aurora arc
レビュー執筆日:2020/1/5
●タイアップ曲らしい分かりやすさを残しながらも、そこにあるのはいつものBUMP OF CHICKEN。
【収録曲】
1.aurora arc
2.月虹
3.Aurora
4.記念撮影
5.ジャングルジム
6.リボン
7.シリウス
8.アリア
9.話がしたいよ
10.アンサー
11.望遠のマーチ
12.Spica
13.新世界
14.流れ星の正体
前作『Butterflies』から10を超えるタイアップ曲を発表してきたBUMP OF CHICKEN。今作はそれら全てが収録されており、半ばベストアルバムのような構成になっています。全体的に言えば、少々マンネリ感がある点は否めないのですが、前述の通り、タイアップ曲が多いということもあってか、耳に残るフレーズを色々と織り込んでいる印象があり、やや地味に感じられた前作と比べて色々と「分かりやすくなった」ように思えます。特にアルバムの後半において顕著で、『アリア』はインパクトのあるコーラスが何度も出てきますし、『話がしたいよ』は彼らにしては珍しい「変ロ長調」のメロディが新鮮に聞こえます。『望遠のマーチ』はCMソングいうこともあってかサビの冒頭のフレーズがかなりキャッチーですし(RADWIMPSの『前前前世』に少し似ているような気がしますが)、『新世界』はこれまた彼らにしては珍しい「ヘ長調」のメロディに乗せて「ベイビーアイラブユーだぜ」と陽気に聴かせてくれます。
これだけタイアップ曲が多いとアルバムとして散漫になりそうな気がするのですが、曲調はやはりギターロックを主軸としながらも時折打ち込みを入れる「『RAY』以降のBUMP OF CHICKEN」という感じでしっかりと統一感はあり、先程挙げた「マンネリ感」というものが良く働いているように思えます。『Aurora』は全体的に『ray』を彷彿とさせますし、『リボン』は彼らの過去の楽曲で書かれたフレーズが随所に出てきます(「ガラス玉」(カルマ)や「手作りの地図」(ロストマン)等)。また、最後に収録されている今作では数少ないノンタイアップ曲の『流れ星の正体』は「歌を作る理由」というものが丁寧な描写で綴られており、それによってアルバム全体が上手く引き締まっているように感じられました。
BUMP OF CHICKENのソングライターであるボーカルの藤原基央は、普段からあまりアルバムというものを意識せずに曲を作っているようで、今作にもそれが大きく表れているのですが、こうやってアルバムとして一つの形になるとやはりちゃんとまとまった感じになる、という点に彼らの面白さと不思議さを感じられる一枚でした。
評価:★★★★★