#20:隣り合わせの死
2年3組 12人 死亡 18人
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/7 薫由梨絵 女
NO/12 小林陸 男
NO/19 千田泰葉 女
NO/21 寧都留香 女 NO/22 春哉将 男
NO/23 長谷川美穂 女 NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男
NO/27 三浦慶 男
NO/29 安田沙織 女
「まだ、終わらないのかな?」
泰葉は一人でいるのがつらくて、怖くて、悲しくて、一人ぽつんとしゃがみこんでいた。
その時、まるで泰葉の願いが通じたかの如く、
ピンポンパンポン
という、学校等でよく使用される音がなった後で、
「殺し合いゲームを終了します」
と、機械の合成音と思しき声が聞こえた。
SYADO=だろうか?
だとすると、彼(もしくは彼女)が私たちに直接指示を下すのは、これが初めてだ。
「次のゲームは9:05から開始します。美術室に集合してください」
まだ続くの・・・?
悲しくて、涙があふれた。
それでも、思い足取りで美術室へ向かう。
もちろん、ゲームなど無視してその場にとどまることもできた。
でも、この施設を支配しているのはSYADO=だ。勝手な行動をして、死ぬことだって大いに考えられる。
みんなそう思ったのか、残り少ない級友が続々と美術室に集まり始めた。
「これから・・・一体何が始まるんだろう?」
留香がポツリとつぶやく。
みんなそう思っているのだろう、誰もその声に反応しない。
慶君の姿は、やっぱり無かった。
あの後、何処へ向かったのだろう?
麗佳が死んで、ひょっとして、自ら命を絶ってんじゃ・・・。
そんな予感がして、私は背筋が寒くなった。
「人殺しの諸君、気分はどうだろうか?」
その時、頭上のスピーカーから機械の合成音が聞こえてきた。
どこか、馬鹿にしたような雰囲気がある。
でも、そんなことに誰も突っかかることは無かった。
「さて・・・次のゲームだが、次は、“公開処刑”だ」
「こ・・・う・・・開?」
その言葉を聞いただけで、泣き出す子もいる。
当然だろう、今までここにいて、何が起きるかなど、大いに想像がつく。
目の前で、人が死ぬのだ――――――。
「机の上に箱があるのがわかるだろうか?それは、機械仕掛けのくじだ。
それを、機械がランダムに引いて行く。当たった人物は、速やかに3階の多目的室までくること。
そこからは、来て見ればわかる。
6人処刑したところで、このゲームは終わり、次へ進む。
尚、当たったのに多目的室に来ない、別の人物が行くなどの、不祥事があった場合、この建物を爆破する。
では、健闘を祈る――――――」
そこで、放送が切れた。
私たちの視線は、机の上の箱とその横のテレビに向いている。
このテレビに、処刑の現場が写しだされるのだ。そう思うと、気分は最悪など当に通り越していた。
「一人目」
不意に、スピーカーからそんな声がした。
そして、箱から出てきたくじには
「薫由梨絵」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
由梨絵がへなへなとしゃがみこむ。
誰も何も言ってやれなくて、由梨絵を見つめていた。
「由梨絵・・・行こう?」
そう言ったのは
「将君・・・」
「俺も、一緒に死ぬから」
空気が一気に沈んだ。
そんな・・・。
誰もがそう思っても、声に出すことはできない。
「僕は多目的室の前で死ぬ。それを見届けてから君も多目的室に入るといい」
「わかった」
二人は手を取り合い、美術室を出て行った。
涙すら、流れなかった。




