流血の目覚め: 前編
ようやくです、よろしくお願いします
星空と月明かりの下、賑やかに人々の声が聞こえる。
夜空の中でもみえるきらびやかな宮殿。そこから人々の声が集中していた。
女性は皆装飾品をこれでもかと着飾り美しく見せようとする。男性はスーツをきっちり着こなしているものもいればそうでもないものもいる。
ここにいるものは皆この国の貴族たちであり、今日は貴族の子息たちの王族を含めて15歳の誕生日を一斉に祝う日であった。
ーー ーー
場所変わって宮殿内の一室では宮殿勤めの使用人たちに衣装替えを手伝ってもらう女性、(というより少女に近いか)がいた。
誕生会の一人のようだがどうやらコルセットの着用に難航しているらしくなかなか次に進まない。
「ええい、めんどくさいなコルセットというのは。」
「お嬢様、コルセットというものは女性のラインを維持するために必要なものでございます。」
使用人の一人がコルセットの意味を彼女に伝えているが不満気のようだ。
「それにしてもきついものはきついのだ。つっかえる気がして落ち着かないんだ。」
「それ、他の貴族様のご令嬢や貴婦人に聞かれたらとんでもないことですよ。」
即座に少女の発言をたしなめる宮殿勤めの使用人たち。相当慣れているのだろう。経験がにじみ出ているように見える。
そういう感じでようやくコルセットを付け終え今度は衣装を選んでいる。
ようやく衣装選びも終えたようで彼女は鏡の前にたち違和感がないか確かめている。
「ふむ、まあいい感じだな。・・・というかいまさらこの身に思うことはないだろう。」
使用人が「なにかございましたか」と聞いてきたが”なんでもない”と答え再度鏡の前の自分を見つめている。今の彼女は長い真紅の髪を単純にポニーテールでまとめ、コルセットの上には白を基調とした飾り気が殆ど無いシンプルなドレスを着ているだけである。
それだけであるがそれだけでも十分すぎるほどの美しさがそこにあった。
「では、はじまるまで少々時間がありますのでなにかございましたらこのベルを鳴らしていただければすぐわたしたちがかけつけますので。」
そう告げ使用人たちはゆっくりと退出した。残された彼女は近くにあったソファにしなだれるように座り始めた。
「あれから15年か・・・。早いものだな。私が転生してこの身に生まれてからもはや15年か・・・。」
至高神リリスによって転生した”紅 諸葉”は彼自身と同調するこの身に融合してこの世界に誕生した。名は”エストレア・クレイ・アルシャイン・クワイエット”。当初は女であることに困惑したものだが今では気にしないことにしていた。
思い出にふけっていると、ふいに扉がノックされ一人の男が入ってきた。
「やあ、調子はどうだい?」
「義父上・・。」
赤みが混じった茶髪をオールバックにし絹で仕立てたスーツを着込んだ男性。男は彼女の養父でありこの国”シェートリンド王国”の四大公爵家の一つ、”クワイエット公爵家”現当主”アーノルド・レヴァン・ウル・クワイエット”と言った。
若くして公爵当主となり優れた手腕で経済、軍備などの底上げに貢献したほどの男である。
「その衣装、似合っているよ。さすが自慢の義娘だ、引く手あまただろうね。」
称賛するアーノルド。義理の娘といえ家族である目の前の”娘”を褒めない父親がいるだろうか?普通はいないだろう。
「ありがとう、義父上。」
素直に称賛を受け入れる彼女。貴族なら恒例のやりとりだったりする。
「旦那さま、お嬢様そろそろお時間ですのでお集まりください。」
執事だと思われる壮齢の男がきたことでスイッチを切り替えた。
宮殿の中にある大ホール。部屋をシャンデリアで照らし、国お抱えの演奏楽団がムードを盛り上げる。
使用人たちが忙しなく動き、貴族たちは交流あるものたちと酒が入ったグラスを片手に楽しく談笑している。
貴族の子息たちはそれぞれのグループをつくり、将来の夢を語っている。
そんな中王冠を抱いた人物が来たことで静まりかえる。
ーー ーー
「諸君、今日はめでたい日だ。無礼講だ、存分に楽しんでくれッ。若き才能ある未来の者達に祝福を贈ろう!」
シェートリンド王国現国王”アウグスト・リンジェル・バン・シェートリンド三世による開催の言葉をもって盟歴569年シェートリンド王国祝誕会が始まった。
つづく・・・。
基本、土日更新にしようと思います。・・・どう思いますかね(´∀`∩) てかプロローグにくらべ短え∑(゜Д゜)
まあ前編なんちゃらという意味じゃまあいいか(⌒▽⌒)