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生贄ゲーム  作者: 奏良
20/47

#19:憎むもの、憎まれるもの

2年3組 17人  死亡 11人


  

NO/3 石見紀子いわみのりこ 女  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女


              NO/12 小林陸こばやしりく 男

NO/13 佐野之治さのゆきじ 男  

NO/15 曽根浩太そねこうた 男  


NO/19 千田泰葉ちだやすは 女

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  

NO/27 三浦慶みうらけい 男  NO/28 森安哲也もりやすてつや 男

NO/29 安田沙織やすださおり 女

「どこだ・・・」

陸は、ものすごい形相で哲也を探していた。

今まではみんなと一緒に行動していたから、目立って哲也を探すことはできなかったけれど、今、俺は一人。

裕樹を殺した復讐。そして、凌に対する制裁。

全部、俺がやってやる。

模擬校舎をぐるぐると回り歩く。

それまでに、たくさんの死体を見つけた。

佐野之治。曽根浩太。首にロープで縛ったような後があった。

おそらく、宝麗佳がやったのだろう。実質、ナイフなんかで女子が男子を殺すことはできない。

でも、絞殺なら・・・可能な点はいくらでもある。

それから、石見紀子。こいつのことはあまり知らないけど、裕樹はいつも気にかけてたっけ。

地味だったから、次にいじめられないかってずっと言っていた。

でも、そんな心配は虚しく、彼女は死んでいた。

どれもこれも、哲也のせいな気がした。

ううん、気がした、じゃない、哲也のせいなんだ。

だから、俺は絶対この手で哲也を殺してみせる。

その勢いで、俺は走りつづけた。

でも、これだけ走っているのに生存者になかなか出くわさない。

今、何人が生きているのか?

それすら把握することはできなかった。

その時、俺は大吾を見つけた。

「おま・・・」

死んでいた。後から背中を刺されて。

一体誰が?

俺は冷たくなった大吾に触れて、疑問を考えつづけた。

そして、結論が出た。

「・・・哲也だ」

あいつしかいない。

あいつに利用されて、殺されたんだ・・・!

ふつふつと怒りが湧き上がってきた。

絶対、コロス。

俺は心に誓い、再び走り出した。


  ――――――


「畜生」

森安哲也はあれから一人で数学教材室に身を潜めていた。

教材まで緻密に再現してあって、隠れるのには最適だったから。

俺は死にたくない。

だから、これ以上走っているのは危ないと、直感で感じた。

そして、今にいたる。

俺は、死ぬわけには行かない。ここから出たら、危険だ。

それは、あれから先のゲームがどうなったのか知らない俺でも把握は可能だった。

これだけ悲鳴が聞こえてくれば、今どういう状況なのか理解は十分にできる。

数学教材室にいても、外からの悲鳴はすごくよく聞こえた。

いくつもの断末魔の叫びが、鼓膜を劈くように聞こえてくる。

俺は悪くない。

何度もそう言い聞かせて、自分を納得させて、その悲鳴を振り払った。

だけど、このゲームは何時まで続くんだ。

いや・・・ゲームじゃない。なんて呼んだらいいのかわからないけれど、もう、ゲームなんて域はとうに超えている。

俺は不意にSYADO=からの文章を思い出した。


“これは、ゲームです”


“あなたたちが、いつもやっている“遊び”と同じ”


何が遊びだ。

思い出したとたん、腹立たしくなってきた。

裕樹の件も、大吾をいじめていたのも、全部俺のせいにされて、面白いワケが無い。

絶対生きて帰って、あいつらの鼻先をへし折ってやる。

そう誓った矢先だった。


「みーつけた・・・」


俺には、その声が誰の声なのかわからなかった。

あまりにも、突然すぎた。


バン バン バン


そんな乾いた音が数回して、俺は教材の山の中に倒れこんだ。

何だ?

状況が理解できなかった。

胸や足が鈍く痛む。撃たれた・・・のか?

視界が曇っていく。

俺は薄れていく意識の中で、自分の方を見てにやりと笑っている奴を見た。


「お前は・・・?!」


そうつぶやいたところで、もう一度銃声がした。


やだよ・・・しにたくないよ・・・シニタクナイ・・・


その願いも虚しく、俺は、

死んでいった。

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