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ECLIPCE BLADE  作者: 月海 ほたる


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第3話「戸惑い」

「ソフィア!!」


自戒するようなささやきの後に、彼女の名前を叫ぶ。

不敵な笑みを湛えながら、ソフィアが口を開く。

「私も、たまたまこの街に来てて。

そんなときにちょうど帝国の侵略にバッティングしちゃってね…

たまらずここに身を隠しながら、帝国の動向を探っていたの。」

「何という偶然…しかし、これで攻略の道が開けた。

ああ、すまない。

紹介するよ。

彼女はソフィア・レッドルーク。

俺の魔法学校時代の同級生だ。」

「なるほどな!!

そりゃあ頼もしい!!

俺はホーク…」

「紹介なんて要らないわ。」

ホークが名乗りかけていたのを遮る。

「腕っぷしが強いだけの脳筋さんに用はないの。

アンタ、レオンがいなかったら今頃死んでるわよ?

こんな事態、私とレオンがいたら何の問題もない。」


相変わらず鋭い眼光でホークを睨みながら言い放つ。

ムッとした表情を見せるホークだったが、

ディーネが仲裁に入る。


「やめてください!!」


「…!!」


その勢いに思わず我に返るホークとソフィア。


「…申し遅れました…

私、この国の王女、ディーネ・ランスロット・ブルーマリンと申します。

私のせいで、ホークさんとレオンさんをキングダム解放作戦に…

三者同盟に巻き込んでしまいました…

確かに、レオンさんと、そして肩を並べるっていうソフィアさんの二人なら

この街の帝国軍を倒せるかもしれません…

でも、ホークさんも私を守ってくれたんです、

レオンさんも守ってくれた、大事な人なんです!!」


「…ディーネ様。お顔をお上げください。

何も恥ずべきことではない。

一国の王女として国を救おうとすることは何も間違ってはいない。

分かりました。

貴女のいうことを信じ、ホークとも力を合わせて見せましょう。

そして、我々4人に勝利と、セントラルキングダムの解放を誓います。」


「!!ありがとうございます!」


「相変わらず、女には優しいんだな…」


「一言多い。」


「まぁ俺もそんな直情的でもねーからよ、

力を合わせてくれるっていってくれたんだ、

宜しく頼むぜ!!」

手を差し伸べるホーク。

しかし、ソフィアはその手を振り払う。

「勘違いしないで?

私は、ディーネ様が仰ってくれたから

力を合わせるだけ。

貴方のことを信用した訳じゃないわ。」

「へいへい…りょーかいしたよ…」


「二人とも、ほどほどに頼むぞ…

それはさておき、ソフィアは攻撃魔法と、回復魔法両方を使える。

今までホークには攻撃と防御両方をやってもらっていたが、

これからは防御メインで大丈夫だ。

その代わり、俺の剣と魔法、ソフィアの魔法で攻める。

そして傷ついた際もソフィアの回復魔法がある。

あとは…そうだな、ソフィアのスキルに関しては

実際に見てもらった方が早い。」


「とは言っても私も魔力には限界がある。

どの道、資源に限りがあるのには変わりないからね?」


「分かっている。

先程の状況よりもアドバンテージは出てきた。

行こう。」




図書館から出て、4人は隠れながら進む。

どこを見ても侵入者に対して異常なほど警戒心をむき出しにしている

帝国兵で溢れていた。


新たな仲間が加わったと言え、

先程ソフィアが言ったように魔力にも限界がある。

できるだけ無駄な戦闘は避けたいところだったが…


「いたぞ!!」


可能な限り身を隠しながら進んでいたが

四面楚歌な状態では無理難題だった。


それならば…!


「行くしかない。

恐らく、この先の城の中にこの部隊の指揮官がいるはずだ。」

「了解した!!

道は俺が拓く!!」

「アンタ、攻撃禁止って言われてなかった?」

「まぁ、見てろって。

敵を倒すことはできなくても、

守りながら道を切り開くくらいできるぜ?

万屋の俺ならな。」


自信満々な表情を見せるホーク。

僅かな時間しか共に戦っていないが、

レオンは既にホークを信頼していた。

「信じる。

先頭はホークに任せる、

俺達は帝国兵を潰していくぞ。」

ソフィアへ伝える。

「分かった分かった。

レオンがそういうんなら、

貴方、信頼できるんでしょう。

任せたわよ。」

「背中は預けた!!

それと、姫さん。

ちょっと無理させるかもしれねーが、

しっかりついてきてくれよ!!」

「分かりました!」

果たしてホークを先頭に快進撃が始まる。

鉄壁ともいえるホークの体躯と、全ての攻撃を弾き返す圧倒的重量の大剣に守られ、

その後ろで時に剣を振るい、そして魔法で帝国兵を薙ぎ払うレオン。

レオンが仕損じた帝国兵、奇襲を仕掛けてくる兵士に

強力な魔法を絶え間なく放ち続けるソフィア。


「すげぇ…」


通常、魔法を発動させるには詠唱時間が必要となる。

しかし、ソフィアはほとんどその詠唱時間を必要とせずに

次々に魔法を繰り出している。

その芸当は魔法のことを知る者であれば出鱈目な芸当だった。


勿論、攻勢に回れたと言え、

最前列に立つホークもすべての攻撃を完全に受けきれるわけではない。

致命傷は避けているものの、ダメージは溜まっていく。

連続で攻撃魔法を帝国兵に浴びせ続ける中でも、

ソフィアはホークに対しての治癒魔法は怠らなかった。

正に天才。

戦闘に疎いディーネでも、知識・教養として魔法の存在は知っていた。

だからこそソフィアのやっていることがいかに人間離れしているか理解していたし、

何よりも憧れた。


---自分もこんなふうに


そう、一瞬ぼんやりした刹那


「危ない!!」


今まで前列の3人に集中していた攻撃が不意に、

そう、それもディーネが油断してしまった一瞬、

帝国兵の攻撃がディーネを襲う。


「ディーネ様!」


幸いにして致命傷ではなかった。

しかし、深手であったことには違いない、

加えて

生まれて初めて“戦場で傷ついた”ことに動揺を隠せないディーネ。

その場でうずくまってしまう。

それと同時に進撃を止めてしまう3人。

そこに襲い来る帝国兵達。


---間に合わねぇ…!!


そうホークが思った瞬間、

信じられない光景が目の前にあった。


炎に包まれて吹き飛ばされる帝国兵達、

更に続く炎に阻まれる帝国兵。

その炎はソフィアの左手から。


そしてソフィアの左手は、ディーネを治癒していた。

それは、“連続で魔法”を使っているではなかった。

そう、“同時”に魔法を発動させていた。


「これがソフィアのスキル、

『ダブルスペリング』だ。

同時に魔法を展開できるシンプルなスキル。

しかし、恐らくこのダブルスペリングを使える

魔術師は世界でもソフィアだけだろう。」


淡々と説明するレオン。

しかしその芸当はその口ぶりで説明できる代物ではなかった。

右手では連続魔法を繰り出しながら

右手では同時に回復魔法を。


「そんなに簡単なもんじゃないけどね…

ただ、ホーク。

アンタはさっきまで攻めと守りを一緒にやってたんでしょ?

それと一緒よ。

簡単じゃない、でも、やればできる。

守るべきものがあるんなら、頑張んないとね?」


「ソフィア…ああ、間違いねぇ。

だったら…」


これまで防御一択だったホークが攻撃にも回る。


「この状況、全員が本気を出さねーと打開なんかできないからな…

ありがとよ、ソフィア。

当たり前だけど、大事なことに気付かせてもらって。」


ディーネが回復したのを見て、

ソフィアは右手の回復魔法を攻撃魔法に変換する。

更に苛烈さを増した3人の攻撃に

いよいよ帝国兵達は撤退を始める。


正に一騎当千、個が群を凌駕した瞬間だった。


そのまま城の先へと突き進み、

大広間へたどり着く。

そこには今まで戦ってきた帝国兵と明らかに纏うオーラが違う。

圧倒的な存在感、そして向かい合う相手を否応なく怯ませる“匂い”。

それらを放つ前進黒い甲冑に身に包んだ大男がいた。

3人はかぎ分ける。

それが「血の匂い」だと。

間違いない、指揮官。


「よくここまでこれたな。

先程までの戦いも見させてもらった。

成程、正に一騎当千。

見事だった。」


「お褒めに預かり、光栄だ。

それが、帝国軍の指揮官殿からの言葉とすれば、尚更だな。」


「ふん、洒落た返し方をするんだな、レオン・ブランフォード。

もちろん、ソフィア・レッドルーク。

貴様らのことはよく知っている。

ローム魔法学校出身、そして同率首席で卒業した

エリート魔術師ということも。

そこの大男のことは知らんが…」

「てめぇ…

てめぇがキングダムを!

名を名乗れ!」


「ヴァルヴェ。

誉れ高き、帝国軍の軍曹だ。

さて、快進撃はここまで。

俺と出会ってしまったからには貴様らに逃げ場はない。

降伏する選択肢もない。

そこの王女諸共、我々の恐ろしさを知らしめる礎になってもらおう!

死を以てな!!」


巨大な斧を取り出し、構えるヴァルヴェ。

その威圧感は3人がこれまで対峙してきたどんな相手よりも圧倒的だった。


取り出した斧をそのまま振り上げ、

思い切りホークへ向けて振り下ろす。

身の丈以上もある鉄塊、

ホークの攻撃と防御の象徴の大剣と混じり合った瞬間、

およそこの世のものともは思えない爆発音が炸裂する。

鉄と鉄がぶつかったとは思えない、爆発音が。

同時に、ホークが弾かれていた。

今まで、どんな数のモンスターの、帝国兵の攻撃にも

決して後退しなかったホークが

後ろに弾き飛ばされていた。

「嘘だろ…?」

「レオン!!」

目の前で起きたことが信じられなかった。

驚きの声と、そして絶望の表情を浮かべそうになった瞬間を

ソフィアは見逃さなかった。

ソフィアの一喝で一瞬眩んでしまった意識を取り戻すレオン。


---守りに入れば、殺される


そう弁えて立ち回ろうと意を決する。

しかし…


もう動けない。

下卑た高笑いを上げながら

ヴァルヴェの凶刃はディーネを狙う。

無慈悲に振り下ろされる斧。

何もできずに見ていることしかできない。

思わず目を閉じてしまった瞬間、

鉄の弾ける音が響く。

目を開くと

ヴァルヴェの凶刃は何者かによって弾かれていた。


「誰だ!?」


ヴァルヴェが叫ぶ先、ヴァルヴェと倒れている4人の間に

一人の青年が立っていた。


「…」


凄まれても青年は何も喋らない。

恐怖で声が出ていない訳ではない。

そう、4人を討ち伏せたヴァルヴェを

「気にすらしていない」。

背中越しに確かに伝わってくる強さ。

しかし、それは例えば、目の前にいるヴァルヴェのように

「明かな強さ」と質が違った。


青年はヴァルヴェに背を向けてこう言い放つ。


「貴様を倒す理由もない。

かといってこの者達を助ける理由もない。

退け。」


---美しい…


振り返った青年の顔を見てディーネは思った。

まるで、おとぎ話から出てきた王子のような美しい顔立ち。


---でも…

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