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生贄ゲーム  作者: 奏良
22/47

#21:公開処刑

2年3組 12人  死亡 18人


  

  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女


              NO/12 小林陸こばやしりく 男

 

  


NO/19 千田泰葉ちだやすは 女

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  

NO/27 三浦慶みうらけい 男  

NO/29 安田沙織やすださおり 女

その時、テレビに、由梨絵が映し出される。

沙織は息を呑んだ。

天井に、たくさんの太い針がついたベッドに由梨絵が寝転がっていた。

これから起きることは容易に想像がつく。

「くし・・・ざし・・・」

美穂が小さくつぶやいた。

「嫌・・・あんなので死にたくないよ・・・」

それは、みんな同じ。

私だって、憎むべき人なら殺せると思った。

でも・・・そんなの簡単なことじゃない。

誰だって、人殺しなんかになって嬉しいわけが無い。ましてや、死にたいはずもない。

少なくとも、この中にいる人間は、そのはずだ。

「何か、最後に言いたいことはあるか?」

機械の合成音が由梨絵に問い掛ける。

「無い。将も一緒に逝ってくれたから」

ずきんと胸が痛んだ。

やっぱり、将君も死んだんだ。

私は小林陸をばれないように睨む。

お前のせいで・・・。

憎しみを込めて、目をさらに細める。

「そうか、では・・・」

指を鳴らす音がした。

とたんに・・・映像の片隅に、手が小さく写り、命綱である太い綱を手放した。

そして、ベッドの天井は、音を立てて由梨絵の上に容赦なく降り注いだ。

みてなんて、いられるはずも無い。

ぎゅっと目を閉じて、でも、ずっとそうしているわけにも行かず、私は目を開けた。

「ひっ・・・」

小さく悲鳴が漏れた。それ以上の声は、上げられなかった。

完全に串刺しになった由梨絵は、目をかっと見開き、口からも血を吐き出し・・・死んでいた。

死んだ。

死んだ・・・なんで?

なぜ、由梨絵は死ななきゃいけなかったの?

他の人もだよ。

何で、彼ら、彼女らは死ななきゃいけなかったの?


「俺らだって・・・殺しの対象外じゃないだろ」


小林陸の言葉を思い出す。

あの日のいじめが・・・原因なの?

だって、関係ない人だっているじゃない。

泰葉も、死んだ裕樹君も、あのいじめに関係ない人じゃない。

じゃあ、どうしてみんな死んでいくの?

嘉人君が、死んでしまった(・・・・・・・)から?

その時、不意にテレビが消えた。

「次」

その合成音は、私には笑いを含んでいるように聞こえた。


「長谷川美穂」


「い・・・や・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

美穂は、泣き崩れた。

誰も、声なんてかけてやれなかった。

かけてやれるはずも無い。

「死にたくないよ・・・死にたくない・・・」

「後5分以内に来なければ、建物を爆破する」

まるで、氷のように冷たい合成音は、美術室中を凍りつかせた。

「凌、陸・・・今まで仲良くしてくれて、ありがとう・・・」

美穂は、合成音の言葉で正気に戻ったように・・・戻れるはずも無いのだが、とりあえず心を落ち着けさせ、立ち上がった。

どちらにしても、生きては帰られないと思ったのだろう。

「美穂・・・」

「バイバイ」

その言葉が、この場にいる全員の背中に重くのしかかった。

美穂は、ゆっくりと美術室の扉を閉める。

その後、由梨絵のときと同じように、美穂はむごく殺された。

みんな、何もいえなくて、何か言えるはずもなくて、ただ、沈黙が流れた。

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