表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

夢を見た

「なぜ信用しなきゃいけないんだ。」


俺の名は辻嵐つじあらし 正好まさよし。俺はいつも学校内で少し嫌われるような根暗な陰キャを演じている。演じているだけで本当は他の人とも話せるし仲良くしたいと思ってる。でもなぜか人を好きになれずにいた。多分人間不信なのかもしれないと自覚している。

これでも学校では楽しく過ごしているように見せている。そう、見せているだけで実際まったく楽しくなかった。楽しかったという記憶があるのはおそらく小学校の頃か。今じゃ独りぼっちが基準だし。


勉強しに来てるんだから友達いらないだろ...!

と自分に言い訳している。


じゃあ勉強ができる真面目なのかと言われるとそんなこともなく、学年200人近くからの50位ぐらいであんまり良いわけではなかった。でも悪いわけでもないし別に良くないかと思ってる。自己満足ってやつ。

結局厳しい俺の家は一桁目指せとか高望みをしてくる。実際取ろうと思えば取れるけど面倒なので取る気はない。毎回言ってくる親には懲り懲りしている。

もう少し褒めてくれればいいじゃないかとか思うけど無駄な気がするので言っていない。

でも、たまには1位を取ってもいいかなとか思うけど、その後を考えるとやめておいた方がいいのだろう。


「上位に入ればちやほやされるんだろうな~」

とか妄想して満足してる。


さて、こんな面倒くさがりな俺が好きなことはちゃんとある。ゲームとアニメ鑑賞、本読みとかだ。

やっぱり現実とは違って夢を見させてくれるこれはやっぱり最高だなあ!現実にはない魔法と剣の世界とかめっちゃ憧れるし魅力的過ぎる。特に異世界系は仲間たちと協力して異世界を冒険して行くとか、最強の魔法で無双したりとか、とにかく憧れる。

結局現実には魔法も敵もない。科学と平和の世界が作り上げられている。世の中では魔法を再現しようとする人もいれば、ひたすら魔法に憧れて夢見る者もいる。みんなの憧れは


勇者えいゆう


世界の平和を自分で作り出すことのできる人。仲間を思いやり協力し敵を倒していく優しい人。こんな人が世界の平和の象徴というわけだ。きっと優しくて、強くて、格好いい人。

俺とは正反対のようだなと感じる。心狭くて弱くて、かっこ悪い人。そんな俺は勇者になれない。現実も友達一人おらず、人に優しくできないからきっとなれない。俺は現実を感じた。


この世にも俺の友達のような人がいた。そう、オタクだ。オタクとは世界観が似ていて話がよく合う。偏見だけど、異世界行ったら無双してそう。というか、絶対する。毎日オタクと話して仲良くしている。

しかし、決して友達ではない。友達の()()()人だから。俺だって友達と思いたい。でも、友達という考え方が本能的に否定されていた。信用しきれていないのだろう。

結局は過去の裏切りの経験を得て人を完全には信用できなくなっていたのだろう。だから好きな人すらできないボッチになってしまった。


ある日のこと、いつも通り学校に行って帰って、健康な日を過ごすとその日不思議な夢を見た。

本当に不思議な夢だ。

自分の身長が伸びたような気がして、体が軽かった。しかし、その周りを見渡すと魔物たちが国を作っていた。俺には理解できないような光景だったが自然と安心できている自分がいた。

その周りを見ていて分かったのは人はいないということだけだった。見ているとゴブリンやスライム、ゴーレムなんかもいた。

疑問に思ったのは


「こんなに人型で知性が高かったか?」


こんな疑問しか浮かばなかった。それはそうだろう。想像していた魔物とは全く違って、とてつもなく知性があり、人のような形態をした魔物モンスターだ。想像と違うのも頷ける。そして、かっこいいしかわいい。なんか心が和んだ。

ずっとこのままでいたい。本気でそう思った。だって魔物たちが仲良くしてて、とても楽しそうだった。


そう思ったのも束の間。遠くから何かがやってきた。

そこには武装している人間の集団がやってきた。俺は即座に避難を伝えた。


「早く逃げろ!」


しかし、これは夢だ。伝わってはいない。そうして自分が何が起きるのかを予測した。


「最悪だ…」


予測した運命は悲惨だった。だから自分に言い訳をした。


きっとこれから起きることは人間と魔物の交渉だ。きっと平和になるはずだ。知性だって高い、反抗的な様子もない。こんないい魔物達モンスターなんだ、きっと取引しに来たに違いない。


そう言い訳をした。


なぜ言い訳をしたのかわからない。

事実は変わらないから意味のないことなのに。ゲームでも、漫画でも、小説でも、すべて人からの目線だった。

そう、魔物とは悪でしかなかったという概念しかないのか。冒険者たちがモンスターを狩っていくのは自然なことなのか。自分でもわからなくなった。

目の前では最初の予想通りの結果だった。俺は辛かった。目の前でさっきまで笑って過ごしていた❘奴ら(まものたち)が残酷にやられていくざまを見ていて。血しぶきが舞い、悲鳴が上がり、人間たちが奇妙に笑っている。俺には意味が解らない。なぜ襲ったのか、なぜ笑っているのか、なぜ殺すのか。

俺の心は崩れるように壊れていった。


この時俺は理解した。人の理念を。不条理さを。


人は何も考えていない。人は自分たちのことしか考えていない。最低な族だ。許せない。


自分も人間であることを恨んだ。人間を恨んだ。人間不信気味だったのがいつの間にか完全な人間不信になっていた。



『一定の条件レベルに達しました。』



そして朝、人生の中で最悪の目覚めをした…

初投稿です。最後までお読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ