10.王女来る!
「わざわざご足労頂き、誠にありがとうございます。クリスタル王女!失礼しました!私はアーサー王太子殿下の側近をしております、リチャード=エイプリルと申します。以後お見知りおきを」
王家ってスゴイな…。美形が多い。
「アーサー王太子殿下は謁見の間にてお待ちしております。ご案内いたしますね」
しっかしなぁ。現・ラップトップ国王は親バカか?名前がクリスタルって。確かにラップトップ王国は鉱山資源が豊富だから宝石の類も採れるんだろうな。だからって子供の名前につけるかなぁ?美人に育って良かったものの、まかり間違ったら名前負けってことに…イヤイヤ王家に限ってそれはないか。
などと考えながら、俺はクリスタル王女を謁見の間へと案内した。
「アーサー王太子殿下!ラップトップ王国第1王女クリスタル殿下をお連れ致しました!」
まぁ、あとは若い二人に任せるとして……と退席しようとしたところで俺はアースに服を掴まれた。
「ここにいてくれ…」というアースの小さい声が聞こえた。
マジかよ?こいつでも緊張したりすんのかぁ。なんか意外な感じだ。結構付き合い長いけど、こんなアースは初めてだなぁ。
「初めまして。ラップトップ王国第1王女のクリスタルと申します。クリスとでも呼んでいただければ……」
おいおい、頬を染めて言ってるぞ!この色男が!
「ポートエクス王国の王太子をしているアーサーだ。俺のことはそうだなぁ?アースでいいや、ここのコイツも俺のことはアースって呼ぶし」
俺は自分の事、側近としか説明してねー。この状況で俺がアースって呼んでたのは不審だろう?
「あー、俺はポートエクス国王陛下よりアースの友人としてアースの側にいるように、仰せつかってるんですよ。今は側近に進化しました。俺にも養わなくてはならない家族が出来たからです!」
「まぁ、素敵ですこと。どなたか聞いてもよろしいかしら?不躾にならないかしら?」
「王女殿下の望みですから自慢したいくらいですよ。俺の嫁は、アースの妹殿下ですよ。元・王女殿下ですね。俺のところに降嫁していらっしゃったのです」
「では、お二人は義理の兄弟で?」
「そうなるんですよ~。不本意ですけど」
アースの義弟になるのか?アースが義兄?なんかヤダ。
というより、俺とクリス様の会話ではなく、アースが会話をすべきであって。
「なんだよ~。クリス様が美人だからアースが緊張してるのか?」
なんてこと?俺の一言でクリス様もアースも赤面してしまった。どうすればいいんだ?
「あ~…。クリス様。アースは普段市井の市場の視察に行くのですが、一緒にどうですか?」
「面白そうですね!」
好奇心旺盛な方のようで良かった。
「おう、あんちゃん今日はまた美人さんを連れているな。こないだエリン様と結婚したばかりでいきなり浮気かい?」
「違いますよ。彼女はアーサー様の婚約者候補ですよ、クリス様と仰る高貴な方です。エリンはまた今度プライベートで連れてきますよ」
「そんな高貴な方がこんなとこうろついていいのかい?アーサー様?」
「リドが…」
「あ―――俺が連れて行くって言ったんですよ。それより、今日のオススメは?」
「そうだなぁ?この串焼き食べるかい?アーサー様は好きだろう?」
あ、初めて会ったときに食べてたやつだ。好物なのか。
「アーサー様が小さい時からコレ食べてたもんなぁ」
「アーサー様、小さい時から買い食いしてたんですか?」
「そうそう」
俺も知らなかった新事実。
「私は頂きます!」
そう言ってクリス様は串焼きを食べることにしたようだ。
「ナイフもフォークもないのにどうやって食べるの??」
「ガッハッハ、やっぱ高貴な方ってのはこうだよなぁ。アーサー様は慣れ過ぎたなぁ。アーサー様、見本に1本どうぞ」
アースが見本を見せるようだ。
「喉に串が刺さらないように気を付けて下さいね」
アースなりにクリス様に気を使っているようだ。違うんだよ、本当はなぁ、串から全部外して渡すのが正解かな?
「はぁ、市場の皆様もいい方ばかりでしたね。串焼きも美味しかったし」
「クリス様は気に入られましたか?貴族の中には平民を毛嫌いしている方もいらっしゃるから」
「まぁ、為人も知らずに嫌うのはいけないわ」
「とはいえ、身分制度ですからねぇ」
っていうか、アース!いい加減会話に参加しろよ!!
アースが会話に参加しないのが気になります。せっかく王女が来てくれたのに…。




