その一族有能につき危険
私の家族はちょっと頭がぶっ飛んでるらしい。
世間からは領地から魔石がわんさか産出され、魔法学の研究所を独自に持ち、権力と財力が集中し過ぎている一族なのに凡庸な王家に頭を下げ続ける変態一族と噂されている。
当の本人たちは自分の好きな事を好き勝手にやらせて貰える王家に感謝しているだけなのだが。
父は結界魔法の書き換え防止システムの構築とアップデートの仕事で引っ張りだこ、
母は前線に置ける治癒士の有用性とその教育方法で癒術省に無くてはならない存在、
姉は表情ひとつで事業を立ち上げ成功させる黄金の天使、の皮を被った金の亡者
として有名である。
お姉さまと私は10つ歳が離れている。お父さまとお母さまの世代で一悶着あったらしい。ひと段落したところで私ができたらしいが、当時のことを聞くと皆んなが顔を青くして口を閉ざす。お母さまは少し頬を赤らめお父さまに口止めされる。本当に何があったのだろう。お家騒動の副産物として義兄さまがお姉さまと結婚したのは知っているが。
ある時期、お姉さまは婚約者に不満しかなかった時がある。次期公爵を勤める器じゃ無いなどの理由で愚痴ばっかり言っていた時、我が家最強のお母さまは言った。
「貴女が不足を補えば良いのよ」
次の日からお姉さまが愚痴を言う事は無くなり、気づけばお姉さまが女公爵になっていた。
今は伴侶の元第二王子を尻に敷く猛者である。
今でも義兄さまを揶揄って焦っている所を愛でるお姉さまを目撃する。そして義兄さまもまんざらでは無さそうなのだ。お姉さま曰く「欠点を可愛いと思える心が愛」なのだそうだ。あれだけ愚痴っていたのに恋愛とはつくづくよく分からない。
私から見ても普通では無い家族だが、なんだかんだで今日も我が家は平和である。