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ヴェスパラスト大陸記  作者: 揚惇命
最終章 真実をその手に掴み悪を討て

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デモンズの出陣

 オズマリア帝国の玉座。

「あぁん。オズモンド様〜。もっともっとくださいませ」

「ここかここが良いのかルビー。いや、コウギョクよ」

「オズモンド様には、本当に感謝しています。あんなクソ夫では味わえないほどの快楽と新たな名前をくださいました。あぁん」

「当然だ。ワシは、従順な女は大好きだからな」

 そんな情事を玉座で繰り広げている中、扉が開かれる。

「デモ。ゴホン。オズモンド様、報告します」

「どうしたコカットスよ。重要なことだろうな」

「はっ。人魔三将軍のウエストリンギアとダイアンサスは魔王国へ寝返り、プリンスは死にました」

「ほぅ。プリンスには期待していたのだが、どうやら完全な魔物へと昇華することはできなかったようだな。ウエストリンギアとダイアンサスなど最早どうでも良い。この苗床どもが産んでくれた娘たちが優秀だからな」

「あぁん。愛しい妻だなんて〜もっともっと子を産みます〜あんな役にも立たない前夫との子を贔屓にしてくださっていたのに申し訳ありません〜」

「あぁん。あんなオズモンド様の役に立てない娘など必要ありません。そうでしょナデシコ」

「はぃ〜その通りです〜ローズマリー様〜」

 オズモンドことデモンズは分身の魔法により、各国の元王妃たちを同時に苗床として、子を産み落とさせていた。そして、認識魔法によって、オズモンドの言葉がどんな罵倒でも愛の言葉に聞こえるように変えられていた。

「馬鹿な女どもだ。人間としての娘よりも魔物の子供を欲するのだからな」

「あぁん。大好きだなんて、もっともっとオズモンド様のお役に立ちます〜だからもっともっと私たちに子を植えつけてくださいませ〜」

「ククク。この20年で、心も身体も魔物と成り果てているというのに、未だに魔物の精を欲するとはな」

 魔物の核と魔物の精が交わることで、魔物が産まれるのだ。女の中に放たれたそれは急激な成長をして、産まれでる。

「デモンズ様に忠誠を」

「ほぅオーガとはな。流石、コウギョクだ。お前は本当に良い妻だ」

「あぁん、よくやった次も頼むぞだなんて、こんな幸せ、あのクソ夫は味合わせてくれなかった〜」

 デモンズが名前を新たに与えるほどルビーは愛されているのだ。デモンズが正式に王妃として任命したのはルビーだけで、他は側妃である。側妃とは、苗床。王妃であるルビーのことは本当に愛していたのだ。それゆえ、前の旦那からも呼ばれていたであろう名前が気に食わなかった。

「まだ忘れていないのか?」

「もう忘れました。オズモンド様のお陰です〜」

「いや、忘れていないようだな。比べおって、お前はルビーではないコウギョクだ」

 脳を直接刺激して暗示をかける。

「私はコウギョク。オズモンド様の妻」

「そうだ(定期的にかけんと戻るか。こやつの精神も相当なものだ。だがお前は俺の妻だ。他の苗床どもと違う。だからこそ時間をかけて完全な魔物へと昇華させたのだ。だというのに未だ時折人間だった時の記憶を取り戻しおって)」

 終わるとコウギョクに後始末を任せて、コカットスと話をする。

「コカットス、我が四天王は集まったか?」

「いえ、どうやら英雄スパーダがマリアナについたことで、渋っているのかと」

 そう言ったコカットスの横腹に蹴りが入る。

「ゴホッ」

「これだから歳はとりたくねぇってんだコカットスのジジイ」

「フェンか」

「我が王よ。遅参したこと御容赦願いたい。ちょっと家でトラブルでな」

「あれから時も経った。色々あろう。来てくれたこと感謝する」

「何、2人で盛り上がってんの〜」

「ヨルム、よく来てくれた」

「当然でしょう〜っていうか本当に人間になっちゃったんだねデモンズ様」

「フッ、孫の身体だが馴染むのに時間がかかっている。まだ抗っているようだ。無駄な悪あがきを」

「大丈夫なんだろうな」

「急に現れるとは、相変わらずだな。キリ」

「我が王の命と聞き、急いで馳せ参じたまで、それをコカットスのジジイよ。スパーダが怖いなどと好き勝手言ってくれよったな」

「違ったのか。すまんかったのぅ」

「何はともあれ、またお前たちと逢えて嬉しいぞ。我が四天王よ」

「うむ」

「おぅよ」

「えぇ」

「あぁ」

 かつてデモンズと共に魔物至上主義を掲げ、人間国を滅ぼそうとした。フェンリルの特攻隊長フェン・コカトリスの参謀コカットス・ヨルムンガンドの軍師ヨルム・麒麟の暗殺者キリ。いずれも人間国では災厄と呼ばれる4人である。彼らがオズマリア帝国にいても人間たちは気にかけない。そうなるほど、オズモンドによる認識魔法が浸透しているのである。彼らにはこの魔物たちが人間の姿に見えていて、魔王国を滅ぼす同士に見えている。しかし、実際は魔王国から実権を取り戻すための駒として、これから利用されるとも知らずに哀れな人間たちである。

「よく集まってくれた。騎士たちよ。今こそ魔物に脅かされる時は終わるのだ。このオズモンドに続け。敵は魔王マリアナ」

「うおおおおおおおおおおおおおおおお」

 ヴェスパラスト2026年、カイル25歳。魔物と人間による最後の戦いが幕を開けるのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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