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ならず者・現代に転生する ~異世界の力に目覚めたので平穏な暮らしを目指したが簡単にはいかなかった件  作者: 藤明


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第27話 救出活動開始

§  §  §


日も段々と落ちてきて空の青みが抜けてきて、あたりが赤く染まり始めていた。

召田宗麻達は遊園地跡の屋上の見晴らしのいい部屋から動いていなかった。

彼らの足元には魔石を砕いた粉で書かれた魔法陣が描かれていた。

転生者自由主義のメンバーと思われる人間が階下を行ったり来たりしていたが、彼らに気が付くことは無かった。


「偶然だが……いい位置を陣取ってたみたいだな」

「まぁ、この下、もともとホールみたいな感じだったし、そこにおびき寄せる予定だったんじゃない? 魔石も積んであるし」

「シューに『気配そらし』の魔法陣作ってもらわなきゃアウトだったな……」

「ほんとね。でも、こ~んなに魔力の気配がそこら中にあるんだから、やらなくても大丈夫だったんじゃない?」


召田宗麻は豪利竜太と間空提子が魔力の気配を消せない事を気にしていた。偵察に行く前に釜背修太が大量の魔石を見て魔力を隠しきれない人間と魔石を隠す事を提案し、彼の前世の記憶をもとに『気配そらし』の魔法陣を試しに描いてみたところ、あちらの世界と同様の効力を発揮し、非常にうまくいっていた。


「それじゃ、レンキの写真を……あれ? どこいった?」

「そっち、なんかリューと仲良くなってるし」


豪利竜太と引呼蓮輝は、部屋の机の引き出しに入っていたオセロを二人で黙々と打っていた。


「おい、場所がわかる写真とるぞ……って、おい、縄ほどけてんじゃねーか?」

「あ、ごめん、ちょっと痛かったからとっちゃった、ほら、豪利君結んで。今度は痛くしないでくれよ」

「わかった、結ぶの面倒だな……適当にぐるぐる巻いて写真とればいいか?」


二人が普通に馴染んでいるのを見て、召田宗麻は疑問に思った事を口にする。


「あ~なんだ……何で逃げ出さなかった?」


「え? そりゃ囚われのお姫様の居場所が変わったら困るでしょ? それに君たちのギフトがわからないから逃げ出しても捕まえられてしまうし、僕は戦う能力がてんでないからね。下に降りてもすぐに転生者自由主義の人達に捕まってしまうと思うよ」

(まぁ、海波君達だったら、ユキナちゃんのギフトに気が付いて位置は特定できてるだろうし、動かない方が得策だからね……)


召田宗麻は記憶を取り戻してから、かなりふてぶてしくなった蓮輝の事を気に入り始めていた。


「なるほど……お前、俺たちに付かないか? ギフト使って楽しい事しないか?」

「うーん、それは海波君達とやるからいいよ。それにやりすぎると戦いに巻き込まれて平穏が遠くなるって言ってたよ?」


「……ん? どう言う事だ?」


話を聞いていた間空提子と豪利竜太が蓮輝の発言に、ふと我に返って冷静に自分たちの事を考え始めていた。


「……そうだよね、下にいる奴らに巻き込まれたりするんだよね……」

「せっかく力持っても……同じ力持つ奴たくさんいたら意味ないな……今度はギフトに偏差値がつくのか?」

「あたし……どうしよ……考えてもいなかった」

「……記憶取り戻すと、力に目覚めるなら……他の人間も同じだよな……俺、バカだからわからなかった……」

「あたしもバカだった……何で生まれ変わってもバカなんだろ……」


段々とモチベーションが落ちていく二人を見て、召田宗麻は不味いと思い、短期的な目標を提示する。


「……まぁ、あれだ、後の事は海波のやろーに仕返ししたら考えようぜ。ここにある魔石も回収したらやりたい放題だ」


召田宗麻が持っていたスマホが震え、釜背修太からメッセージが届く。


【すまん。海波を見失った。探しているが反応がない。街中にはいない様だ】

【了解、そろそろ奴らをおびき寄せてぶつけるからこっち戻ってくれ。あれからさらに魔石ゲット。魔石たんまりだ】


豪利竜太が蓮輝を縄でグルグル巻きにしてそれっぽく結んでいる。が、かなり手抜きな感じになっていた。

召田宗麻は蓮輝を窓の外ギリギリに立たせて、蓮輝のスマホで写真を撮ろうとする。


「レンキ、ちょっと顔向けろ……えっと、なんで決め顔するんだ……もう少し悲壮感を……ああ、それでいい、これなら遊園地跡ってわかるだろう……あ、送り先は……え? レンキどれだ?」


召田宗麻がスマホを操作して送り先を探す……が、見知った名前などがほとんどいなかった。まるでゲームのハンドルネームが並んでいる感じだった。蓮輝は一瞬はっとした表情をした後、恥ずかしそうに答える。


「あ……お、王子様と騎士様で……」


「……」

「……」


「……まぁ、なんというか……見られると恥ずかしいから……本名にしておいた方が良いぞ……」


「う、うん、他人に見られると流石に恥ずかしいね……」


召田宗麻も一瞬固まっていたが、気を取り直してスマホの操作を始めてメッセージを送る


「さてっと、どうなるかな……」


召田宗麻はこれから起こるであろう大騒ぎに期待に胸を膨らませていた。



§  §  §


海波達は遊園地跡が見渡せる高台で様子を探っていた。


(望遠鏡持ってきてればよかったね)

(そうだな。魔力による視力強化も限界があるからな……)


紅華がスマホの着信に気が付き、画面を見て少し喜んだ表情をする。


「あ、レンキからだ……」

「こちらにも来たな……電波が届いてよかった」


二人に届いたメッセージを後ろから丸亀礼音がのぞき込む。


「なにその写真? 遊園地跡なのは確定ね……あの建物の上かな? ユキナのギフトって便利だね……」


(振水さんのギフトで場所はわかったけど……そうなると誰が拉致したんだろうね)

(あの屋上か……『鷹の目』のギフトがあればみえるのだが……流石に魔力探知だけではあれだけの数がいるとわからないものだな)

(転生者自由主義以外にも派閥的な勢力がいるって感じかな?)


「そうだな……しかし……これは……どう考えれば良いのだ?」

「どう……とは?」

「レンキの素性がわかる「ギフト」持ちがいたとかか?」


丸亀礼音が情報を整理しながら出どころを推察する。


「そうだねぇ、転生者自由主義側にはレンキ君とコーカちゃんの事はバレてないハズだから……アユムくんとリキヤくんが彼の事に気が付いて捕縛……の線は薄いよね。あいつらも嫌々だったし。そもそもアユムくんは正義マンだから逃がすだろうし……」

「とりあえずレンキが傷つけられてなくて良かったよ……拷問とか受けてたら、あたし感情が抑えられなかったかも」


海波は場所の確認をした後、写真を見ながらおかしな点に気が付く。


「……そうだな。しかし……なんで蓮輝の口元が笑っているのに目が悲しそうなんだ?」

「謎だね……」

「縄の結び方もおかしいな……ただ巻いただけに見える」

「蓮輝の自作自演?」

「そんな性格ではないだろう? 自撮りにしてはカメラの位置がおかしい。安全な環境? 知り合いがいる?」


紅華と礼音の二人は別々に考えていたが、同じような結論に達する。


(海波だったら蹴散らせるくらいの人数と相手……ってことかな?)

(白波君が強すぎて感覚がマヒしているんだろうな……そこまで強い人間じゃないのかな?)


海波は位置を確認すると全員に意思確認をする。


「とりあえずあのでかい廃墟に近づいてみるか」

「そうだね、でも、なんか魔力持ちが集まっている場所が途中に……何か所もあるけど、どうするの?」

「……見つかったら排除だな。任せろ。そう言うのは得意だ」


二人は海波の「排除」の言葉に「殺して戦闘不能」の姿を思い浮かべていた。


「……殺さないようにね……」

「なるべく協力する……駄目だよ、この世界じゃ」


「……大丈夫だ。前世でよく使っていた基本魔術は試してきた……」


海波指の間から小さな雷を生成するのを見せた後、瑠衣にこれから遊園地跡の旧展望台に向かう事をメッセージを入れ、スマホをボディバッグにしまう。


「さて、行きますか」

「わかった」


「さーちあんどですとろい。だね」

「?(何の意味だっけ……って今は関係ないね)」


三人は気配を消しながら園内へと侵入を開始した。


§  §  §


異能者管理組合の鼓動正史(こどうまさし)は隠密活動をして情報を収集していた。


が、彼はかなり混乱していた。

新規覚醒者達が多すぎて、作戦らしきものが立てられておらず、ただ適当に歩き回って警備している事に驚きを隠せない状態だった。

(なにがどうなってるんですかね……これ? 前回と全然違いますね……目的はなんだ? 早風や遠地の姿が見えない……別の組織か?)


彼は準備していたオペラグラスから偵察を続けていたが、旧展望台の屋上を見ると思わず手を止めた。

(見知らぬ新規覚醒者数人が見えますね……おや? あれは確か……海波君達の仲間の……引呼君でしたっけ……あちら側についた?? 縄をほどいている? 捕まっていた?)


歩き回る転生者達に対して、彼の『音操作』で音を拾っても他愛のない雑談をするものばかりで、まるで情報が入らなかった。すると、手元に明かりが軽く見えたのでスマホを取り出し瑠衣からのメッセージを確認する。


【海波君達からの情報です。行方不明だった引呼蓮輝が遊園地跡に誘拐か拉致されて捕まっているとの事です。私も救援に向かいます】


鼓動正史はメッセージを読んだ後も観察を続けるが困惑していた。

(……私はどうすればいいんでしょうね……訳が分からなくなってきましたよ)


§  §  §


転生者自由主義のベテラン達は旧展望台のホールの指定された位置に魔石と、魔石に似たアクリル製の塊を混ぜて山のように積み上げていく。

その周りを魔術師達が『気配そらし』の魔法陣を描いて魔力を感知できないようにしていた。


「そういや、早風さん、どこいったんだ?」

「さぁ、そういえば見てないな遠地さんもだな」

「流石、お偉いさんはさぼりですか……」

「作戦って、明日だろ?」

「まぁ、準備万端って言った感じだな」

「あとは異能者管理組合が引っかかってくれればOKだな」


ベテラン達は作戦決行まで暇になると思って各々が自由に休憩を取り始めていた。


§  §  §


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