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生贄ゲーム  作者: 奏良
10/47

#9:血と現実の調和

2年3組 28人  死亡 2人


NO/1 阿木将太あぎしょうた 男  NO/2 伊上美加いがみみか 女

NO/3 石見紀子いわみのりこ 女  

NO/5 卯木多凌うぎたりょう 男  NO/6 表真夕おもてまゆ 女

NO/7 薫由梨絵かおるゆりえ 女  NO/8 陰山幸かげやまさち 女

NO/9 川丘琥珀かわおかこはく 男 NO/10 川角緒美かわすみおみ 女

              NO/12 小林陸こばやしりく 男

NO/13 佐野之治さのゆきじ 男  NO/14 柴田啓二しばたけいじ 男

NO/15 曽根浩太そねこうた 男  NO/16 田中伊代たなかいよ 女 

NO/17 田部大吾たなべだいご 男  NO/18 宝麗佳たかられいか 女

NO/19 千田泰葉ちだやすは 女  NO/20 樋乙矢といおとや 男

NO/21 寧都留香ねいとるか 女  NO/22 春哉将はるやしょう 男

NO/23 長谷川美穂はせがわみほ 女  NO/24 藤原飛鳥ふじはらあすか 男

NO/25 松井悟まついさとる 男  NO/26 松原成美まつばらなるみ 女

NO/27 三浦慶みうらけい 男  NO/28 森安哲也もりやすてつや 男

NO/29 安田沙織やすださおり 女  NO/30 和久利洋介わくりようすけ 男

りいちゃんは、死んだ。



血が流れ出して、一時間するか、しないかのところで、すでに息はなかった。

陸君は、首からだけでは血が足りなかったらしく、太い血管が走っている個所を徹底的に切り刻んでいき、2・5リットルに達したとたん、ナイフを床に落とした。

からん、と軽い音がする。

「開いたよ」

そう言って、陸君は音楽室のドアを示した。

「さて、この死体をどうにかしないとな」

まるで、荷物を見るような目でりいちゃんの死体を見つめている。

「ボイラー室にでも、運ぼうかな」

そう言って、陸君は血まみれになるのもかまわずりいちゃんの切り刻まれた死体を運び始めた。

私は、無言でその様子を見ていた。

手伝うわけでも、その様子を批難するわけでもなく、ただ、見つめていた。


少したつと、陸君は出かけたときと同じように無表情で戻ってきた。

「何やってんの?入れよ」

陸君は、音楽室のドアを蹴り開ける。

私はまた無言でその背中を追った。

「ホントだ、食料がいっぱいあるな」

音楽室を埋め尽くすように、パンやら飲み物やらが山積みになっている。

けれど、それはまた別の現実を示していた。

「こんなに、何日間も、ここにいなきゃいけないの・・・?」

つらい現実だった。

「・・・」

泣きそうな私に、陸君はただ目を向けてくるだけで、何も言わない。

「君も、生き残ればいいんだ」

そして、ぽつりとそう言った。


気付いたときには、目の前に陸君の顔があった。

背中は冷たい壁が触っていて、唇に違和感がある。

「・・・!」

陸君は直に唇を離し、笑った。

私は驚いて硬直する。

「君も、生き残ればいいんだ」

陸君はもう一度言った。

「生き残れば、何でも出来る。生きていれば、何でも出来るんだ」

繰り返すようにそう言って、食料を運び始める。

私は唇をなめた。

りいちゃんの血なのだろう、しょっぱいような、そんな味がした。


「みんな?」

私たちが調理室に行くと、みんな眠っていた。

あの薬だろうか?

そうでなければ、こんな状態であんなふうに眠ることは出来ないだろう。

「ご飯だよ」

私たちはそう言って全員を起こしにかかる。

みんな、次々に目を覚まし、陸君の血まみれの姿にギョッとした。

それでも、パンを渡すと引っ手繰るように飛びつき、全て食べ終えてからりいちゃんが死んだことをさとる。

「・・・」

みんな、真っ赤に染まった陸君の制服を眺めていた。

「・・・しょうがないんだよ」

慶君がぽつりとつぶやいた。

「犠牲は、伴わないと、誰も生き残ることは出来ないんだ」

みんな、いっぺんに硬直する。

その言葉が、魔の言葉に感じた。

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