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ミミズがのたくったような線
黒猫ちゃんのモフモフの毛皮に包まれながら、私は本を眺める。
今開かれているページには蛍光ピンクに塗られたリンゴのようなイラストが大きく描かれている。
これはまるで食欲をそそらない色合いなのだが、食べられるのだろうか。
そんなことを考えながらもふとそのリンゴの近くに書かれたミミズがのたくったような線が目に入った。
その時、私の頭に電流が迸る。
これはもしかするとこの世界の文字なのではないだろうか。
黒猫ちゃんがページをめくり、また新たなイラストが現れるがそこにもやはり、カラフルな果物らしきイラストとともにそのミミズがのたくったような模様があった。
私はその模様をじっと睨みつけるように観察した。




