8.エリンの降嫁
エリン様の降嫁は地味に行われた。パレードとかするほどじゃないし。
「私の事は‘エリン’と呼んでください」
それがエリンが我が家に来ての第一声だった。立派になったなぁ。アースにタックルしてたのが嘘のようだ。
「エリンちゃ~ん、一緒にお茶したり、買い物したり。ウフフ、男の子を育てると楽しくなかったから嬉しいのよ。それもエリンちゃんみたいに美人で可愛い子がリチャードのところにお嫁にきてくれて!もうっ、涙が出ちゃうわ!」
感激し過ぎだ。息子が生まれて悪かったな!
「エリン、わかったか?こんな母さんだ」
「不束な嫁ですが、よろしくお願いします。お義母様」
「聞いた?聞いた?お義母様って。もう、嬉しい!どうしよう!今日は一緒に寝ましょうね?」
「ちょっと待った!母さん、今日は一応二人の初夜にあたるから、一緒に寝るのはまた別の日にしてくれ」
「やっぱり男の子はつまらないわねぇ」
母さんはプクっと頬を膨らますが、そういう問題じゃないと思う。
「母さん、孫は見たくないのか?エリンを母さんが独占すればするほど孫が遠ざかる。ここは我慢しよう?」
父さんが参戦した。父さんは孫を見たい派なんだな?
「エリンちゃんの子ならさぞかし可愛いんでしょうね!」
……俺の子でもあるんだが?
俺とエリンの初夜は恙なく行われました。エリンが淑女に育ってくれたなぁ。俺、感激!
通常なら、使用人とか二人をそっとしておいてくれるはずだけど……。
「エリンちゃ~ん!体は大丈夫?お茶できるかなぁ?」
「…母さん、エリンに無理させるなよ」
「エリンちゃんに無理させたのはリチャードでしょ!」
何故俺が怒られなきゃならない?
「えっと、もうちょっとゆっくりしていたいかな?」
ほれみろ、エリンはもうちょっと俺とゆっくりしていたいんだよ!
「今夜こそ、エリンちゃん、一緒に寝ましょうね!」
「恐れながら奥様、お二人は新婚です。新婚のお二人を邪魔するようにしつこくするのはいかがなものかと思います。通常ですと、3日間は二人っきりにするものです」
ナイスツッコミだ、俺付きの侍女!
「そうなの?」
自分たちはそうだったんだろうに、息子の幸せは考えてねーな。
とはいえ、エリンはまだ16才だもんなぁ。今後ますます美人になるんだろうなぁ。
「わかったわよぉ。4日後に絶対一緒に寝ようね!エリンちゃん!」
そう言い残し、母さんは去っていった。ハジメテで16才で疲れ果ててるエリンになんて提案をするんだよ!とりあえず、夜まではそっとしておくよ。俺だって己の欲望と戦ってる。
本当に4日後の夜、エリンと一緒に寝るつもりでいたみたいだ。
「エリン、枕を持っていってらっしゃい?」
と、本当に母さんはエリンを連れて行った。
「俺は明日でも待ってるから」
そういえば、俺だって仕事に行かないとなぁ。確か結婚して3日は有給届出したから、今日から仕事行かなきゃだな~。
エリンちゃんは義母に愛されまくってます。リチャードがちょっとかわいそうな感じです。不憫かな?