5.王女と俺 ①
俺の最近の悩みはエリン王女。
アースにつきまとうこともなくなったし、淑女らしくなった。そんな彼女に俺がロックオンされた。
「アース…どうすれば?経験者だろ?」
「父上と相談だな。エリンだって王族としての務めがあるからな」
そういうわけで、俺は謁見願というやつを父さんを通して陛下へと渡るように父さんに渡した。
「なんだ?悩みなら、父さんに言ってみろ」
父さんが解決できるレベルの悩みじゃないんだよ。とはいえ、とりあえず父さんにも伝えてみた。
「なるほどなぁ。これはあれだなぁ」
指示語が多すぎてわかりません!
「エリン様が自分の立場を理解しているのかというところだな。お前は教えたのか?」
「いや、それは王女教育でしょう?」
そう思うと沸々と王女教育をした人に腹が立ってきた。ちゃんと教えておけよ~!
「まぁ、お前の謁見願は陛下に渡しておく」
俺の謁見はアッサリと通った。
アースからも陛下になんかあったのかな?
「最近、エリン王女からのアプローチがありまして。気のせいとかじゃなくて、明らかなるものです。王女はこの国のために他国に嫁いだりするのでしょう?それなのに、私にアプローチしているとはどういうことでしょうか?王女教育で自分は後々この国のためにと嫁ぐ可能性もあるという事を学ばなかったのでしょうか?」
「それは私のせいだな。ここ最近は他国との関係は極めて良好で王女が他国へ嫁ぐ可能性は低いという話を宰相としていたのだが、それをエリンが聞いていたのかもしれぬ。関係は良好だがそれを盤石なものとするために王女には他国へと嫁いでもらいたいのだが…」
ですよね~!!
ん?宰相?ああ、父さんよりも能力的に劣るリア家の方か。
関係を盤石なものとする…か。なんて言うか、王族って感じ。今度エリン王女にアプローチされたらそのように伝えよう。
翌日、エリン王女が俺のところへやってくる。
「ごきげんよう。リチャード様」
うん、カーテシーも完璧にできてる。淑女としてどこに出しても恥ずかしくない。
「あのリチャード様は婚約者はいらっしゃらないのですよね?」
「ええ、この4年というもの、アーサー殿下とエリン王女殿下で手一杯でしたから」
「お恥ずかしい限りですわ」
確かに4年前のエリン王女は恥ずかしいな。どこに出しても恥ずかしいと思う。
「いい加減、婚約者を探さないといけませんね。あ、エリン王女。貴女は他国へと嫁がなければなりませんよ。今は確かに関係は良好ですが、その関係を盤石なものとするためにも貴女は他国に嫁がなければなりません」
「リチャード様はそのことについて何も思わないのですか?」
「強いて言えば、『王族って大変だな』と思いましたよ?」
その瞬間、エリン王女に首根っこをひっぱられて唇を奪われた。俺のファーストキス……。
「私のファーストキスよ。有難く思いなさい?」
と、俺に背中を向けた彼女は泣いているようだった。
普通は女性が「ファーストキス…」とか悩むのに、お前かよ!って感じでした。乙女か!