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生贄ゲーム  作者: 奏良
17/47

#16:偶然−必然

2年3組 18人  死亡 12人


  

NO/3 石見紀子いわみのりこ 女  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女


              NO/12 小林陸こばやしりく 男

NO/13 佐野之治さのゆきじ 男  

NO/15 曽根浩太そねこうた 男  

NO/17 田部大吾たなべだいご 男  NO/18 宝麗佳たかられいか 女

NO/19 千田泰葉ちだやすは 女

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  

NO/27 三浦慶みうらけい 男  NO/28 森安哲也もりやすてつや 男

NO/29 安田沙織やすださおり 女

これは、俺たちの招いた現実。

俺たちのクラスでいじめなんてあったから・・・こんなことに・・・。

凌はうつむいたままそう思った。

「いじめなんて・・・あっていいものじゃなかった・・・わかってたのに、何もできなかった結果が・・・これなの?」

千田が目に涙をためてそういう。

「そうだよ・・・」

陸が続けた。

俺もそう思う。陸に共感したのは久しぶりだ。

やっぱり、陸も人間だった。

復讐なんていっていたって、ちゃんといけないってこと、わかってるんだ・・・。

なんだか、無償にそのことが嬉しかった。

「いじめって言えばさ・・・小学校の頃もあったよね」

そう口を開いたのは安田だった。

心なしか、陸を睨みつけるようにしてみている気がした。

「そうなの?」

千田が疑問を投げかけてきた。

そうだ・・・千田は中学に上がるときに転校してきた。

小学生の頃の話は知らない。

「ひどかったよ・・・今と変わらないくらい」

安田が思い出すように言う。

表もうなずいた。

「確か、あの時いじめられてたのは・・・」

そう、いじめられてたのは・・・ただ一人。

「“絵馬嘉人(えまよしと)”」

俺と安田の声がかぶる。

「絵馬?」

「転校しちゃったの」

「そうなんだ・・・」

「それから、入れ替わるように裕樹が転校してきた」

慶がそう小さくつぶやいた。

いじめられっ子が転校して、リーダー格の少年が転校してきた。

なんて皮肉な話だろう。

裕樹の屈託のない笑みが脳裏をよぎる。

思わず涙ぐみそうになって、天井を見上げた。

「ひょっとして・・・」

陸が急に言い出した。

「これ・・・嘉人の呪いなんじゃねェの?」

「な・・・」

俺は開いた口がふさがらない。

今、何て事を言い出すんだ・・・。

「だって、あの頃のいじめにかかわってた奴は、みんなうちのクラスだぜ?偶然にしてはできすぎてる」

「だからって、そんな・・・」

千田はかすかに震えていた。

「俺らだって・・・殺しの対象外じゃないだろ」

陸は吐き捨てるように言った。

千田以外の全員が全てを悟って真っ青になる。

「嘉人君が・・・」

安田がそうつぶやいた。

慶と表は、ただ青ざめた顔でうつむいていた。

「そうだよ・・・あのときの担任、水橋って名前の先生だった・・・」

「・・・!」

安田がいった。驚きに声すら上げられない。

水橋忠行(みずはしただゆき)。今の担任の名前だ。

そうだ・・・思い出した・・・!

「あいつの親父だ・・・」

俺より先に、陸がつぶやく。

「どういうこと?」

千田が怪訝な表情を向けてきた。

「現担任水橋忠行は、あの頃の担任、水橋定富(さだとみ)の息子だ・・・」

全員が、硬直したように黙り込んだ。

空気が固まった気がした。


これは・・・偶然なのか?

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