序章1
日本人の男性サラリーマンが、架空のアジアの国の女の子として生まれ変わって生きていく物語です。物語を通して、主人公はずっと主人公のまんまです。日本で生きていた間は、大学生のときにした恋愛経験しかなく、仕事一筋で生きてきた人なので、恋愛関係には疎いです。主人公の心は日本で生きてきたときから変わりません。
俺は34歳の会社員である。
IT関係の会社に大卒で入社して、かれこれ10年以上勤務をしていた。最初はエクセルが得意ということで、事務職がメインの部署に回されたのだが、段々と営業の仕事に興味が出てきた俺はスキルアップとして、英語や中国語を学びながら、異動願いをせっせと提出するようになった。念願叶って営業を主とする部署に配属されたのは3年前で、もともと社交的だったこともあり、だいぶ早い段階で仕事のやり方を覚えてからはメキメキと営業成績を上げ、現在は部長職を任せてもらうまでになっていた。
の、だがっっっ・・・だがっっっ・・・・・・。
目覚めるとそこは見知らぬ天井だった。
そして次の違和感は匂いだった。香水とは違う柔らかな落ち着きのある香りがそこら中から香ってくる。
その次は音だ。沢山の足音とカチャカチャ聞こえる金属音とささめくような人の声と遠くから聞こえる大声と。右の掌に意識を向けてみると、絹のような質感が感じられて背中に感じるふわふわとした感覚から、寝具に横になっていることがわかった。だが、いつもの気に入りのベッドではない。そりゃそうだ。目の前に広がる天井は一度も見たことはないのだから。
身体を起こそうと力を入れてみる。今まで生きてきた中で一度も体験したことのない変な気分だ。さっき掌を動かした時にも思ったことだが、自分の身体なはずなのに、自分ではないようなそんな気がしてならない。
視界がかわって足を伸ばして座っている状態になって自分が薄桃色の上等そうな布団で寝ていたことだけは分かった。やはり、変だ。座ったときの目線が低すぎる。それに起き上がってきづいたことだが、背中を滑るように流れていったのはなんだ。も、もしかして髪か?なんだ、いったい何がどうなってるんだ。
訳がわからずにパニックになっているとき、襖の向こうから複数の大きな足音が近づいてくるのが聞こえてきた。ドタバタとどんどん近づいてくるそれは襖の前でぱったりとやみ、一瞬の間を置いてから静かに襖が開かれた。
まず入ってきたのは、韓国ドラマでみかけたことのあるような、伝統衣装っぽい色彩豊かな服を着た女性だった。次に入ってきたのは、先の女性のものより落ち着いた色合いの、これまた伝統衣装のような服をきた、女性とお似合いのイケメンだった。三番目に入ってきたのは、小学一年生ぐらいのこれまたイケメン男児だった。光沢のある絹で作られたような材質の伝統衣装をまとい、黒髪黒目のアジア人の風貌をした美男美女家族?が、総じて目に涙を浮かべながら俺を見つめている。
俺はといえば、目覚めた時からずっと続いている違和感と、一向に飲み込めない状況の中の、第三者の登場人物たちに理解はとっくに追いつかずにフリーズ状態である。
お互いにしばらく見つめ合っている状態が続く。そんな膠着状態を破ったのは、女性の方だった。しずしずといった感じで俺に近づいてきた彼女は、優雅な動作で俺のすぐ横に座り込んだ。流れるような動作に見入っていた俺の手を彼女は両手で俺の左手を包み込むようにしてつかみ、ゆっくりとその頬に近づけた。
あれれ、おかしいなぁ。俺の手だとおぼしきやつ。めっちゃ小っちゃいんだけど?
どこかの名探偵が俺の脳内でつぶやく。
それと同時に彼女が口を開いた。
耳障りのよい穏やかなその声は超弩弓の破壊力でもって俺の違和感を打ち砕いた。
「やっと・・・目を覚ましてくれたのね、私たちのお姫様」
その言葉にバッチリと目線が合う。
いや、
いやいやいや。
いやいやいやいや、いや?
俺、とっくに30超えた成人男性ですけど?
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
投稿初心者のため、読みづらい部分や、不慣れな部分も多々あるかと思いますが、ゆるい感じにお付き合いいただければ幸いです。
毎週1回の投稿を目指しております。なんかのついでにちらっとみるかぁという程度でいらしていただければと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。




