#16:偶然−必然
2年3組 18人 死亡 12人
NO/3 石見紀子 女
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/7 薫由梨絵 女
NO/12 小林陸 男
NO/13 佐野之治 男
NO/15 曽根浩太 男
NO/17 田部大吾 男 NO/18 宝麗佳 女
NO/19 千田泰葉 女
NO/21 寧都留香 女 NO/22 春哉将 男
NO/23 長谷川美穂 女 NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男
NO/27 三浦慶 男 NO/28 森安哲也 男
NO/29 安田沙織 女
これは、俺たちの招いた現実。
俺たちのクラスでいじめなんてあったから・・・こんなことに・・・。
凌はうつむいたままそう思った。
「いじめなんて・・・あっていいものじゃなかった・・・わかってたのに、何もできなかった結果が・・・これなの?」
千田が目に涙をためてそういう。
「そうだよ・・・」
陸が続けた。
俺もそう思う。陸に共感したのは久しぶりだ。
やっぱり、陸も人間だった。
復讐なんていっていたって、ちゃんといけないってこと、わかってるんだ・・・。
なんだか、無償にそのことが嬉しかった。
「いじめって言えばさ・・・小学校の頃もあったよね」
そう口を開いたのは安田だった。
心なしか、陸を睨みつけるようにしてみている気がした。
「そうなの?」
千田が疑問を投げかけてきた。
そうだ・・・千田は中学に上がるときに転校してきた。
小学生の頃の話は知らない。
「ひどかったよ・・・今と変わらないくらい」
安田が思い出すように言う。
表もうなずいた。
「確か、あの時いじめられてたのは・・・」
そう、いじめられてたのは・・・ただ一人。
「“絵馬嘉人”」
俺と安田の声がかぶる。
「絵馬?」
「転校しちゃったの」
「そうなんだ・・・」
「それから、入れ替わるように裕樹が転校してきた」
慶がそう小さくつぶやいた。
いじめられっ子が転校して、リーダー格の少年が転校してきた。
なんて皮肉な話だろう。
裕樹の屈託のない笑みが脳裏をよぎる。
思わず涙ぐみそうになって、天井を見上げた。
「ひょっとして・・・」
陸が急に言い出した。
「これ・・・嘉人の呪いなんじゃねェの?」
「な・・・」
俺は開いた口がふさがらない。
今、何て事を言い出すんだ・・・。
「だって、あの頃のいじめにかかわってた奴は、みんなうちのクラスだぜ?偶然にしてはできすぎてる」
「だからって、そんな・・・」
千田はかすかに震えていた。
「俺らだって・・・殺しの対象外じゃないだろ」
陸は吐き捨てるように言った。
千田以外の全員が全てを悟って真っ青になる。
「嘉人君が・・・」
安田がそうつぶやいた。
慶と表は、ただ青ざめた顔でうつむいていた。
「そうだよ・・・あのときの担任、水橋って名前の先生だった・・・」
「・・・!」
安田がいった。驚きに声すら上げられない。
水橋忠行。今の担任の名前だ。
そうだ・・・思い出した・・・!
「あいつの親父だ・・・」
俺より先に、陸がつぶやく。
「どういうこと?」
千田が怪訝な表情を向けてきた。
「現担任水橋忠行は、あの頃の担任、水橋定富の息子だ・・・」
全員が、硬直したように黙り込んだ。
空気が固まった気がした。
これは・・・偶然なのか?




