#12:冷たい笑
2年3組 26人 死亡 4人
NO/1 阿木将太 男
NO/3 石見紀子 女
NO/5 卯木多凌 男 NO/6 表真夕 女
NO/7 薫由梨絵 女 NO/8 陰山幸 女
NO/9 川丘琥珀 男 NO/10 川角緒美 女
NO/12 小林陸 男
NO/13 佐野之治 男
NO/15 曽根浩太 男 NO/16 田中伊代 女
NO/17 田部大吾 男 NO/18 宝麗佳 女
NO/19 千田泰葉 女 NO/20 樋乙矢 男
NO/21 寧都留香 女 NO/22 春哉将 男
NO/23 長谷川美穂 女 NO/24 藤原飛鳥 男
NO/25 松井悟 男 NO/26 松原成美 女
NO/27 三浦慶 男 NO/28 森安哲也 男
NO/29 安田沙織 女 NO/30 和久利洋介 男
こいつは面白い。
陸は、直感でそう思った。
まさか、自分のやったことがこんなことを引き起こすなんて、思っても見なかったけれど、案外思惑通りに言ったかもしれない。
復讐だ、といって去っていった大吾。
おそらく、乙矢や松原たち、哲也派連中を殺しにかかるだろう。
もしかしたら、7人以上殺してしまうかもしれない―――――――――。
でも、それはどうでもいいことだった。
哲也さえ殺されなければ、大吾が一体何人の級友を殺そうとも、関係ない。
「みんな、単独行動は危ないのに・・・」
千田がそう言っているが、そんなものは後の祭りだ。
俺は、誰が何人死のうが、絶対死なない。そして、哲也だけは自分の手で殺してみせる。
「とにかく、俺たちだけでも団体行動しよう」
凌がそう言った。
裏切り者め。
今、凌にはそういう感情しか浮かばない。
あんだけ裕樹に助けてもらっておいて、お前は恐ろしさに復讐すら出来ないのか。
正直、あきれた。見損なった。
でも、そんな感情を表に出せば、俺の思いをみんなにさらけ出すことになってしまう。
俺が復讐することは、凌だけが知っていた方が好都合だ。
そして、哲也を殺した後、「こいつは俺が哲也を殺そうとしていたことを知っていた。知っていて、何もしなかった」・・・―――――――。
そう言ってやる。
裏切り者に、制裁を下す。裏切り者は、排除のみだ。
「あぁ、そうだな」
俺は、出来る限り平静を装って、凌の言葉に同意した。
「今、大吾は、自分をいじめていた奴を対象に殺しにかかっていると思う。でも、何時俺たちが狙われるかなんて、わからない」
そう、このままじゃ、皆殺しだ。
それに、大吾が哲也を見つけ出して先に殺してもらっても困る。
「逃げ回るのはよした方がいいんじゃない?」
表がそう言って、安田に同意を求める。
「そうだね」
びくついた表情で、安田も賛成の意を示した。
そうだ。俺もそう思う。
そう言うと、凌がまとめるように言った。
「じゃあ、しばらくはここで様子を見て、何か変わったことがあれば・・・」
けれども、その声は途中で途切れることとなる。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
廊下を反響して、女子の大絶叫が聞こえた。
「・・・成美・・・だよ」
表が声で判断したのだろう、そう言った。
「大吾君が・・・本当に・・・」
空気が徐々に重たくなっていく。
でも、俺は全く平気だった。
別に、人の死に興奮するような、変体的な考えはない。
もっと殺せ。殺してしまえ。
けれども、心のそこで、大吾を応援していた。




