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ヴェスパラスト大陸記  作者: 揚惇命
最終章 真実をその手に掴み悪を討て

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激闘の行方

 怒りに打ち震えるデモンズと対峙するカイル。

「久しぶりが正しいのか。レインクラウズクリア王国の奴隷で逃げ出したカイルだ。いやあの時はルイスと名乗っていたか。レインクラウズクリア王国の王であった父ファインと王妃イーリスが一人息子だ」

「なんだと!?イーリスとファインに子がいただと。それを見逃していただと!?あり得ん、ありとあらゆる資料を調べ尽くした。どの記録にも子供がいたなどという記録はない。どういうことだ」

「エルフの魔法を舐めないでもらえるかしら。ファインが足止めに向かった時点で、皆の記憶の中からカイルの記憶だけを消したの。1人を除いてね」

「1人を除いてだと?」

「えぇ、王国騎士団長だった男、ランダスを除いてね」

 不思議に思っていたことがようやく解消された。そう、俺はまがいなりにも王子だ。国民が王子の存在を知らなかったなんて普通あり得ない。それどころか一緒に囚われて強制労働をさせられていたレインクラウズクリア王国の元兵士が知らないなんてことはもっとあり得ない。だが、俺はランダスが名乗った偽名であるルーカスの子であるルイスとして認識されていた。その時は、俺も幼くて皆気を遣っているんだと思ったが母のことを売国奴と罵っていた兵士がその息子である俺を売り渡さないなんてことがあるだろうか。だが、皆の記憶から俺の存在が消えていたのなら理解できると合点がいった。

「バカな!?国民全員の記憶から王子の存在だけを消しただと。そんな高等魔法が可能だというのか!?あり得ん」

「まぁ、あり得なくても今俺がここに存在していることが証拠だ。今こそ父の仇を取らせてもらう」

「良いだろう。ファインと同じところに送ってやろう。来い、カイル」

 力の差は歴然である。名の知れた各国の王を軽々と倒せるデモンズを前にカイルは防戦一方であった。

「ぐっ強い」

「どうした。その程度で、この俺を倒せると思っていたのか。ファインの太刀筋にも遠く及ばんおままごとレベルが。散れ」

「ぐぁぁぁぁぁぁ。ハァハァハァ。どうして、そんなに人間を憎む?」

「人間を憎む?憎んでなどいない。愚かなものは魔族に支配されるべきだと考えているだけだ!」

「ぐはぁ。力が違いすぎる」

「当然であろう。我こそ魔族の王であり、この世を統べる真の王である。我の妻たちを殺した我が娘よ。お前が託した男が死ぬ姿をそこで見ているが良い」

「このままでは、勝てない」

 頭に声が聞こえる。

「我が息子カイルよ。聞こえるか。大きくなったな。オズモンドは強い。見たこともない剣技を使う。だが付け入る隙がないわけではない。よく見極めるのだ」

「全く。無茶を言う」

「死ね。何、これは?」

 カイルはデモンズの攻撃を受け流した。

「あれは、ファインの水のように滑らかな剣技水面返し!?どうして見たことも教えを請うたこともないカイルが使えるの?」

「ほぉ。やってくれる。貴様がファインの子供であることは疑いようのないことのようだ。しかし、ファインを殺した俺にその技では勝てんぞ」

「確かにそうだ。だがお前の攻撃を交わすだけなら可能だ」

「舐めよって小僧が。交わしきれなかったからお前の父は我に殺されたのであろうが」

 再びカイルの頭に複数の声が聞こえる。

「ファインの倅よ。我らの声が聞こえるか。聞こえているならばお前に我らが剣技も教えよう。我らはオズモンドにより滅ぼされたかつての王国の王たちで、切磋琢磨しあっていた剣士でもある。そんな我ら一人一人の力ではオズモンドには勝てなかったがお前がそれらを束ねて、倒してくれることを祈っている」

「あったこともない男に託すなってんだよな。そんなこと」

「今度こそ。殺してくれる。こっこれは!?サンフラワーの根を張る木の剣技だと」

「確かに父上はお前に屈した。そして、他の王たちもお前に。だがこうして俺の中でその心を生きている。これが人間の力だ。貴様にたっぷりと見せてやる。リベンジってやつをな」

「ガハッ。これはドゥライの燃える火の剣技。貴様、一体どうして奴らの剣技を使いこなせる。なんなのだ貴様は!?」

「俺か。レインクラウズクリア王国のファイン王が息子カイルだ。それ以外の何者でもない。貴様を葬るものの名だ」

「ふざけるな。どれもこれも俺がかつて打ち倒した男の真似事よ。ワシこそ最強の剣士ぞ」

「ふん」

「グワァー。これは、キングの自由に変形する金の剣技。グフッ。まだだ。認めん認めんぞ」

「はぁぁぁぁぁ」

「固い、打ち崩せん。これは、サイプレスの土の剣技。貴様、一体何をしたのだ。どうして、貴様は各国の王だったものの剣技が使える。俺の暗黒剣はどんな剣技だろうと飲み込み打ち崩す剣技。しかし、例外がある。土・水・火・金・木の五つの剣技が合わさった時、闇をも喰らう光の剣技が現れる。だからこそ、ワシはそのようなものが産まれぬように各国を滅ぼしたのだ。魔族にとって災害となるそのようなものを誕生させぬために」

「なら冥土の土産にとっておけ。これが、闇をも喰らう光だ」

「グワァーーーーーー。この我がよもや負けようとは」

 光に包まれデモンズが消滅した。そこには、オズモンドが倒れているだけであった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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