4.アーサーの妹
「お兄様ぁ‼」
と、アーサーさ…アースにタックルをするどっから見ても貴族の令嬢がいた。
「アース、こちらの令嬢は?」
この令嬢もアースに負けず劣らずの美形。金髪の金色の瞳。ただ肌は透き通るように白い。
「あー…、俺の妹だなぁ」
アースの褐色の肌は日焼け?
「いやいや!エリンはお兄様と結婚するんです!」
無茶を言う王女殿下だなぁ。
「初めまして。エリン王女。私は国王よりアーサー様の友人になるよう命じられましたリチャード=エイプリルと申します。よろしくお願いします」
まだ、アースの腰に巻き付いてるよ…。アースが苦しそう。
「フンッ、お兄様には私がいればいいのよ」
「エリン王女、アーサー様は王太子でもあらせられます。見分も広げなくてはなりません。国王としての義務というやつですね。エリン王女も立派な国王となったアーサー様をご覧になりたいのでは?」
「……そうね。わかったわ。貴方の名前はなんでしたっけ?」
「リチャード=エイプリルですよ。『リド』とお呼びください。」
エリン王女は赤面してアースの影に隠れてしまった。恐らくだが、あまりにアースに執着するあまりに男慣れをしていないんだろうなぁ。逆に不憫……。
「そう言えば、お茶会を主催していた気がするわ」
と言って、戻っていった。それは忘れちゃいけないやつでは?
「アースも大変だな?」
「まぁ、そういうサダメなんだろ。早く王女としての自覚を持ってくれるといいんだが」
王女はまだ12才らしい。まだまだガキだな。
王女の教育係も手を焼いていそう。
「父上が女の子が嬉しくて甘やかした結果、ああなった」
ナルホド。陛下の責任か。
「俺の友人である以上エリンももれなくついてくるぞ?」
そんな…おまけ付きのお菓子のような……。
12才ならデビュタントまでまだ時間あるし、更生の余地ありかな?
「別に俺は構わないけど?」
それから4年が経った。
俺とアースは20才。エリン王女は16才となった。
「お兄様、リチャード様もご機嫌麗しゅう」
エリン王女はすっかりと淑女となった。カーテシーも様になっている。
この4年はなかなか充実(?)していた。
エリン王女がアースに巻き付いては俺が引っ剥がし、その度に「レディの体に触るなんて」と罵られ、「レディは突然殿方に抱きついたりはしません!」と一喝した。これが1年目。
2年目は、兄妹というものは結婚が出来ないということを、倫理感からだけでなく、生物学的観点からも教え込んだ。
3年目は、アースは国王としてエリン王女ばかりを見ているわけにはいかないということを教え込んだ。
4年目は、ほとんど俺から教える事はなく、『アースはエリン王女を大事に思っているが、家族だからだよ』と教え込んだ。
ポートエクス国王陛下も自分の娘ながらもこの4年の変化は著しいので、俺に説明を求めてらしたので説明をした。
「王家としての王女教育も並行して行われていたので、結果は今のようなものですよ」
「何か褒美を取らすぞ?」
そう言われ、自分の家にそういえば今爵位がないことを思いだしたので、
「あ、エイプリル家に爵位を下さい」
と、言っておいた。個人的に爵位を持っている方もいらっしゃるようで(例:騎士爵を持つ辺境伯爵とか)。俺には関係のない話だけど。
ブラコン妹は大変そうですね。当初、アースは愛でる予定だったんだろうけどなぁ。ブラコン…