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ならず者・現代に転生する ~異世界の力に目覚めたので平穏な暮らしを目指したが簡単にはいかなかった件  作者: 藤明


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第52話 母親の謎

§  §  §


言預美来(ことよみく)との遭遇の後、帰り道のコンビニ前に置かれたベンチで海波は情報を整理していた。傍らでは瑠衣がスマホを操作して仲間達に連絡をしていた。


「家族を信じろ……か」


「そう言ってたね……」


「母さんを信じろってことだよな……」

「……多分」


(心が囚われている……と言っていたけど……)

(……確か、迷って悪い方向に考える状態、考えが固まって抜け出せない状態……とか言っていた気がするな……)

(抽象的な言葉だったの? その未来の預言の……四行の詩って)

(ああ、そうだな。意味を取り違えたり、完全に未来は見せてくれない、そう言ったものだった)

(それなのに当たるの?)

(そう言うギフトだからな……加護かもしれんが、実際にあたっていた……)

(……なるほど……四行詩を残して……君たちを導いてくれたのか……)

(ああ、死んだ後……もな)


「白波海波」は「ゼフ」の記憶を断片的に垣間見る。彼の仲間達が残された四行詩をもとに四苦八苦しながら解読をし、言葉通りに行動して困難を乗り越えていく様を思い出していた。


海波はほぼ夜になった空を見上げながら、言預美来(ことよみく)の言っていたことを頭の中で何度も思い返していた。


「最後に……この危機を乗り越えたらって……言ってたな」

「そうだね。おそらく、それを止めるために動いている……んだろうね。ミクさんも幸せのために動いているって言ってたし……」

「危機……彼女が「危機」という言葉を使うと時は街全体に危険が及ぶ……感じだったな」

「街への危険……魔獣が襲ってくるとか?」

「そうだな……魔獣もそうだが、邪神軍の進軍、貴族の大規模粛清……なんかも当てていたな……」


瑠衣はしばらく海波の言った言葉を理解するのに時間をかけた後にふと思いつく。


「そうなると……現代に当てはめると今の私たちの街が危ないってことね……」

「そうなるな」


海波は前世のラケシスと話した時の会話の内容を思い出していた。


「前世では……子供が作れない体と言っていた……だからこの世界で……」

「……そうなの……だから……幸せのため……か」


瑠衣は海波のいつもの即断即決の結果だけを言う状態からかけ離れているのを見て、本気で悩んでいることを察していた。ただ、どうやって言葉をかければよいかわからなかったので、沈黙が暫くその場を支配していた。瑠衣がスマホに届いたメッセージに気が付く。


「あ、蓮輝くんから……とりあえず、お母さまと普通に接して、今日はしのいでおいて、後で情報持ち寄って考えよう……だって」


「そうだな……」


(あまり自信無いよね……普通に接する……)

(こちらから話そうとしない方が良いかもしれないな)


瑠衣が迷いながら海波を助けようとしてか、海波が思いもよらない事を提案をする。


「……私も一緒に行った方が良い?」

「……あ、母さんからは帰りが遅くなるってメッセージが来ていた。夕ご飯いらないって……」

「そっか、仕事場が騒ぎになったから後処理中……なんだろうね」


「なるほど……」

「それだと、流石に問題あるか……」


暫く二人の間に何とも言えない間が発生していた。


「……そうだな。ありがとう。ここまで付き合ってくれて。一人では何をしていたかわからなかった」

「……とりあえず普通に……何かあったら私たちに連絡をして。すぐ行動は……駄目だよ」


(ラケシスにも言われたな……)

(即行動はしばらく自重だね……)


「ああ、そうだな……」


瑠衣は海波の家の前まで彼を送ると心配そうな表情をしながら後ろ髪をひかれながら自分の家へと向かった。



§  §  §



夜も更け、そろそろ日も変わろうとする時間になっていた。


(帰ってこないな……)

(そうだね。とりあえず……風呂のお湯は抜いておくか……)

(なんか……頭痛がすごいけど……)

(朝から色々なことがあったんだ……限界なんだろう)


海波がスマホのメッセージを確認するが、特に追加の情報はなかった。

リビングに飾ってある、三年前に家族四人で撮った写真を眺めた後に自分の部屋へと電気を消して戻ろうとする。

するとドアの外から気配がし、鍵の開ける音がして部屋に浪音が帰ってくる。


「ただいま、寝ちゃっててよかったのに。ごめんね……ちょっと疲れたかも」

「ごめん。風呂のお湯抜いた……」

「ああ、いいわよ。シャワー浴びて寝るわ……早く寝なさい……あ、宿題は?」

「終わってるよ」

「それじゃーおやすみ」


浪音はいつも通りにいつもの振る舞いをしてた。


(特に変わった感じは無いね……)

(そうだな。少々違和感は感じたが……)

(僕は気が付かなかったけど……)

(魔力も強くない普通の人間に見えるな……外見は若いが……)


海波は仲間に言われたとおりに自分の部屋へとさっさと戻り、スマホを見ながらメッセージの確認などをしていた。とりあえず現状を仲間に連絡し、「白波海波」としての記憶を振り返っていた。


(……よくよく考えると……不自然なんだよね)

(ああ、今は君の記憶が良く見えるな……「消失事件」の後の事だな?」

(うん。知識が付いて来たから、色々わかっちゃうんだよね……)


(……突然、家から未知のウィルスが発見されたから家を出る……のは確かにおかしい行動だな)

(だよね……でも確かに封鎖されていたりしたし……)

(……ああ、まるで先日見たパニック映画の様だな……)



海波はバリケードで封鎖された自宅の記憶を思い出し、「ゼフ」がその状況に驚いていた。


(俺もこの世界の常識をそれなりに覚えたつもりだが、この家は軍の研究所の主任が住む場所ではないと思うのだが……)

(だよね、正直なところ結構裕福な家だったと思うけど……)

(母親だけだとしてもなおさらだな。しっかりと給金をもらえているはずだ)

(……家……と言うより、母さんの行動おかしいね、よく考えたら)


(あの家から僕を追い出そうとしていた……としか思えないけど)

(……そうと考えるのが正しい気もするな……もしかしたら魔力的な何かのせいかもしれないな……)

(何でそう思うの?)

(君の……俺の母親でもある浪音からは……その……人の気配はするが……魔力的なものがほとんど感じられないのだ……)

(それって、魔法が使えないから当たり前じゃ?)

(すべての生物には大なり小なり魔力がある。それが殆ど感じられない……と言って良いくらい抑えられている……)

(つまり……母さんは……隠密的な何か?? なの? 君みたいに)

(それか、魔力を抑える何かしらの魔術器具をつけているか……だな)


海波は小学生低学年の頃の記憶、まだ一緒に母親と風呂に入っていた時の事を思い出す。


(何か思い当たる事でも?)

(ネックレス……変わった石のついたもの……ずっとつけてるね……風呂に入るときも……今も)

(大事なものなのではなかったか?)

(父さんから贈られた大事なモノっていってたかな……)


海波は寝返りを打ちながら混乱する頭を整理しようとしていた。


(……謎が増えたね)

(そうだな。以前住んでいた家に行って調べてみる事も必要そうだな)

(あとはあのネックレス……蓮輝が見ればわかるんだろうけど……)

(同性だったら温泉でも一緒に入れば良いが……今は男だしな……)

(困ったね……)


海波は一日に色々な事がありすぎて疲れていた様で、そのまま意識を失うかのように眠りについていた。


海波の部屋の電気のつきっぱなしに気が付いた浪音は電気を消して海波に布団をかけた。

しばらく海波の顔を愛おしそうに眺めていたが自分の部屋へと戻っていった。



§  §  §



瑠衣は自宅でベッドに寝転びながらスマホを見ていた。

海波の大丈夫そうと言うメッセージを見て安心していた。


ただ、彼女も今後どうするかかなり迷っていた。


(あの感じだと……やっぱり二人はかなり強い繋がりが……お互い目で語ってた感じだし……)


瑠衣は海波と美来のやり取りを見て、尋常ならざる関係性だと言う事に気付かされていた。

この現代だけの関係性だけだと軽いものに感じられ、彼らの方が優先されるべきではないか……など考え込んでいた。


(私は海君達がうまく行くようにサポートすればいいのかな……)


瑠衣は優等生的な考えをしてみるが、心が締め付けられるようになり、これはナシにしたいと思った。悩みが深まり、紅華に通話をしようとするが、時間が遅すぎるので躊躇していた。

(ああ、紅華ちゃんと……グリセーダとレンベルと三人で話したいな……)


瑠衣は電気を消してベッドに入るが、先ほどの話の内容が頭を駆け巡り、なかなか寝付けないでいた。


(やっぱり……ミクさんの言う「幸せのため」……前世での思い人だった二人が一緒にって事なのかな……前世での約束って……今もアリなのかな……)


瑠衣の目からは自然と涙がこぼれていた。


§  §  §


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