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パクラレルワールド


40歳の只野正男ただのまさお

正直が取り柄の平凡なサラリーマン。


イジメをする太ったホモの係長が苦手。

こいつは他の上役がいない時だけ、汚い大声で叫ぶ気違い。


只野正男は、会社近くの喫茶店でコーヒーを飲むのが日課。

19歳のハーフ美女モカちゃんが、ウエイトレスをしている。

彼女目当てで通っている。


只野正男は8年前に結婚、郊外に一軒家を無理してローンで買った。

しかし子供は授かっていない。養子縁組を検討中。




只野「え?もう前借りしたって?」

財務係「そうだよ。昨日。サインも印鑑もある。君の今月の給料」


「そんな馬鹿な!」

「他の社員にも聞いてみろよ」


「昨日のいつだ?」

「昼休みに」


「うーむ、おかしなこともあるもんだ」

最近、私と、そっくりの奴が出没してるらしい。




「あれ?私がいる・・・」

喫茶店の外から店内を見る只野。


服も顔もそっくりな男がモカちゃんを口説いている。

マスターが割り込んで男は出て行く。


只野は後をつける。

「双子?他人の空似?変装?でも服も同じってのは?」


高台の公園。謎の男は木に登る。枝で横に移動して飛び降りる。

姿が消える。


「ええっ?」

只野も同じように木に登って飛び降りると。

真っ暗な水面を潜ったような感覚があり、一瞬気が遠くなって。


気が付くと地面に倒れていた。

「ここは・・・そうか、パラレルワールド、似た別世界!」


「あ、だとすると」会社に行く。給料の前借りができた。

こちらの世界での「俺」が「私の世界」に来て悪さをしてるらしい。


高台の公園へ。木を登って飛び降り、ワームホールを越えて自分の世界へ。

意思をしっかり持っていれば気を失わずに通過できた。



翌日。

「よく平気で会社に来れたな」包帯を巻いた係長。

只野「どうしたんですか?」


「きさまが殴ったんだろうが!警察に訴えてやる、来い!」

「違います!私そっくりの偽物がやったんです!」


「バカなことを、信用できんっ!」会社から走って逃げる。


習慣でモカちゃんの喫茶店に行くと。


マスター「あんた、モカを誘ってデートで押し倒したって。

彼女は未成年だぞ。警察へ・・・」

「ここでもか!」逃げ出す。


自宅

妻「あなた、モカって誰?愛人がいたなんて!離婚しましょう!」

「何の話だ?」

「電話で散々あたしの悪口を言っといて何をとぼけてるのっ!」

「あいつめ、許さんっ!」飛び出す。




「私の世界で無茶苦茶やりやがって!やり返してやる!

いじめを受けないコツはイジメをする奴をぶちのめすことだ、

自分の命は捨てて!やってやる!」


店でバット、登山ナイフを購入。バット用バッグで隠す。


異世界へ移動。


課長を襲おうとするが足が震えて動けない。

モカちゃんの帰りを待って後をつけるが襲えない。



「ダメだ、良心の呵責かしゃくに耐えられない。

私には悪事はできない。出来る奴は悪の心を持ってるんだ。


キカイダーでいうところの良心回路。

ハカイダーやダーク破壊部隊は、心が無いからどんな悪事でも感情無しで行う。


悪人は悪い心を持ってる。

心底、他人を苦しめるのが楽しい蛆虫、地獄の生き物だ。


改心はありえない。刑務所なんて無駄。

害虫駆除するしか対処法が無い!


普通に盗みや脅迫、ポイ捨て、糞放置、汚い大声で叫んで嫌がらせする、

そういうことが楽しくてやってる、あいつら悪人は全部殺さないと。


人の姿だが中身は鬼、悪魔、ゴキブリ。

私に似てるが、あいつは心が腐ってる変質者、

別の生き物、あいつを殺すしか解決法は無い!」




別世界であいつを探すが見つからない。


自分の世界に戻ろうとワームホールを通過すると。

「あっ!」


「おっ!、見られちまったか」

深夜の公園で、私そっくりの男(仮名B)がシャベルで死体を埋めている。

死体は、頭をバットで割られた係長(こちらの世界の)。


Bは顔は、そっくりだがニタニタ嫌な笑いを浮かべていて、

チンピラっぽい悪相。


「おまえも死ね!」シャベルを振って、飛びかかってくる。

「く!」バットを入れたバッグで防ぐが、地面に倒れる。


手で掴んだ砂を、奴の顔面にぶつける。

「うわっ!」


シャベルとバットバッグを落とし、素手のバトル。

組み合って殴り合い。


自分だけあって勝負がつかない。

ナイフを出すタイミングがつかめない。


「二人共、動くな!」猟銃を構えた係長。

「えっ、あんたは何で?」


「おまえは殺したはず」

Bは死体を見る。


(異世界の)係長

「只野、おまえの後をつけたんだ。

 まさかパラレルワールドに行ってたとは驚きだ。

 二人共、殺してやる!」


只野はナイフを出して、棒立ちになっているBの首を刺す。

頚動脈を破られ、血を噴き出して倒れるB。


「・・・・・」

立っている方の只野に銃を向ける係長。


只野「待て、あんたを殴ったり、殺したのはそいつだ。私じゃない!」


「どうせおまえも私を殺したいと思ってたろう!」


「それは・・・」


引き金を引こうとする。

只野は死を覚悟してナイフで飛びかかる。




「ギャッ!」光って塵に変わる係長。

「え?」


半透明のクラゲのような生き物が出現。空中浮遊。

触手に筒を持っていて知性が感じられる。


筒が武器で係長を撃ったらしい。


只野「あなたは?」


テレパシーで答えるクラゲ。


「私は次元パトロールのルーバ。

 君たち3次元生物の次元間移動は禁止されている。

 この通路は閉じる」

 


「なぜ私を助けてくれたんです?」


ルーバ「悪の心を持った生き物は殺す、そうでないなら生かす。

 それは我々の常識でも同じだ。

 君の思考で言う所の「係長」、「B」は悪人だった」


そして筒からの熱線でBの死体、埋める途中の係長の死体も焼く。

そしてルーバは消える。


木の上の亜空間通路も無くなっていた。


そして私は元の生活に戻った。

嫌な上司「係長」は、いなくなった。


モカちゃんのいる喫茶店にはもう近づいていない。

会社での悪い評判、女房との信頼は、

時間をかけて修復するしかなかった。

手本は藤子・F・不二雄のマンガ「ぼくの悪行」

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