表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/165

一話

 東山高校の一年四組は、呪われている。曰く、幽霊が出没する。曰く、呪いに触れる。何が起こるかは、語る人の数が存在している。とにかく寝静まった夜に学校へ訪れると、何かしらの怪異が降り注ぐという。

 共通する部分は、以前訪れた女子生徒が行方不明となっており、その人が怪異を引き起こしているということだ。




 先ほど文化祭があったとは思えないほどの静けさ。その中で、西条真樹と大森一真らクラスメイト達は怪談に興じていた。場所は体育館。光源は一本の蝋燭の炎が揺らめいているだけ。そこにクラスメイトが二十人くらい集まって、真樹を中心に円を描いていた、。


 「実際、行方不明者はいたらしいよ。十五年前に女子生徒が行方不明になっている」


 一真の肯定に、前述の内容の話し手の真樹は頷いた。


 「友達にも幽霊を見たことある子がいるんだよ。肝試しに一人教室に入ったら、横切る黒い影を見たんだって」


 ざわつくクラスメイト達の声が、体育館にいるせいで反響する。語り部としては嬉しい反応だったので、内心にやにやが止まらない。


 「それと福田先生知ってるよね? 温和なお爺さん先生! その人も噂に関わっているらしいよ」

 「どんなふうに関わってんだ?」

 「それは……私もわかんない! ニシシ」

 「なんだよ~拍子抜けさせんなって!」


 一気に砕ける雰囲気に、真樹は苦笑しつつ舌をぺろりと出した。一真もおいおい、という表情をする。仕方ないじゃん。私も先輩から聞いただけなんだから。


 「もう少しで十二時になるし、そろそろ解散しよう」


 バカ騒ぎをしている最中の、冷静な学級委員長の一言。水を差すような物言いだったが、時刻はすでに十一時半を回っていた。そろそろ先生たちに許可をとった時間を過ぎてしまう。体育館を借りる際に一真らが交渉をしたのだ、約束を守らないと次の行事の時借りられないかもしれない。


 結局その場は解散とする流れになり、一人、また一人と校門から出ていった。空は青白い満月が高く上っていて、生ぬるい風が吹き荒れている。秋を感じさせる枯葉が吹き上げられ、真樹のスカートがふわりと揺れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ