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第三話


 それにしても、一体コレはどういう事なのだろうか。


「……」


 確かにキュリオス王子の義兄であるリチャード王子はこの国の第一王子。だから公爵令嬢と婚約するのは貴族社会の中では何もおかしな話ではない。


 むしろ庶民である主人公よりもあり得る話ではある。ただ、問題はそのお相手が『クローズ公爵令嬢』というだけで。


「やっぱり……」


 アリアは「自分の記憶違いだったか……」と考えてはみたものの、正直あまり納得はいかない。


 それくらいあのゲームはやりこんだと自負している。


 しかし、若干その自信が揺らいでしまうほど想定外の事ばかり起きているのも事実だ。


 たとえば「どうしてこの婚約の話が持ち上がったのか」というところとか「そもそもどちらからこの婚約を申し込んだのか」などなど……とにかく不明な点が多すぎる。


「それに、これじゃあまるで……」


 リチャード王子がキュリオス王子のルートをなぞっているかの様にすら見えてしまう。


「ん? ちょっと待って」


 そこでアリアは考えた。


 ゲームの中でキュリオス王子はお茶会を抜け出した先で主人公と会っている。


 しかし、思い返してみるとキュリオス王子はあのお茶会を途中で少し抜けてはいるものの、そこまで遠くには行かずにすぐに戻っている。そして、その時見たのは……。


「――私の後ろ姿」


 その後にアリアの魔法によって固まった貴族の令息令嬢たちを見た。


「ん……? ちょっと待って。えーっと、つまり?」


 この状況は……まるでアリア自身の行動のせいで引き起こしてしまった……とも言える様な気がしてきた。


 しかし、そもそも令嬢たちに目をつけられるきっかけになってしまった事の発端はあの使用人に止められたせいだ。


 そもそもアリアは目立たずひっそり穏やかに人生が送るつもりだったし、それでよかった。


 確かに、突然とんでもない「魔法の才能」つまり『魔力』を半ば強引に授けられはしたものの、それ自体はアリアが注意さえしていればどうにかはなる範疇の話……。


「あ」


 そこでアリアはハッとした。


「ひょっとして……」


 それは自称「神」を名乗るヤツが「欲がないなぁ。それじゃあ面白くないから」と言って魔力を強引に押し付けてきた時の話だ。


「あの時……」


 あの「神」とやらはアリアに「魔力を授けた事」で「コレできっと面白くなるだろう」と思っていた。


 しかし、そいつが「まだ面白くない」と思っていたとしたら……。


「私の知らないところで何かちょっかいをかけてきている可能性も……」


 正直、アリアは「ありえる」と思った。それくらいあの「神」とやらは、かなりうさん臭かった。


「はぁ。もし仮にそうだったとしたら、かなり面倒な事をしてくれるわね」


 その可能性にこの時ばかりはアリアも盛大にため息をついた。そして――。


「……とりあえず」


 アリアはキュリオス王子に「リチャード殿下のご婚約おめでとうございます」と普通のインクで書き、そして『別のインク』に変えて「ところで……以前話されていた庶民の方とはどうなりましたか?」と追伸を添えてキッチリと手紙に封をし、リアに渡したのだった。


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