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ならず者・現代に転生する ~異世界の力に目覚めたので平穏な暮らしを目指したが簡単にはいかなかった件  作者: 藤明


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第88話 学徒出陣

§  §  §


異世界の廃墟と化したショッピングモール前で数人の少年少女達が兵士の制止を振り切り移動を開始していた。


『なりません! 待機を!!』


白波陽花里(しらなみひかり)は強い眼差しで兵士達をけん制する。その瞳からは強い魔力が漏れ出していた。

『いいえ、行きます。このままだと……代表が……父さんが負けてしまう……』


彼女の後を日本人転移者の学生たちも続いていた。かれらの目にも強い意思の力が感じられた。

「そうだ! 『飢える魔王』を倒さないとあの魔力の鎖が解けずに帰れないんだろ?」

「ああ、俺たちがこの世界で学んだ能力を使ってあいつをやっつけようぜ」

『俺たち戦う。負けたら帰れない!』

『君達への恩。返す時!』


口々に日本語や、片言の『異世界共通語』で色々言う学生たちに兵士や文官達は困惑してしまう。

『しかし、ショウ殿より絶対に出しては駄目と言われております!』

『そうです。彼には返せないほどの恩がある。せめてあなた達だけでも元の世界に……』


『いえ。私は帰る事よりも……父の、仲間達の命の方が大事です。私は行きます』

『気持ちはわかりますが……』


制止する兵士達の後ろから声をかける、この世のものとは思えない程の美しい女性がいた。

『行かせてあげなさい……いえ。行って欲しいのです。異世界の戦士たちよ……』


『エネリエス様!!』


「神様……」

『どうやらここが分岐点の様ですね……ヒカリ、あなた達に特別な加護を渡します。あなたが「ここぞ」と思う場所で使いなさい』


女神エネリエスが白波陽花里(ひかり)の手を握ると神々しい力が伝わって溢れかえってくる。

『……すごい力……これは……』

『男神ソベーレがこの世界にはいないのなら……おそらくあちらの世界に……あとは……この力をあなたの「兄」に渡してください』


陽花里(ひかり)は女神の言葉に疑問の表情を浮かべる。

『あの……「兄」は……こちらの世界にはいないのですが……行ける方法が? 『飢える魔王』を倒さなければいけないのでは?』

『大丈夫です。ヒカリ。あなたの望むように行きなさい。そうすれば必ずあなたの「兄」と再会できます』


『どうやって渡せば……』

『大丈夫よ。手を握ったり抱きしめたりすれば直ぐだから』

『……そう……ですか……』


陽花里(ひかり)ちゃん、なんかヤバそうだよ」

「いこうぜ、白波さん!」

「代表助けないと!」


「うん。わかった。行こうみんな」


陽花里(ひかり)は仲間と共に、飛竜にまたがり空へと駆けて行ったいった。


§  §  §


白波翔(しらなみしょう)は焦っていた。

彼の経験から理解していた。『飢える魔王』に集まる生命力と魔力を利用すれば、現在、空に展開されているバカげたサイズの魔法陣が起動することを。


「タクミ君!! 仲間達に連絡を!! 『飢える魔王』を総攻撃!! 地上の軍は見るな!!」

「わかりました!! 「全員に通達!! 『飢える魔王』を攻撃できるものは標的を『飢える魔王』に!! 目の前の軍は無視しろ!!」


それからは地上軍にいた転移者やこの世界の仲間達から魔法やギフトによる攻撃が開始される。

だが『飢える魔王』は遠距離からの攻撃を魔法の盾の展開も、魔力砲による反撃もせずにその巨体で攻撃をそのまま受け止め、無視して魔力を高めていく。


『ショウ!! 危険だ!!『飢える魔王』からいったん離れよう!!』

「え? 攻撃は来ませんよ!! 『攻撃は来ない!!』 魔法陣の起動を止めないと!!」


「くそっ……火力不足か……」


白波翔(しらなみしょう)は自身の魔法の破壊力では、多数の敵を葬ることは出来ても、『飢える魔王』の様な巨体には向かないことを知っていた。腰のバッグの中にある大量の魔石のストックを見ながら自分の魔法適正を恨んでいた。


グオオオー-----!!!!!!

ゴォオオオオオオ!!!!!


すると絶望する白波翔(しらなみしょう)の後ろから轟音と共に光の閃光と、高熱量の何かがとんでもない速度で通り過ぎた後、『飢える魔王』の体表で大爆発を起こす。


ズドーーーン!!!! ゴォオン!!


「なっ? レールガン???」

「光の槍って……もしかして……」

「これは……」


白波翔(しらなみしょう)は後ろを振り返ると、置いてきたはずの娘の陽花里と、その後ろに学生の転移者達が飛竜や空を飛ぶ魔道具に乗ってこちらに向かってきていた。


「陽花里!!! 君たち! 来ては駄目だっ!!」

「待っていてもしょうがないでしょっ!! 『飢える魔王』が死なないと帰れないんでしょ!」

「そうです! 代表! 僕らも戦闘に参加します!!」

「ここが俺たちの『ギフト』の使いどころでしょ!」


「だが……」


竜族の戦士は白波翔(しらなみしょう)の迷いを感じ取り、冷静な判断をする。

『ショウ。かれらの目は戦士の目をしている。事情は知っているが。今は少しでも戦力が欲しい。彼らの力を当てにするべきだ』

「代表! やっちゃいましょう!! 女神様が空にある魔法陣を見てるんです! 帰る魔法陣描いてくれますよ!!」


「ああ……そうだな……」


白波翔(しらなみしょう)は前回の転移の時に女神エネリエスが異界の時空を超えた転移魔法を使えない事を知っていた。空に展開された魔法陣を見て、再現が出来れば幸運……くらいに考え、自分をだますことにした。


「では……行くか……狙うべきは『飢える魔王』の心臓!! 魔力の塊が見える場所に貫通力のある攻撃をたたきこめ!!」

「「「はいっ!!」」」


陽花里(ひかり)が光の槍を撃ち放つ。それに続き、巨大なレールガンで手渡された槍を入れて放つ者、風と雷の力を放つ者。空を騎兵獣にまたがって飛び回り炎と爆発で『飢える魔王』の体表を焼く者、時空から岩の槍をふらせ突き刺したりしていた。転移者達が全力をかけて『飢える魔王』の生命力を削っていった。

小さなビル程もある巨体が徐々に動きを止めていく。


「行けそうか……」

『おかしいな……反撃の手が無い……されるがままだ……』

『そうだな……ん? 魔法陣が……すでに起動していた???』


「代表!! 魔法陣に、変な巨大な穴が!!! 転移門みたいな感じになってます!!!」

「……全員!! 『飢える魔王』を死ぬ気で攻撃!!! あちらの世界に行かせるな!!」


転移者達も異常事態に気が付き、全力で『飢える魔王』を攻撃していた。


§  §  §


『飢える魔王』は体を突き刺す痛みに耐えながら上空を見ていた。

展開された魔法陣によって切り開かれていく『空間のひずみ』が彼の吸収した知識人達の知識、経験が異世界の、日本への門が開いたことを認めていた。


(カエレル……ヤットカエレル……)


彼は死んだ体表と、転移者達の攻撃によって止まってしまった心臓のストックを体の外へと押し出して固め、本体がいつでも『空間のひずみ』の中へと行けるように態勢を整え始めていた。


(ソレニシテモ……ウルサイナァ……)


体を突き刺す痛みにわずらわしさを覚えた『飢える魔王』は「体表」を魔力で外へ爆発させて肉の壁を飛び散っていく巨大な破片へと変える。


ドーーーーーン!!!!


小さな山ほどもある大きさのある体から放たれたその肉の破片は周囲を吹き飛ばし、直撃を受けた人間達は吹き飛び、あるモノは即死し、あるものは体をつぶされて大怪我を負っていた。



§  §  §


女神の本陣で軍師たち首脳部は戦場のめちゃくちゃさに慌てていた。


『被害甚大です!! 敵味方構わず吹き飛ばしました!!』

『エネリエス様!!』


『……なんてことを……え? 感じる……これは……』


女神エネリエスは散っていく子供たちに憐みの目を向けるも、『飢える魔王』に開けられた時空のゆがみから何かを感じることが出来ていた。


『ソベーレはやはりあちらの世界にいました。懐かしい子たちもあちらの世界で戦っているようです……』


女神エネリエスは「あちらの世界」からの報告を頭の中で整理し、未来の勝利に向かって頭の中で絡まった糸がほどけ始めているのを感じ取っていた。


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