクラ公爵家改め。ヴァーサ公爵家が誕生する」


「公爵夫人のフレデリカです」



 ・・・・


 執事長とメイド長が新公爵夫妻に庭園の案内している時の出来事だった。



「ダニエル執事長とリリーメイド長は夫婦なのだね。良かったらこれからも支えてくれ」


「「もちろんでございます」」


 その時、風に乗って何か聞こえてきた。



 ‘’ウー!ウー!アーメーリーアーーーーーー!’’



「あれは・・・何だね」

「まあ、怖いわ」


 ダニエル執事長は説明する。


「この庭園の離れに囚人がおります。まずはそれからご説明いたします」


「ああ、あの、『暴虐公爵』のモデルになった・・・」

「ええ、ケラー侯爵閣下の親戚に嫁がれたアメリア女史の著作でございますね」


「主人たる者、肝に銘じなければならないな」

「はい」


 アメリアの物語は形を変えて続いていた。

 何故なら、必要とされていたからだ。

 戒めとして物語から伝説にまでなっていた。







最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
オクラ公爵に全く同情できなかった……。 アメリアは、幸せになったようで良かったです! スッキリするざまあ物語でした!!
えーととりあえず一言。 シリアスではない。
コレ(元夫)は『幽閉』されたままですか。 一言だけ言っていいかな? ザマァʅ(◞‿◟)ʃおめでとうございます。 主人公「はい(*´ω`*)」
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