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生贄ゲーム  作者: 奏良
41/47

#40:全ての答え

2年3組 1人  死亡 29人


  

 

 

 


 


              

   

NO/15 曽根浩太そねこうた 男

 

 

   

 

 

 

 

 

「は?」

「だから、あいつらをこの施設に連れ戻して、我々と同じ監修役兼殺し屋として働いてもらう」

俺は思わず呆然とした。


何でだよ・・・何でだよ・・・何でだよ・・・!


「何でだよ・・・!」

「何でって言われてもなぁ」

飯神が、苦笑いをして頭を掻く。

俺の反応が意外だったのか、あれだけ経験をつんでいた飯神でさえ、目が驚きを隠しきれていない。

「絶対ダメだ!」

「施設の決定だぞ」

「それでも、ダメだ!」

声を引きつらせて、俺は叫ぶ。

こんな思いを、彼らにだけはさせちゃいけない。

絶対!

「もう、決定したことなんだ。こんな世の中の浄化に貢献できるんだ。あいつらだって、望んでることさ」

こいつは、本気でそんなことを思っているのか。

俺は、目を見開いた。

「それに、もう決定したことなんだ。変えられない」

その場で、飯神を殺す事だってできた。

だけど、そんなことをすれば、この施設の存在が公になりかねない。

それだけは、避けねばならなかった。

だから俺は、飯神が笑って出て行くのを、ただ見つめるだけだった。


俺が、望んで人を殺しているはずが無いじゃないか。

他の職員だってそうだ。

この世に、自ら望んで人を殺す奴なんて、いるはずが無いんだ。

人間には、情がある。

決して、解けない「情」という鎖があるのだ。

けれど、飯神はそれすらも解いてしまった。

その鎖を解いてしまった奴は、もう、人間じゃない。正真正銘の、バケモノなんだ。

奴は、それに気付いていない。

誰もがそう感じていると思っている。

自分の行動を正当化しようとしている。

そんなのは・・・そんなのは、俺たちの間で起きている、いじめと全く同じなんだ。


俺は、施設の職員だ。

物心ついたときから、この施設で殺し屋として育てられてきた。

様々な「悪」を犯した奴を、裁く。

それが俺の仕事。

そして、俺はあの施設の育成機関に入り、今の実況を本部に伝えていた。

それと兼用して、もちろん殺しもしていた。

昔は無我夢中で殺しにかかっていたが、今は訳が違う。

人を殺すのは、苦しい。

施設の考えにも、賛成できなくなっていた。

誰にも、人を裁く権利なんて無いのに。


この世は、複雑だ。

悪が正当化され、誰もそれをさばくことはできない、

なのに、人間は、そのありもしない権利を振り回す。

それでは、誰が悪人を葬ればいいのか?

飯神は、それは自分だと思ったのだ。人を裁く権利は、自分にあると思ったのだ。

鎖をとく鍵は、それだった。

俺には・・・できない。

そう、仁と桜にも、そんな思いをさせるわけには行かない。







だから、仁と桜を殺した。

彼らも死ぬように仕向けた。


これが、全ての答えなのだ。

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