#22:生命の値段
2年3組 9人 死亡 21人
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/12 小林陸 男
NO/19 千田泰葉 女
NO/21 寧都留香 女
NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男
NO/27 三浦慶 男
NO/29 安田沙織 女
さすがに、みていられないな・・・。
陸は、そう思って目を伏せた。
美穂の死に、心が動かされるわけでもなく、心は残虐な魂が宿っている。
俺の目的は、復讐だ。
哲也を殺すという、復讐だ。
美術室にきたとき、哲也の姿が無いのに、正直あせった。
でも、よく考えれば、自分が人殺しとせがまれるのは目に見えていることだ。
自分から出てくるはずが無い。
いいだろう・・・俺が見つけてやるよ。
見つけて、コロス。
だから、それまで死ぬんじゃねェぞ。
俺は、自分の顔がにやけていないか気になったが、誰もこっちを向いてはいない。大丈夫だろう。
「次」
合成音は冷たく言い放つ。
そうだ、俺が生き残らなければ、あいつを殺すことなんて不可能なんだ。
絶対、当てられるものか。
「松井悟」
よっし、セーフ。
不謹慎とわかりながら、そう思ってしまった。
もちろん、そんな気持ちを行動に示すようなへまはしない。
「畜生・・・」
悟は、そう言いながら、俺らを恨めしげに見つめ、美術室を後にした。
同じようにして、悟るも殺されていく。
そしてすぐさま、
「次」
という声が聞こえてきた。
「寧都留香」
「な・・・」
安田が思わずといったように声を上げる。
「何で、留香が!」
そういえば、安田と寧都はいつも一緒にいたな。すごく仲が良かった。
仲がいい奴が死ねば、ここまで戸惑うものしょうがないだろう。
俺が、哲也に復讐を誓ったように。
「いいの、沙織」
寧都は安田よりもかなり落ち着いた口調で、言った。
「私、生命保険がかけてあるの、知ってた?」
「え?」
その言葉には、俺も驚いた。
生命保険がかかっている奴がクラスメイトにいたとは。
それも、本人は他殺のチャンスを狙っていたとは。
「これで、私が自殺以外で死ねば、保健が降りる。そうすれば、希沙は助かるの・・・。
私は、死ぬから。もし、沙織が生き残ったら、絶対私が自殺じゃないって、証言してね」
希沙。
確か、寧都の妹だったか。心臓に病気を患っているといっていたのを聞いたことがある。
そうか、だから、自分が死ねば、と。
「沙織、本当に、今までありがとうね。沙織は、生き残って・・・」
寧都はそう言い残して、出て行った。
「いや・・・いや・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
安田が叫んで座り込む。
「あんたのせいよ!」
そして、あいつは俺を指差した。
「は?」
「シャドーはあんたなんでしょう?!」
「はぁ?」
俺は、大きく溜息をついた。
「ちょっとまってよ、沙織」
「そうだ、何でそんな事言い切れるんだよ」
千田と飛鳥が反論する。
「だって、そうなの!絶対、こいつなの!」
「言いがかりもいい加減にしろよ」
俺はついに声を出した。
「何よ!私、知ってるんだからね!」
それを、凌が制す。
「今は仲間割れしているときじゃないだろう!」
「あのさ・・・私、気になることがあるんだけど・・・」
不意に、そう言ったのは表だった。
「何?」
「さっき、綱を持ってた手があったじゃない?」
「あぁ」
「あの手に、指輪がついてたの・・・水橋先生がつけてるのと同じのが」
「え・・・?」
沈黙が流れる。
安田ですら黙り込んだ。
「つまり・・・シャドーは」
「水橋」
表の言葉を飛鳥がつなぐ。
「ほら、みろ」
「・・・!」
俺は安田を睨みつけた。
亀裂なんて、どんどん広がっちまえ。
俺の頭の中には、もう、復讐のことしか残っていない。




