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誹謗中傷を食べましょう

私はイラストレーターをやっております。そこまで稼ぎが多いわけでもありませんが、描いてる時は楽しいし、私の絵が見られるのが嬉しかった。それなりに幸せだと思います。

しかし、本日ある一件のDMがやってきました。嬉々として私はDMを開きましたが、目に飛び込んできたのはお仕事の依頼でもお褒めの言葉でもありません。誹謗中傷です。

最初の感想は、「うわぁ、ついに来たか」でした。

世の中には誹謗中傷すらもネタとしてしまう強靭な精神をお持ちの方がいらっしゃいますが、生憎私はそのようなメンタルは持ち合わせておりません。

しかし、このようなアンチさんと向き合うのもクリエイターの務め!私はまるでコロッセオの剣闘士のような勇ましい気持ちでその誹謗中傷を見ました。

まぁ、内容は予想通りといった所でしょうか。「キモい」だとか「死ね」だとか、ありきたりで子供のようなチクチク言葉が私の胸に刺さります。

もっと有名なクリエイターさんは、こんなものより遥かに凄まじい攻撃を受けているはずです。そんな殴打を受けてなお彼らは好きを作り続けているのですから、とてつもない人々です。

どんなに幼稚な言葉だろうと、気にするものは気にします。なんの気なしに「誹謗中傷 対処」など色々調べていた所、不思議な予測変換と出会いました。

「誹謗中傷 食べ方」

最初は目を疑いました。誹謗中傷を食べてしまうなんて、なんという蛮勇でしょう!しかし、どうも気になって仕方がありません。この私に送られた誹謗中傷も、美味しくいただけてしまうのでしょうか。それとも魚の小骨のようにチクチクなのでしょうか。

気になって気になって夜しか眠れなくなった私は、ついに誹謗中傷を実食することに致しました。一度走り出した私を止めるものはハーゲンダッツ以外存在しません。

早速誹謗中傷を食べられるようにしていきます。まずは特殊な印刷機で誹謗中傷を出力するようです。一昨日からアマゾンでポチっていたこの印刷機が唯一輝く瞬間です。

出力された誹謗中傷は風船のように膨れ上がり、宙にぷかぷかと浮きました。しかし、私の名前だけは下に落ちて、なんとも不可解です。

どうやら自分の名前は捨ててしまうようです。少し勿体無い気もしますが、エグみが強く、筋っぽくて食べられたものじゃないと記事に書かれていたので、大人しく捨てておきます。自分の名前を捨てるのは、なんだか気分が悪いです。

そして罵詈雑言だけが残った誹謗中傷。これらの中身を取り除くようです。しかし、大半の誹謗中傷には中身はなく、あったとしてもほんのわずかなんだとか。ズボラな私にとっては、下処理が楽なことほど救われることはありません。

そして中の空気が抜けてふにゃふにゃになった誹謗中傷。今度はこれらを加熱します。毒が含まれており、生食するのは非常に危険だとのことです。熱を加えれば簡単に分解されると聞いて一安心。何を作ろうか悩んだ結果、天ぷらにすることに決めました。私は揚げ物が好きで、その中でもとりわけ天ぷらが大好きなのです。

一口サイズに切った誹謗中傷に衣をつけて揚げていきます。いったいどんな味なのでしょう。まぁ、天ぷらにして美味しくないものなどこの世には存在しません。ごめんなさい。嘘でした。すぐ誇張表現してしまうのは私の悪いクセです。

くだらない嘘をつく間に、衣が美味しそうなキツネ色になってきました。お皿に盛り付け、一応調味料もいろいろ用意しました。

それでは、いざ実食!

まずは何もつけずにいただきましょう。天ぷらにかぶりついた瞬間、口の中にピリッとした味わいが広がりました。そうです。なんと誹謗中傷の天ぷらは、辛かったのです。まさに辛口。しかしその中にイカにも似た旨味があります。私はたまらず冷蔵庫に直行し、お歳暮でもらったビールを1缶開けました。

ここでお酒を飲まないというのは、もはやお酒に対する無礼です。こんなにも酒のツマミに適した文字があったとは!

ちょうど明日は休日だし、これはもともと晩御飯のつもりで作ったものです。飲まないわけにはいきません。

しかし、自分でもびっくりです。まさかこんなにも誹謗中傷を美味しくいただけるとは!きっと誹謗中傷に苦しむ世の人々は、受け取り方や調理方法を間違えてしまったのでしょう。毒に侵されないためには、適切な処理が必要なのです。

気づけば完食してしまいました。その後自分で自分に書いた誹謗中傷を出力してみはしたのですが、これとは違い中身がパンパンに詰まっていました。それでいてあまり美味しくなかったので、やはり天然物というのは良いものなんでしょう。

これはいい食べ物を見つけてしまいました。問題は食べたいと思った時に食べられないことですが、あの悪口を食べてやった時の爽快感といったら、それはもう筆舌に尽くしがたいものがありました。

とにかく、いい経験をしたものです。もしも誹謗中傷に困っている方や苦しんでいらっしゃる方がおられましたら、食べてしまうのはいかがでしょうか。

最初に誹謗中傷を食べてしまった蛮勇ヤローさんには、ぜひお礼を言いたいものです。

間空きすぎました。不定期とはいえ流石にサボりすぎました。ごめんなさい。

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