#14:闇の中の現実
2年3組 24人 死亡 6人
NO/1 阿木将太 男
NO/3 石見紀子 女
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/7 薫由梨絵 女 NO/8 陰山幸 女
NO/9 川丘琥珀 男
NO/12 小林陸 男
NO/13 佐野之治 男
NO/15 曽根浩太 男 NO/16 田中伊代 女
NO/17 田部大吾 男 NO/18 宝麗佳 女
NO/19 千田泰葉 女 NO/20 樋乙矢 男
NO/21 寧都留香 女 NO/22 春哉将 男
NO/23 長谷川美穂 女 NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男
NO/27 三浦慶 男 NO/28 森安哲也 男
NO/29 安田沙織 女 NO/30 和久利洋介 男
一体、あれからどのくらいの時間がたったのだろう。
泰葉はうつむいて思った。
調理室の6人は、無言でその場にとどまっていた。
調理室を出たのは、全員が一回ずつのみ。そんな状態のまま、時間は過ぎていく。
何度も聞こえた級友の悲鳴は、そのたびに胸を貫いた。
そして、不意に慶君が口を開いた。
「外に・・・出てみるか?」
みんな、顔を上げる。
「ここにいても、埒あかねぇだろう」
「でも、大吾君が・・・」
沙織が小さくつぶやいた。
どれだけおびえているのかが、見て取れるほどの窶れぶりだ。
「それでも、ここにいたって変わらないんじゃないか?」
今まで黙っていた真夕が口を開く。
「そうだね。外の状況も知っておかないといけないし・・・」
その言葉と共に、凌君が立ち上がった。
「行こう」
発した言葉はそれだけだった。
でも、それだけで十分だったのかもしれない。
沙織も立ち上がり、私と陸君も後に続いた。
なんだか、凌君が裕樹君みたいだな、何て、のんきに思っていた。
今の現状から逃げるかのように。
「何・・・これ・・・」
真夕が言ったとおり、一番初めの悲鳴は成美だったようで、床にはすでに乾いた血が広がっていた。
そして、その横にうつぶせになって倒れている緒美。
彼女も絶命していた。
背中にナイフが刺さったまま、涙が伝った後が頬に残っている。
「これさ、全部大吾がやったのかな・・・」
慶君が震えながらつぶやいた。
「わかんないよ」
沙織の頬を涙が滝のように伝っていく。
私の目にも涙が浮かぶ。
必死でこすって流れ落ちるのを止めた。
「下に下りてみよう」
慶君がそう言った。
凌君もうなずく。
私たちはショックにおびえながら、血がこびりついている階段を下りていった。
それから、降りて直のところで、洋介君の死体があった。
白目をむいた姿は、クラスの盛り上げ役の死を物語っている。
吐き気をこらえて、私たちは進みつづける。
それから、琥珀君と伊代が折り重なるようにして倒れていた。彼らは、確か、裕樹君派に回ったと真夕が言っていたはずなのに。いじめとは、かかわっていなかったのに。
手をつないだ死体は幸せそうに微笑んでいる。
私はまた涙があふれそうになった。
こんなゲームがなければ、二人は一緒の高校に行くといっていた。
破局していたのかも仕入れない。でも、結婚していた可能性だってあった。
みんな、もう歩き始めていて、私は慌てて後を追う。
ここまでで、もう規程の7人。
殺し合いゲームは終わりのはず。
でも、クラスメイトの死体は、まだ、数を増やしていった。
将太君、幸、そして、乙矢君。
「う・・・」
思わず、目をつぶる。
乙矢君の死体は、切り刻まれ、血まみれだった。
「大吾・・・」
凌君がつぶやいて、うつむく。
陸君は、無表情で乙矢君の死体を見つめていた。
慶君が顔をゆがめている。真夕は目を閉じていた。
沙織は、吐き気をこらえきれないようで、トイレに駆け込む。
私は、零れ落ちる涙を押さえきれずにいた。




