表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/165

二話

 「じゃーね、一真!」

 一真と別れてから、真樹は一人、体育館から校舎内に忍び込んだ。

 目的は言うまでもないだろう。

 「噂が本当かどうか、確かめてやらないと」

 ただの好奇心だ。別に深い意味はない。一真も連れていきたかったのだが、きっと真面目だから絶対に断る。だから真樹は一人、その検証をしようとしていた。恐怖感はあるものの、やはり大きな好奇心のほうが上回っていた。むしろ、程よいスリルとゾクゾクする背徳感を、真樹は楽しんでいた。

 一階の資料室を過ぎ、電気が消えた校舎を懐中電灯だけを頼りに徘徊する。一年の教室がある四階まで、先生に出くわさないように細心の注意を払いながら登る。この時間帯まで残っている教師はほぼゼロなため、拍子抜けするほど簡単なことだった。

 当然ながら、生徒の姿はない。窓の外にはポツポツと家の光がともっている。

 「予想はしてたけど、やっぱり気味が悪いな~」

 独り言を呟きながら、真樹は自分の教室――一年四組の教室の扉を開けた。ガラガラと場違いな騒音が響き渡り、つい体が緊張した。

 教室の中は、放課後の状態のままだった。片づけは明日に回されているため、機材が散らかってる。そのうち数時間前のざわめきが残っている気がしてきた。

明るい教室を見慣れているせいか、夜のとばりに包まれた教室は新鮮味があった。

教室を一瞥しながら、真樹は黒板の上に張り付けられたアナログ時計に目を通す。……十二時まであと五分。いつもは気にならない、秒針を刻む音が不気味に鳴った。

「意外とあっけなく到着したな……」

見渡すと、クラスメイトの一真の席があった。彼らしく机は整頓されている。相反して真樹の机はプリントでぐちゃぐちゃだ。近いうちに整理しないと、とばつが悪くなる。

 「ん?」

 思案して時間を潰している最中、真樹の耳がかすかな異音を聞き取った。このような静かな場所でなければ、まず間違いなくかき消されていていたであろう音。

 「何、この音……?」

 重い物を結びつけた紐が軋む、鈍い音だった。規則的に、ゆっくりと、何かが揺れている。

 キィ……キィ……キィ……。

 不安感を誘う甲高い音が、教室中にゆったりと鳴り響く。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ