#38:本当の過去
2年3組 1人 死亡 29人
NO/15 曽根浩太 男
帰り道、俺はいつもどおり一人だった。
一緒に帰ってくれる「友達」なんて、いないし、必要ない。
必要ないものを持ち運ぶほど、俺はお人よしじゃない。
施設にいた頃は、仁と桜と嘘の笑顔をかわして楽しんでいた。
友達じゃない。だけど、大事な仲間だと思っていた。
不意に、桜の顔が浮かぶ。こっちに近寄りたいんだろう。だけど、目立ったことは禁止されているから近寄れないんだ。
わかっている。心ではわかっているのに、体は言うことを聞かない。
自然に、涙は流れていた。
それは、もう一度仲間になりたいからじゃない。
俺が、彼らの未来を知っているから―――――――。
桜と仁だけは、施設のことなんて忘れて、楽しく暮らしてほしい。
なのに、こんなの――――悲しすぎる。
「おい!」
その時、不意に後から突き飛ばされた。
涙を瞬時に止め、顔をごまかす。
振り返ると、大吾が俺の顔をみてにやりと笑っていた。
俺は、無言で再び歩き始める。
「なんだよ、つれねぇな・・・あれ、ばらしても良いんだぜ?」
動きが止まった。
俺は振り返って鬼の形相で睨みつける。
「おー、怖!」
わざとらしく大吾が笑った。
殴りたい気持ちを押さえて、俺は歩き始める。
許さない。あいつだけは、絶対許さない。
俺は心に誓い、後からいやらしく叫んでくる大吾を無視し、歩きつづけた。
その時、再び勢い良く突き飛ばされた。
俺はまた大吾かと睨もうとしたが、視界に入ってきたのは別の人物だったので、慌てて目を伏せる。
「邪魔なんだよ、気色悪りぃ」
そう言って、哲也が俺を勢い良く車道の方に突き飛ばされた。
その時、運悪くというんだろうか、車がやってきて―――――
俺の意識はとんだ。




