#15:疑念
2年3組 18人 死亡 12人
NO/3 石見紀子 女
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/7 薫由梨絵 女
NO/12 小林陸 男
NO/13 佐野之治 男
NO/15 曽根浩太 男
NO/17 田部大吾 男 NO/18 宝麗佳 女
NO/19 千田泰葉 女
NO/21 寧都留香 女 NO/22 春哉将 男
NO/23 長谷川美穂 女 NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男
NO/27 三浦慶 男 NO/28 森安哲也 男
NO/29 安田沙織 女
気持ち悪い。もう、こんなところ出たい。
沙織は涙目でトイレに駆け込んだ。
「うぇ・・・う・・・」
吐き出すものがなくなっても、気分の悪さは治らない。
冷たい目をした大吾君の姿を思い出し、涙まであふれ出た。
大吾君は、そんなになるほど苦しんでいた・・・?
だけど、私には信じられなかった。
私は大吾君と同じ小学校に通っていて、そのころはまだいじめなんてなくて、本当に仲がよかった。
大吾君はいくら自分を犠牲にしても、雨風から飼っているウサギを守ったり、枯れそうな花に自分から水をやったり、そんな、心やさしい人だった。
だから、いくらつらい思いをしたって、あんなんになるまで殺したりは、絶対しない。
私はそう確信していた。
いつのまにか気分の悪さも吹き飛んでいる。
・・・きっと、誰かが大吾君のふりをして、みんなを殺してるんだ。
でも、それなら誰が・・・。
そのとき、私は思い出した。
「復讐」
そういっていた、陸君の姿を。
みんな一度ずつ調理室を出ている。彼だって、一度トイレにいくといって部屋を出ていた。
その間にこれだけの人間を殺すことなんて・・・でも、復讐すると誓った彼なら・・・。
私は疑念を胸にそれからみんなのもとへもどった。
「大丈夫?」
泰葉の問いかけに、私はうなずいて笑ってみせる。
安心したように、泰葉と真夕も笑顔になった。
私は、ちらりと二人から視線をはずして陸君を見る。
無表情で、死体を見つめている姿は、悪魔のように見えた。
彼が、大吾君を陥れたんだ・・・。
私の中に、陸君に対する憎しみと、大吾君に対する同情の心が生まれた。
許さない。
めらめらと燃えるような怒りは、私の感情をゆがめていく。
でも、そのゆがみに心地よさまで感じた。
私は、絶対この男を許さない。許せない。
――――――
また、亀裂は大きくなっていく。
関係は、大きく崩れていく。
でも、だれも、そんなことには気づかない。
「ばっかみたい・・・みんな、所詮駒なんだよ・・・」
男は一人無気味に笑う。
駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒・・・――――――。
パソコンの画面を、顔写真と個人情報がハイスピードでスクロールしていく。
「ぜーんぶ、駒」
男は、口をゆがめて画面を眺めた。
そして、「SYADO=」と書かれた封筒を手に取る。
「シャドー、ね・・・」
自然と狂ったような笑い声は零れ落ちていた。




