第55話 ユキナのダウジング
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蓮輝の家の離れに一同は集まっていた。その部屋に振水ユキナと真直歩夢、伝地力弥も同行していた。
「申し訳なかった。脅して済まなかった」
海波は振水ユキナにあった瞬間に平謝りする。
謝られたユキナは一体何のことだ……と本気で悩んでいたが、暫くして最近脅された恐怖の事を思いだしたあと、三歩ほど後ずさりをする。
「え……もしかして白波君が……道化仮面だったの??」
「……そうだ」
ユキナは周囲を見回し、助けを求める。彼女と同行して来た真直歩夢は肩に手を回して優しく彼女に諭すように語りかける。
「大丈夫だ。ユキナ。落ち着け。海波を恐れている人はここにはいない」
「そ、そうだけど…………ふぅ……だったら、最初から正体教えてくれても良かったじゃない!」
「あの時は君達が敵なのか味方なのかわからなかった。それに蓮輝を助けるために仕方がなかった……すまない」
「……う……それ出されると……私のせいで力弥がバカな事をやったせいであの組織に協力してたし……うーん。自業自得なのか……」
蓮輝が興味深そうにユキナに質問をする。
「バカな事って? なにやったの?」
真直歩夢がやれやれといった表情をした後、伝地力弥を小突く。物凄く恥ずかしそうになりながら力弥が答える。
「……俺が……その。俺のギフトで自由に鉄を動かせるって知ったユキナが……その、パチンコで玉出し放題なんじゃって……」
「し、知らなかったの! その手のものに警報ついているなんて!」
「浮かれて話にのった俺もバカだったんだけど……次からやる前に調べるよ……ちゃんと」
その場の人間が呆れた目で伝地力弥の事を見る。
(パチンコ……とは大人にならないとだめなものではないのか?)
(伝地君は見た目が二十代後半だからね……高校生でも見た目が大人ならばれないかも……)
(どこも堅気でない人間に目を付けられることをしては駄目なのだな……)
「俺がいたら止めたんだけど……ギフトに目覚めて浮かれてて……俺も山でギフトで石飛ばして遊んでたし……」
瑠衣と紅華がクラスで一番まともな男子だった歩夢がいながらそうなった事に呆れた感じでツッコミを入れる。
「力弥君って大人びた感じだったのに……結構……」
「あたしよりバカかもね……」
「高校生でパチンコいったら……退学とかになっちゃうんじゃ?」
「換金するときどうするつもりだったんだろ」
「それで脅されてたのか……」
「……ぐっ」
「……ごめんね……」
§ § §
蓮輝がその場が落ち着くのを見届けたあと、改めて探して欲しい間空提子の顔写真をスマホに出して見せる。
「探してほしいのは提子。同じクラスだった間空提子なんだけど……」
「……提子かぁ……」
ユキナがあからさまに嫌な表情をする。
紅華が「あれ?」そうだっけ? と言った表情になる。
「なんかあったっけ?」
「あの子……なんと言うか、八方美人っていうか……コウモリじゃない? 強い方に付くって感じで……直ぐ乗り換える感じで」
「……」
元クラスメート達だったので、各々が過去を思い返していた。
「たしかに、ソーマ達が来たらあっちにべったりになったもんなぁ……」
「最初、政所さんとか、ユキナとかとつるもうとしてたもんな」
蓮輝が予想していなかった提子への反発の流れに若干戸惑うが、目的が達せないと困るので優しく諭すようにユキナに語りかける。
「ユキナちゃん、色々あったかもしれないけど……どちらかと言うと、彼女とか竜太君のためって言うよりも、早風切那さん達の組織が何やってるか探るのが目的なんだ」
ユキナが聞き覚えのない名前を聞いて思わず聞き返す。
「ハヤテセツナさん?」
「ああ、あの強いグラマラスなお姉さんか……こう、なんかすごかったな」
「典型的な愉快犯っぽい人だったな……おい、力弥……女性を敵に回してるぞ」
「あ……すまん……へへ……ごめん」
女性陣が卑猥なジェスチャーを入れて解説していた力也に対して白い目を向けていた。
歩夢は白けた空気を元に戻すように質問をする。
「もしかして前回の巨大怪獣騒ぎって、自由主義の幹部たちの仕業なのか? 指揮系統がぐちゃぐちゃになって混乱しているようだったぞ?」
「うーん。完全にはそうでもないんだけど、ソーマ君が召喚していたのを見て……それに気が付いたかわらないけど、どうやらソーマ君を連れて行っちゃったみたいなんだよね。そのあと竜太君の前で提子ちゃんを拉致していったから……彼らを使ってまた巨大な魔獣なんか呼び寄せる可能性があるんだよね……」
力弥は意外な顔をして自分の現状を話す。
「その情報は俺には来てないな……ってか、バイト情報もなんかあまり来なくなったし……」
「あんた、まだやってたの? 抜けるって話だったじゃない?」
「ああ、でも情報が来る分にはいいだろ? やばい案件だから情報が来たら逃げればいいんだし」
「まぁ、そうなんだけどさ……」
「要するに幹部だけで情報共有してる感じなんだろうね」
「異能者管理組合を敵視してたけど、一般市民巻き込んだ何かをするように見えなかったんだけどなぁ……」
「ぼ、ぼ、僕が見た限りでも、普通の人たちに手を出そうとか、そ、そっちで儲けようとはしてなかったよ」
その後も、転生者自由主義の裏情報、お互い持っている情報をやり取りし続ける。
若干脱線気味になりつつも、転生者自由主義の幹部たちが危険らしい、巨大魔獣が再び出るのは阻止しなければ! と言う方向性だけは合致していた。
ユキナは暫くその場にいる人間の議論の様子を見て判断をする。
「うーん。また怪獣出てきても困っちゃうね……瑠衣ちゃんもいるし、信じますか……」
「ユキちゃん、助かるよ」
「任せておいて」
ユキナは瑠衣に合図を送った後、広げられた地図の上に持っていた石のついたペンダントに魔力を通し始める。
ユキナがゆっくりと手を動かす。ある地点に近づくとユラユラとペンダントについた石がぶれ始める。
「ここ……かな?」
「え?」
「ん? 消失事件の爆心地に近いな……」
「駅に近い感じね」
「ちょっと待ってね……」
ユキナは今度は手を掲げて、ゆっくりと腕を動かす。ある位置にくるとペンダントがユラユラと強く揺れだす。
「やっぱりそっち方向だね。あってると思う」
それまで静かに皆の様子を見ていた丸亀礼音はユキナのギフトに感心をしつつも何かをひらめいたようで質問をする。
「ユキナちゃん、そのギフトの的中率はどれくらいになるの?」
「えっと……ほぼ当たる感じかな……」
「それじゃ……邪神ソベーレの信徒のいる方向……なんて曖昧なのもわかるかな?」
「……え?」
その場にいる人間の目が真剣なまなざしになり、礼音の事を凝視したり、冗談じゃないと言った表情になったりしていた。
蓮輝が直ぐに冷静になり、礼音にゆっくりとした口調で質問をする。
「礼音ちゃん、それって……どう言う事?」
「黒い手、前世で見覚えがある。ソベーレの信徒、闇魔術でも出てくる時があった。爆心地でも見た。竜太の話を聞いていると、邪神の力が悪さしているかと思った」
海波も前世の事を思い出そうと頭をフル回転させていた。
(たしかに邪神の信徒の魔法であったな……)
(……あの……なんか、黒い手を避けて信徒を虐殺しているイメージが頭に浮かぶんだけど……)
(ああ、ラケシスに上手い事誘導されて……酷い光景を見た後の事だな……激情していたと思う)
(……うっ……そっちは思い出さなくて良かったかも……)
「……行けるか?」
「……やってみる……ああ、でも、私の欲望が強く出ると……外れだすんだよね……」
ユキナが先ほどと同じようにダウジングでペンダントを揺らすと、いたるところでペンダントが揺れ出して強い反応を指し示していた。
その結果を聞くまでも無く一同は慌て始める。
瑠衣が慌てて周りを見回しながら確認をする。
「ちょ、ちょっと待って。この世界に転生できたのって、エネリエス様側の人間だけじゃなかったの?」
「両陣営……転生してたってことか」
礼音がどうだと言わんばかりの表情になる。
「うん。やっぱり私の勘はあたる」
「そ、そ、その勘は当たってほしくなかったかも……」
その場にいた一同は要の意見に強くうなずいていた。
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