表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/138

第三話


 実はアリアには『前世の記憶』というモノがある。


 それは自分がここではない世界で生きて……裕福とはお世辞に言えないけれど、家族みんな仲良く暮らしていた記憶だ。


 そして、前世のアリアには……何度もケンカしてもなんだかんだいつも仲直りをする面倒見の良い姉がいた。


「え」


 でも、そんな生活も突然巻き込まれた交通事故によって終わりを告げた──。


 こんな「普通」とも言える『前世の記憶』をアリアは小さい頃に出した高熱にうなされて思い出した。


 今のアリアの生活は以前の暮らしとは比べものにならないほど裕福な生活をしている。


 それなのに、全然埋まらない喪失感。


 でも、それはきっと自分に冷た過ぎる両親に、尊敬しているし、可愛がってもくれる。だけど誰にでも優しいが過ぎて自分を潰してしまうお兄様――。


 お兄様に関してはそれが悪い事とは言わない。むしろ誇るべき事とも思える。ただ、やはり『家族』としては心配だ。


 きっとこのどうにも以前とは全てが逆転しているこの状況が原因なのかな……と思ってしまう。


 前世でも姉とは仲が良かったが、たまにぶつかる事もあった。でも、お兄様はそれがない。


「……」


 それを踏まえて考えると……アリアは実は寂しかったのかも知れない。


 正直ため息をつきたいところだけど、メイド長がいる手前気軽につく気がしない。


 こんな事を思ってしまうと「主従関係が逆転している」なんて思うけれど、今の内に「いつも誰かに見られている」と思う緊張感を持つのは大事な事だと思うから、このままで良いと思う。


「……」


 それはそれとして……今の問題はこの『王族主催のお茶会』である。


 実はこのお茶会の招待状が来た事によって思い出した事があった。


 それは、実はこの世界は『乙女ゲーム』でアリアは前世にプレイした事があった……という事だった――。


◆  ◆   ◆   ◆   ◆


 その乙女ゲームの名前は確か『マジック・ファンタジア』というモノで……確かサブタイトルもあった……と思う。


 だけど、それ以上にこのゲームのタイトルがどこにでもありそうな名前だったからそちらの方をよく覚えている。


 内容は庶民でありながら魔力を持つ主人公が魔法学校での生活を通して様々な経験をしていく事によって『自分の夢』を持ってそれに向かって頑張っていく……というモノ。


 ただコレは乙女ゲームなのでその学校生活の中で『身分違いの恋』に落ちる。


 その攻略キャラクターは様々なタイプのイケメンがいたとは思うけれど、その中に教師は含まれていなかった……と思う。その代わりに魔法道具を売っている店主が攻略対象になっていたはずだ。


 そしてこのゲームには『悪役令嬢』と呼ばれる存在がおり、とにかく全てのルートで邪魔をしてくる。


 それはもう「ヒマなの?」を通り越して「むしろ『悪役令嬢』が主人公を好き過ぎるでしょ!」とネットで言われるくらい出て来ていた。


 そして今回の『お茶会』にはその主人公と『悪役令嬢』が出て来るのだけれど……。


 実はアリアは「全く」と言っていい程関係がない。


 なぜなら『悪役令嬢』の彼女は貴族の中でも最高位の『公爵家』であり、間違っても「男爵」であるアリアが気軽に話しかけて良い相手ではないからだ。


 そもそもアリアが記憶を取り戻して改めて顔を見て思ったのは……。


『誰だろう。この子』


 主人公の友人として出て来るキャラクターもいるにはいるのだけれど……そのキャラクターでもない――。


 そしてそこまで考えてアリアはハッとした。


『え、私……ひょっとしてモブ?』


 そう、アリアは乙女ゲームの世界に『モブ令嬢』として生まれ変わってしまった……という事実に気がついてしまったのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ