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その幼女、突飛な思いつきにつき危険


さて、私の話をしよう。

私は魔法使いの名門リズリー公爵家の次女として生を受けた。そして、リズリー公爵家らしく魔法が得意で魔法が好きだった。お父さまもお母さまもかっこいい。我ながら単純である。


教えられるままに火、水、土、風、雷、光、闇の基本属性全てといくつかの派生属性を習得した。

中でも得意なのは土属性である。

そして学者肌のお父さまでは無く、脳筋派のお母さまの性質をしっかりと受け継いでいた。すごい魔法を使うのが楽しい。


今は魔法の戦闘補助の手合わせをメインに指導してもらっている。魔法の発動探知、飛んでくる魔法に反対の属性の魔法を当てて打ち消す訓練の他、トドメの高火力魔法の打ち込みの練習が殆どだ。


魔法は発動が遅いから弓矢は防げないんだよな…


魔力は結構持ってるし、ずっと発動させておけば短期決戦の時は役に立つかな。でも壁や盾系統の魔法ってこっち側からも邪魔なんだよなぁ。

土魔法、ちゃんと練り上げれば殆どの属性の中程度の魔法を防げるし、物理的にも役に立ちそうだけど。


訓練棟の書籍でも読みに行こうかな…


次の日、訓練棟に行くと我が家の兵士見習いが足腰強化用の砂場で矢をぶち撒けていた。倉庫までショートカットをしようと突っ切って足を取られたのだろう。


サクッと砂に矢が刺さるのを見て私は思いついた。


それからの私の行動は早かった。

ルイーズ8才の夏の事だった。



「お姉さま!魔法の練習に義兄さまを貸してください!!」

「あらあら、わたくしのかわいい妹はまた何か思いついたのかしら」


お姉さまの執務室にドバーンと突撃する。

いつもの事ながらお姉さまは私を優しく出迎え、義兄さまはギョッとした目で私を見る。


「で、かわいいルイーズはわたくしの夫に何を頼むつもりなのかしら?」

「魔法の砂の壁で剣を受け止めてみたいのです。相手が義兄さまなら、お父さまが口出し出来ません!」

「秘密にやるなら、ちょっと危険じゃ無いかしら?」

「お母さまに連絡する用の魔法石とポーションと回復魔法のスクロールは用意しました!最初はちゃんと距離を取ってやります!」

「あら、なら安心ね」

そしてお姉さまはにっこりと微笑んで青い顔をしている義兄さまの方を向く。

「ねぇ、オスカー?」

「……。」

「可愛い妹の為なの。新しい魔法が出来たらわたくしも嬉しいわ。万が一があったらわたくしが責任を持って看病しますし、駄目かしら?」


看病の話題で義兄さまの顔色が変わる。後もう一押しだ。頑張れお姉さま。うるうるっとした艶やかな上目遣いで義兄さまを見つめるお姉さまにとうとう義兄さまは折れた。

「その、少しだけなら。」

「やったー!お姉さま、義兄さまありがとう!!」

「うふふ、やっぱりオスカーは頼りになるわ。今日の午後が空いてるわね。ルイーズが大丈夫ならさっそく貸せるけど、どうかしら?」

「大丈夫です!よろしくお願いいたします。」

「ベアトリス!?私とのデートは」

「そろそろ、最近の宝石にも視察にも飽きてしまったの。それより可愛い妹の新しい魔法が観たいわ。勿論、デートの時間は近いうちに調節するから。ルイーズが納得するまで毎週の風の日の午後は練習に付き合ってあげて欲しいわね。」

「そんな……」


がっくりと肩と落とす義兄さまを私は心置きなくドナドナするのだった。


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