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生贄ゲーム  作者: 奏良
16/47

#15:疑念

2年3組 18人  死亡 12人


  

NO/3 石見紀子いわみのりこ 女  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女


              NO/12 小林陸こばやしりく 男

NO/13 佐野之治さのゆきじ 男  

NO/15 曽根浩太そねこうた 男  

NO/17 田部大吾たなべだいご 男  NO/18 宝麗佳たかられいか 女

NO/19 千田泰葉ちだやすは 女

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  

NO/27 三浦慶みうらけい 男  NO/28 森安哲也もりやすてつや 男

NO/29 安田沙織やすださおり 女

気持ち悪い。もう、こんなところ出たい。

沙織は涙目でトイレに駆け込んだ。

「うぇ・・・う・・・」

吐き出すものがなくなっても、気分の悪さは治らない。

冷たい目をした大吾君の姿を思い出し、涙まであふれ出た。

大吾君は、そんなになるほど苦しんでいた・・・?

だけど、私には信じられなかった。

私は大吾君と同じ小学校に通っていて、そのころはまだいじめなんてなくて、本当に仲がよかった。

大吾君はいくら自分を犠牲にしても、雨風から飼っているウサギを守ったり、枯れそうな花に自分から水をやったり、そんな、心やさしい人だった。

だから、いくらつらい思いをしたって、あんなんになるまで殺したりは、絶対しない。

私はそう確信していた。

いつのまにか気分の悪さも吹き飛んでいる。

・・・きっと、誰かが大吾君のふりをして、みんなを殺してるんだ。

でも、それなら誰が・・・。

そのとき、私は思い出した。


「復讐」


そういっていた、陸君の姿を。



みんな一度ずつ調理室を出ている。彼だって、一度トイレにいくといって部屋を出ていた。

その間にこれだけの人間を殺すことなんて・・・でも、復讐すると誓った彼なら・・・。

私は疑念を胸にそれからみんなのもとへもどった。


「大丈夫?」

泰葉の問いかけに、私はうなずいて笑ってみせる。

安心したように、泰葉と真夕も笑顔になった。

私は、ちらりと二人から視線をはずして陸君を見る。

無表情で、死体を見つめている姿は、悪魔のように見えた。

彼が、大吾君を陥れたんだ・・・。

私の中に、陸君に対する憎しみと、大吾君に対する同情の心が生まれた。

許さない。

めらめらと燃えるような怒りは、私の感情をゆがめていく。

でも、そのゆがみに心地よさまで感じた。

私は、絶対この男を許さない。許せない。


   ――――――


また、亀裂は大きくなっていく。

関係は、大きく崩れていく。

でも、だれも、そんなことには気づかない。

「ばっかみたい・・・みんな、所詮駒なんだよ・・・」

男は一人無気味に笑う。

駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒駒・・・――――――。

パソコンの画面を、顔写真と個人情報がハイスピードでスクロールしていく。


「ぜーんぶ、駒」


男は、口をゆがめて画面を眺めた。

そして、「SYADO=」と書かれた封筒を手に取る。

「シャドー、ね・・・」

自然と狂ったような笑い声は零れ落ちていた。

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