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第四話


 王子から来た返事は……いつもより少し遅かった。もしかしたら、リチャード王子が婚約した事によって色々とバタバタしていたのかも知れない。


 そして返事には……。


「――やっぱり」


 リチャード王子がご執心だったという「庶民の少女」つまり主人公とは結局。数回会って他愛もない会話をしてから来なくなってしまったらしい。


「多分。主人公のお父上が亡くなったのね」


 それに加えてリチャード王子は自身の婚約だ。さすがにそれまで通りともいくまい。


「……それにしても、この時期だったのね」


 ゲーム上では魔法学校に入学した頃には既に亡くなっており、明確な時期は特に書かれていなかった。


 しかも、主人公の父親が出てくるのはキュリオス王子のルートの一回きり。それを踏まえて考えると……。


「……」


 やっぱり何かしら「手」が加わっている様に勘繰ってしまう。


 そもそも「キュリオス王子に婚約者を」という話が持ち上がった原因は「俺は自分が好きになったヤツとしか結婚しない」とリチャード王子がその態度を改めなかったせいでもある。


「この世界の世界観すると、多分。ゲーム中のリチャード王子の考えは珍しいでしょうね」


 アリアが前世の世界ではむしろ当たり前の「恋愛結婚」だが、この世界。しかも貴族の結婚はそのほとんどが家同士の結びつきを強くする「政略結婚」だったはずだ。


 そしてリチャード王子はこの考えをずっと曲げずにゲーム開始時点では婚約者などいない状態だ。


 そんな自由奔放に振る舞う兄に代わりの白羽の矢が立ったのが……キュリオス王子だったのだろう。


「なんか……」


 改めてそれを考えると、キュリオス王子がものすごく不憫だと思ってしまう。


 何せリチャード王子はこの態度から見ても分かる通りかなりのオレ様で自由奔放。周囲を振り回す問題児でもある。


 それに引き換えキュリオス王子は聞き分けが良く、貴族の常識もよく知っている常識人で自分が納得さえすれば時には自分の意見も殺す。


 もちろん、それらはキュリオス王子が納得した上で……である。


 しかし、それを考えてもキュリオス王子の方が国王に向いている様に思える。しかし、実はどう頑張ってもキュリオス王子が国王になる事は出来ない。


 それは「先に生まれたから……」などという年功序列ではなく、単純に「ある魔法」が使えるかどうかだけの話だ。


「……」


 実はこの国の国王になるためには「国王のみ使える」とされている魔法があり、リチャード王子はこの時点で完ぺきとはいかないまでも一応使う事が出来る。


 しかし、キュリオス王子は使えない。


 この魔法を使うには大量の魔力が必要となるらしいのだが、リチャード王子の魔力はキュリオス王子の比ではないほど多いらしい。


 たったそれだけで知識も体力も何もかもリチャード王子に勝るキュリオス王子は国王になれないのだ。


 まぁ、それだけその魔法が大切な役割を果たしている……というワケで。


「……ふぅ」


 そして、その事実をキュリオス王子が知ったのは小さい頃だったらしい。


 それもこれまたよくある「使用人たちの会話を偶然聞いてしまって……」である。


 つまり、ゲームが始まった時点でキュリオス王子はどこかでこの話を知っていた。だからこそ、いつも穏やかな笑顔の中にどこか大人びた……いや、どこか諦めたような目をしていたのだ。


 でも、この手紙の内容を全て信じるのであれば、今回のキュリオス王子が置かれている状況は少し違う。


「それにしても、問題は……」


 主人公の話もそこそこに、その次に書かれていたのは「今度またお茶会をしたいと思っていて、そこにお父様とお母様も同席したいと言っているのだけど……どうだろう」と書かれている。


「どうかな……って」


 この文章を見た瞬間。アリアは「え、見間違いかな?」と何度もその文章を見たけれど、何度見てもそこにはそう書かれており、アリアは思わず「え、なんで?」と一人でそう呟いたのだった。


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