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この配慮、方向性未定につき危険


ジャックに案内されて来た少年は可哀想なくらいに萎縮していた。どう声をかけるのが正解だろうか?彼を見極めるのと同時に信頼してもらわなければならない。


「顔を上げてくれ。楽にしてくれて構わないよ」


まだ彼は候補生だし応接用のソファを勧めようか。座った方が落ち着くかも知れない。そう思って勧めると更に萎縮してしまった。ま、間違えた…


僕もオロオロしていると耐えきれなくなったジャックが笑い出し、そして咳で誤魔化した。


「ジャック!」


「い、いえ。すみません…んふふ…す、素敵な気遣いだと思いますよ、殿下」


「なっ…もうっ」


じわと羞恥で頬に浮かんできた熱を振り払うように向き直れば彼はぽかんとした表情でこちらを見ていた。誤魔化すように挨拶をする。


「見苦しいものをすまない。改めてパルム王国第3王子のライアン・ティア・パルムだ。君の出身であるウォード山岳地区の統治を任される事になった。君と共に山岳地区を守っていきたいと思う。…見ての通り、言葉使いを過分に気にする必要は無いよ。今日は私も貴族的な言い回しは忘れて君の言葉は言葉通り真っ直ぐ受け取るから」


「御配慮感謝いたします。騎士候補生一年、ベン・ウォードです。第3王子殿下にお目通り叶った事、望外の喜びです」


堅い。とても堅い。

そして多分定型文である。彼が真面目なことが伺えた。そして候補生ベン・ウォードはソファにとても浅く腰掛け頭を深く下げたまま静止する。


(これ僕が話しかけるまで多分ずっとこのままだぞ…)


「顔を上げてくれ。今日は来てくれてありがとう。君の出身地について詳しく聞きたいんだ。あとこれからあの地を治めていくうえで何度も君に相談したり頼ったりする事があると思う。これからよろしく。」


僕がそう言って握手の為に手を差し出すと彼は信じられないものをみたといった風に目を丸くた。そしてたっぷり一呼吸悩んだ後に握手に応じてくれた。鍛錬に打ち込んでいるのだろう年齢の割に硬い手のひらをしていた。僕の方が負けている可能性もある。頑張っているんだなぁ…


「こちらこそよろしくお願いします。第3王子殿下」



「それで、聞きたいのはどういった生活をしているのか、集落での魔法暴発はどう防いでいるのか、あとは税の集め方について相談したい。もちろん分かる範囲で構わない。どういった生活をしているかから聞こうか」


「はい。山岳地区に住まう私たちは主に狩猟採集で生計を立てておりまして…」




ウォード候補生を送り届け戻って来たジャックに聞く。護衛の騎士には引き続きドアの外に立ってもらっていた。


ウォード候補生の話によると、山岳地区の生活は魔物の狩猟、山菜の採集により生活の糧を得ているようだった。狩猟では中型の魔物であるボアをメインで狩っているようで、肉は食料に毛皮や魔石はスカーレット辺境伯お抱えの冒険者がほとんど税として持っていくと言っていた。


山岳地帯は中型の魔物でも結構な強さがある。冒険者でも山岳地区までたどり着けるのは結構高ランク帯に属する者のみだったはずだ。


どのように狩をしているかきくとやはり雪おおかみと協力して狩をしているようだった。そのおかげで先住の狩人のみで中型の魔物までなら倒す事ができるそうだ。

山岳地区が魔法暴発に巻き込まれないのも雪おおかみの鳴き声に魔力の流れを整える力がある事が理由らしいと言っていた。


あとスカーレット辺境伯は税を取り過ぎているだろう。後で父上に確認しなければ。


「どう思う?やっぱり半分も話してくれたようには思えないが…」


「そうですね、誤魔化しているところや言う事を躊躇ってやめてしまうところは何度も見受けられました。やはり一度で信頼してもらうことは難しいのでしょう。しかし、充分真面目な性格のように思います。頭も悪くなさそうです。」


「そうだな。味方につけて損はない。ただの庇護対象にしておくのはもったいない」


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