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ならず者・現代に転生する ~異世界の力に目覚めたので平穏な暮らしを目指したが簡単にはいかなかった件  作者: 藤明


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第28話 潜入開始

§  §  §


海波達は展望台のある廃墟ビルまでの侵入ルートの途中でみつけた魔力反応の強い廃屋を探っていた。

廃屋の中には魔力を持った人間の気配がし、場合によっては挟み撃ちになるので、危険と判断し対処する事になった。


海波は気配を消して建物に近づき、割れた窓の外から見つからない様に中を覗く。


(魔力反応が小さい。完全に無警戒だな)

(中学生と、大人? 仮面もバラバラだし変な組み合わせだね。制服みたいの無いんだ……)

(俺たちと同じ境遇のものをかき集めたのか?)

(だとすると納得だね。スマホ見ながら警戒……なんて統制とれている感じがしないものね)

(俺からすると雑談していないのが不思議に見えるが……)

(う~ん。良く知らない人と話せって言われても困るからなぁ……)


仮面をつけた転生者であろう二人の死角まで音もなく移動すると、海波が容赦なく陰から襲い掛かる。


「グホッ!!」

「え? ガハッ!!」


海波が姿を現したかと思うと、目にも留まらない速度で腹パンを決める。魔力を持った転生者が痛みでうずくまりながら海波の事を見たが状況を全く把握できていなかった。


「な、なにが……だれ、ごふっ!」


海波の追加の弱腹パンで意識を保っていた大人の転生者は気絶する。


(威力が弱すぎたか……相手の魔力量に比例させた方が良いか……)

(魔力持ってても腹パンの威力は関係ないんだね……)

(相手の魔力の壁を貫くだけの魔力を追加すれば問題ない)

(……言っている意味がよくわからないよ……)



紅華と礼音は『風景同化』のギフトで姿を隠し同行していたが、場の安全が確認できたので姿を現す。


「容赦ないねぇ……(敵じゃなくて良かった)」

「ねぇ、海波、軽く雷の魔法入れてる?」

「……ああ、少し入れているな。動きを止めたいからな。見えてたのか?」

「うん。それって電気だけじゃダメなの? ようはスタンガンでしょ?」

「雷だけで気絶させると魔力消費が多い。大概の奴は腹パンのみで悶絶して気絶する。たまに調整を間違えて意識を刈れない。その時用だ」

「わ、わかった……えぐいね、スタンガンと腹パン……」

「対魔力持ち用だな……これくらいで通用してくれてありがたい」


紅華は前世の記憶の一部を思い出し、魔獣相手の時は全力で全身全霊だったな……と思い浮かべたりしていた。


「たしかに……」


礼音はあまりに一方的すぎる展開にドン引きして固まっていたが、この展開に慣れた感じの紅華が机の上に置かれた数個の魔石に反応する。


「なんか魔石とかあるんだけど……」

「持ち運びしやすいサイズだな。なぜこんな離れた場所に?」

「ね、魔石なんてため込んでどうするんだろうね?」


紅華が何気なく魔石を手に持ちしげしげと眺める。


「懐かしいね……魔獣を殺すと体内から出てきたな……」

「そうだな。良い収入源だったね……」

「ん、なんか持つと変な感覚がするよ……」

「どれ? あまり感じないな……あちらの世界と同じものに思える」

「そう? 私はなんか……魔石から何かが流れ込んでくる気がするよ……あっ……」


紅華は一瞬、前世の記憶が一気にフラッシュバックしてめまいがしてしまう。


今まで思い出したことの無い、最後の凄惨な戦い。

前世の守護騎士として戦った彼女が絶命した時の記憶だった。

力尽き、動くことのできなくなった親友を守り切れず邪神側の魔族の無数の槍に貫かれ無残に散っていった記憶。


彼女はかなりの記憶の量、壮絶で残酷な戦いの記憶のショックでふらっとよろめいて倒れそうになってしまう。


海波が異変に気が付き、紅華をやさしく抱きとめる。


「大丈夫か?」


「……ありがとう……立ち眩みじゃなくて……すごい記憶が流れ込んできたかも……」

「記憶が?」


「うん、前世の記憶を少し思い出した感じ。酷かった。死ぬときの記憶。敵が多すぎて……槍に体を貫かれて……痛くて……」

「……そうか、魔石……前世にあった力と触れたのがきっかけかもしれないな」


「……心残りがあったから、転生しても記憶を取り戻したのかな……守れなかった……私……彼女を……約束したのに……」


紅華の目から涙が伝って落ちる。


海波は紅華を抱きしめ、前世の孤児院のシスターがやっていた様に優しく抱きしめて頭をポンポンする。

「落ち着け。今は蓮輝を助ける事だけに集中するんだ。前世の事は全部終わった後考えよう」

「……レンキ……蓮輝……そうだね。蓮輝を助けなきゃ……今度は、今度は守らないと……」

「そうだな……」


(魔石を触ると前世の記憶が戻ってくるのかな?)

(どうやらその様だな。俺たちに影響が無いのは既にほとんどの記憶を思い出しているからだろう)

(なるほど……貴志田さんもゼフみたいに、あちらの世界の能力に目覚めるのかな?)

(ギフトは使えるのだから……もしかしたら加護なんかも使えるようになるのかもな)

(加護??)

(神の加護、こちらの世界にまで届くかはわからないが)

(すごい世界だね……神の力って……)



二人の意味ありそうな深い会話を「なんとなく」聞いていて、取り残された感のあった礼音がはっと思い出したかの様な表情をする。


「あ、伝え忘れてた。要から連絡があったんだった。転生者自由主義が「異能者管理組合」を待ち伏せしてるって」


「……え? どこで?」


「ここで」


「……」

「……」


落ち着いてきた紅華が不安な表情をして礼音と海波を見る。やさしく抱きしめられている状況に気が付き、海波を突き飛ばすように離れる。


「ちょっ……蓮輝を拉致したのは転生者自由主義のやつらなの??」

「その可能性は高いが、彼を拉致したところで意味がない……俺と蓮輝との繋がりがあるところを観察されていたと考えるのが妥当か?」

「って事は目的は海波??」

「……たまに監視されている気配を感じていたが……そうかもしれないな」


礼音がスマホのメッセージのログを確認しながら情報を補足する。


「うーん。違うかも。要からのメッセージだと白波君、道化仮面は懸賞金のリストに入っていない」


「け、懸賞金?!」

「異能者管理組合の幹部を倒すか捕縛、殺害で百万円もらえる」

「……お尋ね者倒すみたいね……ちょっと、海波、ソワソワしない」

「すまん。昔の血が騒いでしまった……」

(いくら借金が無くなるからって……)

(大丈夫だ、あちらには参加しない……百万はでかいな……ん?)


海波の研ぎ澄まされた感覚は遠くの方で話をしながら歩いて接近してくる人間を捉える。

すると海波が仲間に警戒しろと事前に決めていたジェスチャーをする。

紅華は慌てて乱れていた心を整えて魔力を抑えて気配を隠す。

礼音は外から見えない死角に入ると無表情で悪びれた感じも無く小声で話す。


「ごめん。完全に別件だと思ってた」

「そうだな……いずれにしても展望台跡を目指すしかないな……」

「はぁ、敵地潜入とか、もう完全に巻き込まれたよね……やるしかないか……」

「サーチアンドデストロイでゴー?」


紅華が聞きなれない言葉に疑問の表情を浮かべる。


「さっきも言ってたけど、なんだっけそれ?」

「見つけ次第殺せ」

「……わかった。頑張る……この世界じゃ殺しちゃだめだと思うけど……」

「静かに……」


礼音は持っていた大き目のショルダーバッグに魔石を放り込んで入れる。紅華は魔石を素手で触っても礼音に何も変化が無いのを見て疑問に思うが、今は突っ込んでいる場合でないとスルーする。

礼音は「ギフト」で持ち物の気配まで完全に消せるため荷物運びのポーター役になっていた。荷物の中には、この間紅華が『硬化』のギフトで作成した「魔力を通せる丈夫な武器」が全部入っていた。


§  §  §


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「バトロワ」無視して異世界サバイバルライフ! 
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