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生贄ゲーム  作者: 奏良
21/47

#20:隣り合わせの死

2年3組 12人  死亡 18人


  

  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女


              NO/12 小林陸こばやしりく 男

 

  


NO/19 千田泰葉ちだやすは 女

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  

NO/27 三浦慶みうらけい 男  

NO/29 安田沙織やすださおり 女

「まだ、終わらないのかな?」

泰葉は一人でいるのがつらくて、怖くて、悲しくて、一人ぽつんとしゃがみこんでいた。

その時、まるで泰葉の願いが通じたかの如く、


ピンポンパンポン


という、学校等でよく使用される音がなった後で、

「殺し合いゲームを終了します」

と、機械の合成音と思しき声が聞こえた。

SYADO=だろうか?

だとすると、彼(もしくは彼女)が私たちに直接指示を下すのは、これが初めてだ。

「次のゲームは9:05から開始します。美術室に集合してください」

まだ続くの・・・?

悲しくて、涙があふれた。

それでも、思い足取りで美術室へ向かう。

もちろん、ゲームなど無視してその場にとどまることもできた。

でも、この施設を支配しているのはSYADO=だ。勝手な行動をして、死ぬことだって大いに考えられる。

みんなそう思ったのか、残り少ない級友が続々と美術室に集まり始めた。

「これから・・・一体何が始まるんだろう?」

留香がポツリとつぶやく。

みんなそう思っているのだろう、誰もその声に反応しない。

慶君の姿は、やっぱり無かった。

あの後、何処へ向かったのだろう?

麗佳が死んで、ひょっとして、自ら命を絶ってんじゃ・・・。

そんな予感がして、私は背筋が寒くなった。

「人殺しの諸君、気分はどうだろうか?」

その時、頭上のスピーカーから機械の合成音が聞こえてきた。

どこか、馬鹿にしたような雰囲気がある。

でも、そんなことに誰も突っかかることは無かった。

「さて・・・次のゲームだが、次は、“公開処刑”だ」

「こ・・・う・・・開?」

その言葉を聞いただけで、泣き出す子もいる。

当然だろう、今までここにいて、何が起きるかなど、大いに想像がつく。

目の前で、人が死ぬのだ――――――。

「机の上に箱があるのがわかるだろうか?それは、機械仕掛けのくじだ。

それを、機械がランダムに引いて行く。当たった人物は、速やかに3階の多目的室までくること。

そこからは、来て見ればわかる。

6人処刑したところで、このゲームは終わり、次へ進む。

尚、当たったのに多目的室に来ない、別の人物が行くなどの、不祥事があった場合、この建物を爆破する。

では、健闘を祈る――――――」

そこで、放送が切れた。

私たちの視線は、机の上の箱とその横のテレビに向いている。

このテレビに、処刑の現場が写しだされるのだ。そう思うと、気分は最悪など当に通り越していた。

「一人目」

不意に、スピーカーからそんな声がした。

そして、箱から出てきたくじには


「薫由梨絵」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

由梨絵がへなへなとしゃがみこむ。

誰も何も言ってやれなくて、由梨絵を見つめていた。

「由梨絵・・・行こう?」

そう言ったのは

「将君・・・」

「俺も、一緒に死ぬから」

空気が一気に沈んだ。

そんな・・・。

誰もがそう思っても、声に出すことはできない。

「僕は多目的室の前で死ぬ。それを見届けてから君も多目的室に入るといい」

「わかった」

二人は手を取り合い、美術室を出て行った。


涙すら、流れなかった。

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