#42:秘密を知る者
2年3組 1人 死亡 29人
NO/15 曽根浩太 男
それから俺は、仁と桜の計画を全て知るため、彼らのパソコンや携帯を気付かれないようにハッキングしたり、会話を盗み聞きするための盗聴器を仕組んだり、様々な面で動いた。
そんな中で、大吾をいじめさせるように、仁に・・・裕樹に仕組んだのだ。
あいつは、絶対に許せなかったから。
あいつは、桜と俺があの特別な施設に入っていたことを、知ってしまっていたのだ。
そして、それをばらすと俺を脅していた。
それは、桜が施設に電話をかけているところから始まった。
―――――
施設から出て数年たつと、施設と絶縁し、殺し屋などになるか、そういう専門の団体に入るか、普通の人間として過ごすかという選択を迫られる。
ごくありきたりな人間なら、普通の人間として過ごすということを選ぶだろう。
だが、あの施設で育ってしまった以上、大抵の人間は、殺し屋や団体という選択肢を選ばざるを得ないのだ。
もちろん、俺のような特別待遇は、施設を出ても、直にまた施設に戻り、影の仕事を行う。
それが、この施設の決まりだった。
そして、その迫られた桜は、殺し屋としてすごすことを決めた。
それが、大吾が俺たちの秘密を知ってしまったきっかけだった。
俺が学校に入って直、彼女は殺し屋を選択し、施設に報告の電話をかけていた。
俺は、その場を影から見て、施設に直接報告する。
だが、大吾は、そんな桜の姿を見、声を聞いてしまったのだ。
そして、影から見る俺の姿も――――――――。
そして、それから彼の詮索が始まった。
べたべたと桜にくっついては、何か話を聞き出そうとする。
俺が少しでも桜を視線を交わせば、「表とどういう関係だ?」と尋ねてくる。
正直、鬱陶しい以外に何でもなかった。
そして、俺たちから情報を引き出せないことに腹を立てた奴は、俺をいじめるように、哲也にけしかけた。
それから、学校という、ろくでもない生活が、余計面倒になってしまった。
いちいちびくびくしている演技を続けるのも、正直面倒だったし、本当なら一瞬で殺せる奴らをびびっているふりをするのは、精神的にも疲れた。
そして、その一瞬の気の緩みが、大吾に秘密がばれるきっかけになってしまった。




