#32:過去の恨み
2年3組 4人 死亡 26人
NO/4 影松仁(植田裕樹) 男『SYADO=』
NO/6 高松桜 (表真夕) 女『SYADO=』
NO/12 小林陸 男
NO/19 千田泰葉 女
「し・・・んだ・・・?」
かすれた声を必死に出して、泰葉は仁に問い掛ける。
「あぁ、死んだよ」
憎しみにあふれた声が、彼の口から溢れ出す。
「そうか、君は、転校したって安田沙織たちから聞いていたわけだね?
違う。嘉人は・・・嘉人は、彼らに、殺されたんだ!」
殺された・・・?
目を見開く。
何故?それが、このゲームの裏にあった、理由だというの?
「あの頃のいじめのボスは、哲也や乙矢、あそこ当たりの連中さ。
嘉人が死んだ日、あいつらは、嘉人が一人で下校しているところを、無理矢理車道に突き飛ばした。
そして――――――――」
運悪く、そこに、車がきた。
それは、聞かなくても、十分推測のできることだった。
「しかも、嘉人を轢いた車は、その頃の担任の息子・・・水橋忠行。
あいつは、まだ大学生で、人を轢いてしまったとわかれば、退学になる。
恐らくそう思ったんだろう。そして、あいつは・・・あいつは・・・」
唇をきゅっと結んで、仁は目をするどくした。
――――――
「証拠を消した。嘉人はまだ息をしていたのに・・・!」
陸は黙ってうつむく。
表の目に、うっすらと涙の膜が張った。
そこから先は、俺でも知っている話だった。
水橋は、嘉人を崖の下に落とした。
父親である、当時の担任の水橋定富は、自分の地位を守るため、そのことを黙認し、嘉人は転校したと偽って、事故のことをもみ消した・・・――――――――。
「自分が嘉人を殺してしまったと思い込んだ哲也たちは、教室でこのことを一切口にするなと言った・・・実際、彼らが嘉人を殺した、といってもいいわね」
俺はそのときの哲也の表情を思い出す。
いつも強気なあいつに似合わない、酷くおびえた表情をしていたっけ。
「これが、私たちSYADO=が動いた理由。全部、嘉人の為にやったのよ。わかった?」
表はそう言って、ナイフを構えた。
「最後に教えて、どうして、SYADO=のボスが水橋じゃないって気付いたの?」
「水橋が・・・俺たちに謝ったのを思い出したから」
俺らをここに連れてくるまでの過程で、水橋は朝礼で一番始めに、俺たちに謝った。
これから、こんな殺戮の世界を作り上げ、俺たちに復讐を遂げようとしている人物が、そんな風にするのは、不自然だ。
それに、気付いたから。
「ありがとう。じゃあ、お礼に、苦しまずに一瞬で殺してあげるわ」
表はそう言ってナイフをきつく握り締めた。
――――――
「僕らは、復讐を遂げた。嘉人の敵を討った。哲也も、乙矢も、その周りの連中も、桜と、僕とで、殺した。
君も、もう、口も利けないだろう。意識を手放せば、楽になれる」
仁はそう言って、すでに動かない泰葉を見下ろす。
そろそろ、桜もけりがついた頃だろう。
「バイバイ、千田。うらむんなら、このクラスに入ってしまった事をうらめ」
脈は、確認する必要はないだろう。もう、ピクリとも動かない。
僕はゆっくりと窓に向き直る。
ここから出る鍵は、今もポケットの中だ。
川角緒美に拾われたときは、どうなることかと思ったが、無事、取り返すことができた。
取り返したのは飛鳥だが、やっぱり、あいつは捨て駒で十分だったな。
みーんな、駒。
それを配置した僕自身も、駒なのかもしれない。
さて、桜のところに行こうか。
そう思ったときだった。
「待ちなよ」
その声は、今まで何度も聞いたことがある声だった。
その声のはずなのに、いつもよりも、はっきりとして、よく通る声に聞こえた。
「なっ?!」
そこには、さっき死んだはずの千田が立っていた――――――――。




