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ECLIPCE BLADE  作者: 月海 ほたる


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第13話「Like a angel」

無意識に剣を抜いていた。


突然目の前に現れた『不協和音』から放たれた刃。

『敵意』でも『悪意』でもない、

ただ自身へ向けての『興味』から放ったにしては

異常なまでに研ぎ澄まされていた。


初手は受け止めた。

いつもの構図だ。


焦るな、いつも通り、冷静に状況を把握する。

異様な空気に呑まれそうになったが、大丈夫。


武器は短剣、パワーは…ない。

剣の速さはあるが、まともに食らいさえしなければ、

致命傷は避けられる。


だが、何を隠し持っているか分からない。


そう、だからいつも通りしばらく攻撃を受け止め、見切り、

回避するフェーズに移行するだけだ。


防御の姿勢を崩し、観測しようとした刹那、

もう一撃が飛んでくる。

たまらずそのまま防御態勢を取り、受け止める。


距離を置こうとバックステップするが、

退いた分だけ間合いを詰めてくる。

距離を詰めながら、鋭い一撃が襲ってくる。


防御の姿勢から、直れない。


しかし間合いを詰めての連撃も、

言い換えれば“同じ間合いで一撃が飛んでくる”だけの

単調な事象だった。

それが異様に速いだけ。

速いだけの事象に焦る必要はない。

冷静に、動きを読めば、止める手段はいくらでもあるはず。


そろそろか、と判断力を高める。

そうして彼女の上段から振り下ろされる刃を受け止めた瞬間、


また無意識に、右手で鞘が握っていた。


「へー…

目がいいんじゃない、勘が鋭いんだね?」


今までの攻撃の感覚とは桁違いの速さ…

いや、最早“割り込んだ”と言うのが正しい。


「双剣使いか…」


「すごいすごい!!」


不協和音が嗤い始める。

ようやくインターバル。


「さっきまでのペースで右手だけで攻撃してたら、

だいたいそっちに目が慣れて、

左手の横からの攻撃に気付かないんだけどね、普通は。

やっぱり、貴方、普通じゃないね。」


「お褒めに預かり光栄だ。

正直、見えてなかったよ。

だが、双剣使いだと分かれば、それを弁えた上で対処させてもらう。

それに…

君の期待を裏切る訳にもいかない。

もう少し、君に楽しんでもらえるように努めてみよう。」

「楽しみにしてるね!!」


再び奏でられる不協和音。

少しギアを上げたことで、何故不協和音なのかの

理解を深めていけた。

美しい、無垢。

だからこそ自身へ向けて繰り出される

二つの刃との整合性が合わない。


少しずつ不協和音ではなくなってくる。

美しいから、残酷。

無垢だから、非情。

チューニングがあってくる。

それは“狂想曲”だった。


同時に変奏曲。

少しだけ本気を出したにも関わらず、

その呼吸を正確に捉えてくる。

こちらがアンサンブルを乱そうとしても、

正確に整えてくる。


---考えてやっているのか?


だとしたら、相当な頭脳戦。

まさか、ここまでのスピード感の中で

迫ってくる人間がいるとは…



気が付いたら、

美しくて残酷な、

無垢で非情な彼女が吹き飛んでいた。


剣に残る確かな残響。


無意識に、剣を振り抜いていた。


目の前に彼女がいなかった。

目の前にあった音がない。

気付いた時には、

背後から音が鳴っていた。


極めて冷静に彼女を捉えようとした。

不協和音でないことも理解できた。


しかし、

彼女を捉えることはできていなかった。

それも、最初から。


『無意志に』剣を抜き、

『無意識に』反撃に転じてしまった。


「…しまった…」

これまでの自身の理解の浅さ、

そして起きてしまった事象に声が漏れた。


殺してしまった…

“あの日”から人を殺めることをやめた。

それが、こんな形で、再び殺めてしまうとは…

ひどく狼狽してしまう。


「あいたたた…」


「…バカ…な…」


彼女は殺されていなかった。


「危なかった~…」


純白の女性のてのひらは、

神秘的な光を帯びていた。


-だからって、それが正当化されるはずないでしょ…!!

アンタ、今は帝国から足を洗って何食わぬ顔して生きてるけど、


ナイト時代に何人殺してきたの!?


そのミケランジェロって剣に、

何人の魂を喰わせてきたの!?-


ソフィアの言葉が脳をよぎる。


その通りだ。

数えきれないくらいの人を殺してきた。

何かを、誰かを守りたいと想う人達を、たくさん殺した。

人を殺めるということに何の感慨も持たなくなった。

そんな、誰がどう見ても異常な存在だと自覚していた。

だからこそ、二度と人を殺めないと誓った。


「白魔法…」


冴え渡る、閃光のような剣戟、

癒しの光もそなえている。


-まるで


透き通る声、

透き通る白い肌と白銀の髪。


-天使だ

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